地方で生きる韓国人、女子高生らの運命を描く、農業を続ける山﨑樹一郎監督の長編第3作『やまぶき』11月公開

山間で農業と映画製作を続ける山﨑樹一郎監督が、地方に生きる人々の慎ましい抵抗を国際的な視座で描く映画『やまぶき』が、11月5日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。

本作は、陽の当たりづらい場所にしか咲かない野生の花“山吹”をモチーフに、資本主義と家父長制社会の歪みに潜む悲劇と希望を描きだす群像劇。かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山県真庭市に流れ着き、今はベトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と2人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。2人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める。

監督は、岡山県真庭市の山間で農業に携わりながら、地方に生きる人々に光をあてて映画製作を続ける山﨑樹一郎。長編デビュー作『ひかりのおと』では、故郷・岡山に戻り酪農を継ぐ若者の苦悩と葛藤を描き、『新しき民』では江戸時代の農民一揆を題材とし時代劇に挑戦。長編第3作となる『やまぶき』は、再び地元でロケを行い、初めて16ミリフィルムで撮影に挑んだ。

チャンス役を演じるのは、イギリスで演劇を学び、今回初めての日本映画出演となる韓国人俳優のカン・ユンス。山吹役は、『サマーフィルムにのって』や「セイコグラム~転生したら戦時中の女学生だった件~」など話題作への出演が相次ぐ祷キララ。その傍に、川瀬陽太、和田光沙、三浦誠己、松浦祐也、青木崇高らの実力派俳優たちが集結し、田舎町に暮らす人々のほとばしる生を体現している。

本作は、フランスのSurvivance(シュルヴィヴァンス)との国際共同製作によって完成された。『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』でアヌシー国際アニメーション映画祭で2冠を得たセバスチャン・ローデンバックがアニメーションパートを、オリヴィエ・ドゥパリが音楽を担当。また、フランソワ・トリュフォーやモーリス・ピアラ、フィリップ・ガレルなど巨匠監督の作品を手がけた、フランス映画の伝説的な編集者ヤン・ドゥデが編集協力をしている。

ポスタービジュアルは、砂漠らしき場所を背景に、山吹(祷キララ)がこちらを射抜くような強い眼差しを向ける姿が描かれている。右側には山吹の花をイメージした蛍光オレンジのタイトルロゴが大きく配置され、シンプルながらインパクトのあるビジュアルに仕上がった。

本作は今年5月に行われたカンヌ国際映画祭のACID部門に日本映画として初めて選出される快挙を果たしたほか、多数の海外映画祭に招待されている。

『やまぶき』
2022年11月5日(土)より渋谷ユーロスペース、11月12日(土)より大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館ほか全国順次公開
監督・脚本:山﨑樹一郎
出演:カン・ユンス 祷キララ 川瀬陽太 和田光沙 三浦誠己 青木崇高 黒住尚生 桜まゆみ 謝村梨帆 西山真来 千田知美 大倉英莉 松浦祐也 グエン・クアン・フイ 柳原良平 齋藤徳一 中島朋人 中垣直久 ほたる 佐野和宏
配給:boid/VOICE OF GHOST

【ストーリー】 かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンス(カン・ユンス)は、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山に流れ着き、今はベトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と2人暮らしの女子高生・山吹(祷キララ)は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。2人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める。

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