『変態村』『地獄愛』のファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督が描く、純粋で孤独な少年”と“血まみれ少女”による闇の逃避行『ADORATION(原題)』が、邦題を『依存魔』として2023年1月27日(金)より公開されることが決定した。併せてポスタービジュアルがお披露目となった。
豚の咆哮とともに人間の異常な愛と狂気を寓話的に描いた衝撃作『変態村』(04)、実在した変態連続殺人鬼カップル、マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデスの関係性に着目し強烈な愛の形を描いた問題作『地獄愛』(14)で世界各地の映画祭を騒然とさせ、ヨーロッパ映画史にその名を刻まれることとなったファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督。常にグロテスクで血まみれ、異常な愛の形を描いてきたヴェルツ監督の“ベルギーの闇3部作”の最終章となる『依存魔』は、これまでの作風から一転、美しい自然の風景とともに瑞々しく描かれる、孤独な10代の少年少女の絶対的な愛を描く物語だ。
本作の主演ポール役は『ジュリアン』(17)で離婚した父と母の間で揺れ動く息子ジュリアン役を演じ天才子役誕生と注目されたトーマス・ジオリア。少女グロリア役を演じるのは、ミヒャエル・ハネケ監督の『ハッピーエンド』(17)でイザベル・ユペール他屈指の実力を持つ俳優陣と共演し、ひときわ存在感が輝いていたファンティーヌ・アルデン。今ヨーロッパで勢いのある若手俳優を迎え、周囲の大人たちから逃げるような狂気に満ちた少年少女の逃避行は、ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督にしか描けない、何かがおかしい唯一無二の世界観といえる。
“ベルギーの闇3部作”とは、ベルギーのアルデンヌ地方を舞台に狂気の愛を描くトリロジー。なぜか必ず“グロリア”というキャラクターが登場し、ローラン・リュカがどこかに出演しているという共通項がある。また、3作全てにおいてアメリカ映画からの影響が見られ、『変態村』ではトビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』(74)、『地獄愛』はレナード・カッスル監督の『ハネムーン・キラーズ』(70)、そして本作『依存魔』はテレンス・マリック監督のデビュー作『地獄の逃避行』(73)からインスピレーションを受けているに違いない。
日本版ポスタービジュアルは、森を背景に少年ポールと少女グロリアが佇んでおり、とくにグロリアにいたっては血まみれ状態で、ただならぬ雰囲気を醸し出している。何よりも『依存魔』というタイトルがまるで彼らが何かに取りつかれているかのうようで印象的だ。また、「別れない。離れない。ずっと、愛してる」のキャッチコピーが嫉妬と狂気の塊かつ、依存度の高さを強烈に物語っている。「依存」とは思考が崩壊し、やめたくてもやめられない状況に陥ってしまう危険で恐ろしいもの。一目会ったその日から恋に落ちたふたり。精神的な問題を抱えるグロリアがポールに助けを求めたことから始った彼らの“闇の逃避行”。彼らの絶対的な愛、この残酷な愛の物語の行く末は、どのような結末が待っているのか、展開が気になる内容だ。
『依存魔』
2023年1月27日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開
監督・脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
出演:トーマス・ジオリア ファンティーヌ・アルデゥアン ブノワ・ポールブールド ローラン・リュカ
配給:キングレコード
【ストーリー】 12歳の恥ずかしがり屋で孤独な少年ポールは、奥深い森の中で母親が働く精神病院で暮らしていた。ある日、少女グロリアが施設に到着するやいなや、一目会った日からポールは彼女に恋をする。精神的な問題を抱えるグロリアがポールに助けを求めたことから、まるで周囲の大人たちから逃げるように、彼らの狂気に満ちた闇の逃避行がはじまる。
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