「8年前の戦争が、新しい局面に」ウクライナ紛争の本質が見えてくる『ウクライナから平和を叫ぶ』8月公開

写真家ユライ・ムラヴェツ Jr.が2015年にウクライナ入りし、ドネツク側とウクライナ側の両方の生の声を記録したドキュメンタリー『ウクライナから平和を叫ぶ』が、8月6日より公開されることが決定した。このほど、ポスタービジュアルと監督のコメントがお披露目となった。

ロシアとヨーロッパに挟まれるその立地から、親ロシア派と親欧米派に分かれて対立してきたウクライナ。そんなウクライナの欧州連合やNATO加盟を警戒し、ロシアのプーチン大統領は圧力をかけてきた。ことの発端は2013年9月当時のヤヌコーヴィチ大統領が欧州連合との連合契約に署名しなかったことに遡る。これを受け、親欧米派の野党や大統領の汚職を批判する市民による大規模な反政府デモが勃発。翌年、ヤヌコーヴィチ大統領は国外へ逃走し、ロシアによりクリミア半島が併合される。さらにルハーンシク州とトネツク州では、親ロシア分離派が分離共和国を宣言。両共和国を反政府武装勢力とみなしたウクライナとの紛争状態に陥った。その渦中にいた国民に何が起きたのか。この状況をどう捉えてきたのか。生活はどう変わったのか。

2010年より旧ソ連の国々を取材してきたスロバキア人写真家ユライ・ムラヴェツ Jr.が2015年にウクライナ入りし、ドネツク側とウクライナ側の両方の生の声を記録。ドネツク側では、戦場に参加した鉱夫と参加しなかった鉱夫、ウクライナ兵にスパイと間違えられ拘束された人、「プーチンに助けてほしい」と言う女性、ウクライナ側では、大佐、手榴弾で手足を失った退役軍人、老女、子供、ホームレスなど幅広い人の証言を網羅。当時の記憶を辿ることで、ウクライナで起こっている紛争の本質が見えてくる、今見るべき貴重なドキュメンタリーとなっている。

2014年と2022年にユライ・ムラヴェツ Jr.監督がウクライナにて撮影した写真を使用したチャリティTシャツの発売が決定。売上金の一部をウクライナ大使館に寄付する。販売ページはコチラ。

■ユライ・ムラヴェツ Jr.(監督・脚本・撮影)コメント
私のデビュー作『ウクライナから平和を叫ぶ』が、8月にみなさんの美しい国で上映されることを大変光栄に思います。この作品は2014年から2016年にかけて撮影しました。そして、今日世界中が注目しているウクライナ戦争のまさに始まりを捉えています。現在ウクライナで起きている戦争は、2022年2月24日に始まったものではありません。8年前の戦争が、新しい局面に変化したものなのです。そのため、現在起こっていることの全体像を把握するためには、時間を遡る必要があります。私の映画が、完成から数年を経てもその意義を失わずにいることを嬉しく思います。長い間、世界はウクライナで起きていることを忘れていました。そして今、私たちはその代償を払っているのです。悲惨な崩壊を防ぐことができるのは、賢明で見識のある人々だけです。時間を割いて映画館に足を運び、学ぼうとする一人ひとりに心から感謝します。

『ウクライナから平和を叫ぶ〜 Peace to You All 〜』
2022年8月6日(土)より、渋谷ユーロスペースにて緊急ロードショー
監督・脚本・撮影: ユライ・ムラヴェツ Jr.
出演:ユライ・ムラヴェツ Jr. ウクライナの人々 ドネツクの人々
配給:NEGA

【作品概要】2013年にウクライナで起こった大衆デモ・ユーロマイダンによって、親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領は追放され、親欧米派の政権が樹立された。しかし、ウクライナ東部のドネツク州とルハーンシク州では、ロシアを後ろ盾とする分離主義勢力とウクライナ政府の武力衝突に発展。分離主義勢力によって14年4月にドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立が宣言される。15年4月、スロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツ Jr.は、ユーロマイダンの中心地だったウクライナ・キーウを出発、分離主義勢力が支配する東部のドネツクに向かう。分離主義勢力が支配する村を取材するムラヴェツに、戦争の悲しみと平和への望みを語る住民たち。クリフリク村最後の住民となった老婆は「プーチンに助けてほしい」と訴える。16年2月、ドネツク人民共和国情報省によって入国禁止ジャーナリストとして登録され、入国できなくなったムラヴェツは、今後はウクライナ支配下の村やウクライナ-ドネツク紛争の最前線マリウポリでウクライナ側の人々の取材を開始する。ドネツク側とウクライナ側の両方の住民に平等に話を聞くことで見えてくる、「繰り返される戦争の理由」とは?

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