小田香「土地の記憶が時制の境界に穴を開けてゴーストたちに通路が生まれた」著名人よりコメント到着!『郊外の鳥たち』本予告編

ロカルノ国際映画祭オフィシャルセレクションで注目を集めた中国第8世代の新たなる才能、チウ・ションの長編デビュー作『郊外の鳥たち』が、3月18日より公開される。このほど、チウ・ション監督のメッセージ動画と本予告編、本ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となり、併せて映画作家&評論家よりコメントが寄せられた。

▼本予告編

地盤沈下が進み“鬼城”と化した中国地方都市の地質調査に訪れた青年ハオは、廃校となった小学校の机の中から、自分と同じ名前の男の子の日記を見つける。そこに記録されていたのは、開発進む都市の中で生き生きと日常を謳歌する子どもたちの姿だった。それは果たしてハオの過去の物語なのか、未来への預言なのか。やがて子供たちは、ひとり、またひとりと姿を消していく。

本予告編は、同じ名前をもつ青年・ハウと少年・ハウの日々が交錯し、浮遊するカメラがまるで鳥の目のように彼らの姿を写す映像が期待を高める。

本ポスタービジュアルは、じっとこちらを見つめる少年・ハウと、男の子も女の子も一緒に無邪気に草原に寝転ぶ姿が、誰もが失った子供時代の日々を思い起こすノスタルジックなものに。

場面写真は、アン・リー監督の最新作、ブルース・リーのバイオピック映画の主演に抜擢されたメイソン・リー(アン・リーの実子)や、中国インディーズ映画界のカリスマ女優、『幸福城市』などのホアン・ルーの姿も切り取られている。

そしてチウ・ション監督から日本の観客へのメッセージが到着。監督の故郷・中国の杭州で撮影されたという本作は「失われた純粋性を探すものでもある」と語り、子供時代の甘酸っぱい思い出を喚起させる物語に期待が高まる。

▼監督コメント動画

また、ハイクオリティなお茶を中国、台湾、日本からお届けしてきた「遊茶 YouCha」とのタイアップも決定。映画にちなんで青色のお茶「まぼろしの青い鳥Blend」が登場する。

映画『郊外の鳥たち』公式Twitterのフォロー&リツイートしてくれた方から抽選で10名様に「リーフティー・ポーションパックアソートセット(5種入)」と究極のシンプル茶器「Chattle®」のセットをプレゼント(10名様)される。

▼著名人 コメント

■小田香(映画作家)
現在と過去、もしくは未来が映画の時空間に同列に存在できることの豊かさ。土地の記憶が時制の境界に穴を開けてゴーストたちに通路が生まれた。ゴーストたちは地下から地表に染み出て漂いながら交流している。

■佐々木敦(映画評論家)
一切の予備知識なしにこの映画を観て、俳優たちの伸び伸びとした演技と豊かな存在感、自由闊達なカメラで切り取られる人工と自然の入り混じった風景に惹き込まれながら、何度となく意表を突かれた。いったいこれはどんな映画なのか? いかなる物語なのか? そんな疑問が繰り返し頭をもたげ、だがそれは新鮮な驚きと心地良い疑いであって、しかもそれは映画の最後まで持続したのだった。

■夏目深雪(映画評論家)
意味が剥奪され、物語からも遊離させられた「測量」と「歩行」、そして恋愛/仄かな恋愛は、詩的でありながらドキュメンタリー的であり、細部はリアルでありながら全体としては抽象的である。そこでは、建築物も自然も人間も等価で、つまり人間にも過剰に感情移入せず、だからといって自然こそが主人公ともならない。「郊外の鳥たち」が見ているような無機質なヴィジョンが展開されていて、そこに私は一番驚きを感じ、心うたれた。

■矢野優(「新潮」編集長)
なんて魅力的な光と時空の劇だろう! 次から次へと魅力的な光-景が連鎖し、過去と未来の並行世界が近づいては遠のく。チウ・ションの世界はレンズで充ちている。郊外の地盤沈下を測量する計器。少年たちに発見をもたらす双眼鏡。それらのレンズ越しの光-景を映画の撮影カメラが捉え、私たちの「目」というレンズに祝福を授けた。

■金子遊(批評家・映像作家)
地質調査で訪れた廃校で見つけた少年の日記。そこで描かれる子どもたちの日常は、過去の記憶、土地が持つ集合的な記憶、それとも未来の記憶…!?清原惟の『わたしたちの家』のような斬新なストーリーテリングだが、多分そのさらに先をいっている。

■野島孝一(映画評論家)
神秘的でSFのような雰囲気は、ジャ・ジャンクー監督の作品に似ていると思った。何か不思議な感覚が後を引く作品で、中国の映画からも目が離せない。

■チェ・ブンブン(2022/12/30 – CHE BUNBUN’S TIMAより)
少年パートの、廃墟や自然をズンズン突き進んでいく冒険、『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせる冒険は、都市になれなかった地の明るい側面にフォーカスを当てている。決して打ち廃れた場所ではないし、希望が眠っていることを静かに物語っているのである。

■Knights of Odessa(2021/10/10 – 本人の同名ブログより)
映画上は平行に語られ、途中で二つの挿話が交わっていそうな点はいくつもあり、二つの挿話に似ている部分も数多くあるが、それらが交点なのか共通点なのか、つまり二つの挿話がどの時間軸/世界線にあるのか、二人は同一人物なのかは意図的にはぐらかされている。しかし、そのどちらもが”クリティカルな何か”を忘れてその周りを周回するような、ある種の不条理さと不可思議さを持ち合わせていて、それが非常に心地よいのだ。

■福本ジロー(映画ライター)
夏休みが終わり学校が始まるあたりからクラスメートの欠席が目立つようになるが、それが引っ越しによるものだとはハオは気づかない。街を囲む塀を超えた後で道に迷うが、その不安と寂しさに、約束された未来が信じられない当時の中国人の思いが象徴されていた。

『郊外の鳥たち』
2023年3月18日(土)より、シアター・イメージフォーラム他公開
監督:チウ・ション
出演:メイソン・リー ホアン・ルー ゴン・ズーハン
配給 : リアリーライクフィルムズ + ムービー・アクト・プロジェクト

【ストーリー】 地盤沈下が進み《鬼城》と化した中国地方都市の地質調査に訪れた青年ハオは、廃校となった小学校の机の中から、自分と同じ名前の男の子の日記を見つける。そこに記録されていたのは、開発進む都市の中で生き生きと日常を謳歌する子どもたちの姿だった。それは果たしてハオの過去の物語なのか、未来への預言なのか?やがて子供たちは、ひとり、またひとりと姿を消していく。

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