一歩も外に出られないまま、世界は狂っていく『ピンク・クラウド』予告編&ポスタービジュアル

ブラジルの新鋭イウリ・ジェルバーゼのデビュー長編監督作品『ピンク・クラウド』が、2023年1月27日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。

2017年に脚本が書かれ、2019年に撮影された本作は、当初SFとして構想されていたにもかかわらず、世界的なパンデミックで一変した現実と重なるという、思いもよらぬ形で世界の脚光を浴びた作品。自らの人生がフィクションに似てしまった現在、「かつてのリアリティが失われた物語」にこそ観客はリアリティを見出すことになったのだ。慣れ親しんだ日常を剥奪され、望まぬ非日常が日常になり変わろうとするとき、人間は何を欲望し何を選択するのか。ピンク色の雲の下、目の前に広がるのは安住の地か、終わらない悪夢か。雲はかたちを変えながら、まるで鏡のように見つめる者の心を照らしかえす。

予告編では、Caio Amon feat. Rowena Jameson によるオリジナル楽曲「La Vita(Life is Just Life)」に乗せ、すぐ終わるかのように思えた災難から、一歩も外に出られない望まぬ非日常が何日、何ヶ月、何年と続き、やがて世界が少しずつ狂ってゆく様を捉えている。その時、人間は何を欲し、何を選択するのか。自死を選ぶ者、家庭内の不和に苦しむ夫婦、同居人への殺意を持ちはじめる者、友人の父に孕まされる子供…。本作が決して他人事では無くなってしまった現代、ピンク色の雲が形を変えながらまるで鏡のように見つめる者の心を照らし返す。

『ピンク・クラウド』
2023年1月27日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本:イウリ・ジェルバーゼ
出演:ヘナタ・ジ・レリス エドゥアルド・メンドンサ カヤ・ホドリゲス ジルレイ・ブラジウ・パエス ヘレナ・ベケル
配給・宣伝:サンリスフィルム

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