PFFアワード2020で審査員特別賞を受賞した、阿部百衣子とせとらえとがダブル主演を務める、守田悠人の初監督作『頭痛が痛い』が、6月3日より公開される。このほど、予告編と新場面写真がお披露目となり、併せて、浅井直樹役の鐘ヶ江佳太より作品についてのコメント、そして作家の爪切男、ラッパー/詩人のGOMESSより本作を絶賛するコメントが寄せられた。
本作は、それぞれの「死にたさ」を擦り合わせようとする少女同士が、心と傷の手当てをし、支え合う、シスターフッドロードムービー。自傷行為や恋愛感情のないセックスを繰り返し、家庭に不和を抱える不登校気味の高校生・鳴海と、エゴだとわかりつついつも人のことを考え、救急セットを持ち歩く同級生・いく。二人は、いくが鳴海のライブ配信を見るという一方通行の関係だったが、いくが梶井基次郎の「檸檬」のように、自分の遺書を赤の他人の家に投函するところを鳴海が目撃したことから、互いの心と傷の手当てをし、支え合う関係に発展していく。
場面写真には、いく(阿部百衣子)が遺書を投函するシーンや、鳴海(せとらえと)がいくにキスするカットなどが収められる。
■鐘ヶ江佳太(浅井直樹役) コメント
自身もこの作品を観て、「命の重さ」について考えさせられました。特に今の時代、SNSが当たり前となり、誰もが自由に評価されるようになりました。自分の存在価値って、どれほどのものなのか。「認めてほしい」「必要とされたい」…そういった想いが誰しも少なからずあると思います。いただいた直樹という役も、フリーライターとして世間に「認められたい」という想いがあります。そんな中、見知らぬ女子高生からの遺書。もしかしたら最初は、仕事に繋がるチャンスだと思っていたかもしれません。しかし次第に、同棲している彼女をほったらかしにして彼女たちのことに夢中になっていく。「救いたい」という想いが強くなっていく。そんな不器用ながらも正義感の強い、真っ直ぐな男だなという印象を受けました。その徐々に変わっていく直樹の心の変化を意識して演じました。いくと鳴海のたどり着いた答えはもちろんのこと、直樹の行動にも注目していただきたいです。いよいよ6月3日公開。劇場でお待ちしております。
■爪切男(作家) 絶賛コメント
世の中に溢れている安易な共感や皮肉はもういらない。この映画に散りばめられた“美しく薄汚れた息苦しさ”の方が、今の私には心地よい。そういえば、偉いお坊さんと頭の良さそうなお医者さんが言っていた。「人は死ぬとき、息を吸ってから死ぬ」らしい。それならば、私は全てを吐き出してから死んでやろう。この映画に誓って。
■GOMESS(ラッパー / 詩人) 絶賛コメント
たかが言葉ひとつ。その中身を誰も知らない。たかが身体ひとつ。その中身を誰も知らない。誰もが知っている言葉は、誰のことも受け入れてくれる。その言葉を誰もが知っているから。変だ。言葉は届いても、どうして気持ちが伝わらない。自分だけが知っている気持ちは、この身体に似ても似つかない。誰もが違う身体をしているのに、どうして気が付かないんだ。この映画の再生時間は1時間47分。題は『頭痛が痛い』。冒頭からずっと変わらなかった言葉も、身体も、なのに、どうしてなんだろうな。
『頭痛が痛い』
2022年6月3日(金)より、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:守田悠人
プロデューサー:佐藤形而
出演:阿部百衣子 せとらえと 鐘ヶ江佳太 山本華世子 大友久志 ナツメ 杉山宗賢
配給:アルミード
【ストーリー】 東京五輪に向けた新国立競技場の建設が進む 2018 年の東京。不登校気味の高校生・鳴海(せとらえと)は ライブ配信を行うことにより、行き場の無さを埋めようとする。鳴海の同級生・いく(阿部百衣子)はいつも明るく振る舞う反面、形容しがたい憂鬱な気持ちを吐き出せずにいた。ある日いくは、梶井基次郎の「檸檬」のように、自分の遺書を赤の他人の家に投函することで憂鬱を晴らそうとする。その遺書を読んだ鳴海と、フリージャーナリストの直樹(鐘ヶ江佳太)は、いくが発するSOSを感じ…。
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