フジテレビ「Mr.サンデー」の企画として始まり、認知症の母親と耳の遠い父親の暮らしを、ひとり娘である信友直子監督が自身の視点で丹念に映し出し、令和元年度文化庁映画賞、文化記録映画大賞を受賞するなど、高い評価を得たドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の続編『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』が、2022年3月25日に公開されることが決定した。
本作は、前作で始まった介護生活の、その後を描く。認知症とともに生きることの大変さや家族の苦労など日本全体が抱える高齢化社会の問題を含みながらも、こんな風に生きられたらと憧れを抱かせてくれるような、幸せな夫婦の姿を捉える。
信友直子監督は、現実を冷静に映し出そうとする監督としての立場と、実の娘であるというふたつの立場で葛藤しながら撮り続けた。老いや介護を扱った作品は数多くあるが、どの家庭にも起こりうる宿命を優しく見つめた本作は、家族でなければ撮れない貴重な人生の記録である。前作を上回る深い感動を与え、新型コロナの影響で家族と容易に会うことができなくなった今という時代に、多くの人が“自分の物語”として受け入れることができるだろう。
■信友直子(監督・撮影・ひとり娘) コメント
人が生きて老いてゆく先には、必ず死と別れがあります。でも人生の最終章は悲しいだけではありません。お互いを思いやり、かわす笑顔もありました。今回もまた、誰もが自分のこととして感じてもらえる物語になったと思います。
『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』
2022年3月25日(金)より全国順次公開
監督・撮影・語り:信友直子
配給:アンプラグド
【ストーリー】 東京で働くひとり娘の「私」(監督・信友直子)は、広島県呉市に暮らす90代の両親を1作目完成後も撮り続けた。2018年。父は家事全般を取り仕切れるまでになり日々奮闘しているが、母の認知症はさらに進行し、ついに脳梗塞を発症、入院生活が始まる。外出時には手押し車が欠かせない父だったが、毎日1時間かけて母に面会するため足を運び、母を励まし続け、いつか母が帰ってくるときのためにと98歳にして筋トレを始める。その後、一時は歩けるまでに回復した母だったが新たな脳梗塞が見つかり、病状は深刻さを極めていく。そんな中、2020年3月に新型コロナの感染が世界的に拡大。病院の面会すら困難な状況が訪れる。それでも決してあきらめず奮闘する父の姿は娘に美しく映るのだった…。
©2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会