「人殺した事とかあるんすか」「僕なんか生まれなければ」心を締め付けられる問題作『渇いた鉢』12月公開

『異物-完全版-』や『転がるビー玉』を手がけた宇賀那健一監督による新作長編映画『渇いた鉢』が、12月10日より公開されることが決定し、併せて予告編がお披露目となった。

本作のテーマは、愛する家族を奪われてしまった1人の男性の喪失の物語。ひとくくりに〈被害者遺族〉と世間から呼ばれてしまう人々のやり切れない思い、理不尽な処遇。周囲の身勝手な好奇に晒されるという不条理…。どうしようもなく大きな喪失感に苛まれながらも、彼は何を思い、何を願い、何故生きるのか。不安定にぐらつきながら狂おしく歩む姿をただひたすらに描き切っている。

予告編は、「愛する家族を奪われた男」というフレーズから始まる。静かながらスケール感のある音楽と共に、「人殺した事とかあるんすか」「僕なんか生まれなければ」というセンセーショナルなセリフや、主人公がランドセルを背負い歩いていたり、骨壺から骨を取り出しかじったりする姿等、気になるカットが続いていく。

『渇いた鉢』
2022年12月10日より、池袋シネマ・ロサほかにて公開
監督:宇賀那健一
出演:安部一希 三溝浩二 東龍之介 はぎの一 山本月乃 遠藤隆太 田中栄吾 青島心 贄田愛菜 髙木直子 志田織乃 松浦祐也 新海ひろ子 石原理衣 本山勇賢 竹崎綾華 川崎希 櫻井亜衣 峰秀一 飯田浩次郎 フェルナンデス直行
配給:vandalism

【ストーリー】 暗い部屋で独り、パソコンの光に照らされ、浮かび上がる男の姿。松村大地(安部一希)は無心に検索画面に言葉を打ち込み続けている…。彼は3年前に、最も愛する家族を見知らぬ狂気によって突然奪われてしまっていた。幼い娘を手にかけた犯人、いたずらに家族を責め立てて妻を追い詰めたマスコミや野次馬への憎しみ。何よりも2人を守れなかった自分に対する抱え切れない自責の念。時と共に簡単に忘れられ、風化していく事件。余りにも深い孤独の中、彼が今も生きる理由とは。松村大地はまたフラフラと街へ歩み出す。