倍賞千恵子「監督の顔がまず浮かんだ」、磯村勇斗「こんな景色をこの歳で見ていいのか!?」『PLAN 75』カンヌ受賞に歓喜!

映画監督・是枝裕和が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を新たに構築し、キャストを一新した早川千絵監督の初長編映画で、倍賞千恵子が主演を務める『PLAN 75』が、6月17日より公開される。このほど、現地時間5月28日に行われた第75回カンヌ国際映画祭の授賞式で、早川千絵監督がカメラドール スペシャル・メンションを受賞。5月30日にはニッショーホールにて凱旋プレミア試写会イベントが行われ、キャストの倍賞千恵子、磯村勇斗、そして早川千絵監督が登壇した。

本作は、75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する制度「プラン75」が施行され、その制度に翻弄される人々の姿を描く衝撃作。日本での初お披露目することになった本作について、主演の倍賞は「ドキドキしちゃって、この辺(喉元)まで心臓がきている」としながらも、「皆さんからどんな反応がいただけるのか楽しみに」と述べ、「私も超高齢者なので」と付け加えた。

第75回カンヌ国際映画祭で、カメラドール スペシャル・メンションを受賞した本作。これについて早川監督は「日本のお話なんですけれども、国籍関係なく伝わるものがあった。観た後に母親やおじいさんに電話してしまったと、泣きながら言ってきてくださる方々がいて、本当に届いて良かった」と受賞の喜びを明かした。

受賞の知らせを日本で聞いたという倍賞は「本当に良かったなあって思いましたね。監督の顔がまず浮かんだのと、スタッフの皆さんの顔が浮かんできて、みんなが笑ってる顔に変わっていくみたいな思い。本当にうれしい」と笑顔。磯村も「撮影は寒い中でやりましたけれども、こういうの話を聞くと体が温まっていく。そんな気持ちになりました」と受賞についての思いを語った。

カンヌでの公式上映に参加した磯村は、「自分が出演している映画が海外で上映されて、エンドクレジットの時にスタンディングオベーションをいただくっていうのは、人生で経験したことがなかったので、言葉にできない感動を味わった」とコメント。レッドカーペットについては「“こんな景色をこの歳で見ていいのか!?”っていうのを見てしまったので(笑)、もっと貪欲に頑張っていこうと思いました」と満面の笑みで語っていた。

最後の挨拶で倍賞は、「もう二人にみんな言っていただいちゃったので。歌を歌います」と突然の宣言。「りんご〜の樹の下で〜明日また会いましょう〜♪」と、劇中歌「りんごの木の下で」の一小節を歌い、「続きは映画の中で歌ってますので、聞いてください。ありがとうございました(笑)」と笑顔でイベントを締めくくり、会場から大きな拍手が送られていた。

『PLAN 75』
2022年6月17日(金)より、新宿ピカデリーほか全国順次公開
監督・脚本:早川千絵
出演:倍賞千恵子 磯村勇斗 たかお鷹 河合優実 ステファニー・アリアン 大方斐紗子 串田和美
配給:ハピネットファントム・スタジオ

【ストーリー】 少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行された。様々な物議を醸していたが、超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムードとなる。夫と死別してひとりで慎ましく暮らす、角谷ミチ(倍賞千恵子)は78歳。ある日、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇される。住む場所をも失いそうになった彼女は「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」の申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)、死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑶子(河合優実)は、このシステムの存在に強い疑問を抱いていく。また、フィリピンから単身来日した介護職のマリア(ステファニー・アリアン)は幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の「プラン75」関連施設に転職。利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えて作業に臨む日々を送る。果たして、「プラン75」に翻弄される人々が行く着く先で見出した答えとは…。

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