「過去を金で継ぎ合わせるの」日本の“金継ぎ”に着想を得て“過去との和解”を描く『金の糸』予告編&場面写真

ジョージア映画界を代表する女性監督ラナ・ゴゴベリゼ監督が、過去との和解をテーマに、ジョージア激動の時代を生きた女性作家とその人生に関わった人々を、日本の“金継ぎ”に着想を得て描いた感動作『金の糸』が、2022年2月26日より公開される。このほど、本作の予告編と場面写真がお披露目となった。

女性と社会を瑞々しく捉え続けてきたラナ・ゴゴベリゼ監督が91歳にして描いたのは、過去との和解をテーマにした物語。トビリシの旧市街の片隅。作家のエレネは生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らす。今日は彼女の79歳の誕生日だが、家族の誰もが忘れていた。娘は、姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始めたので、この家に引っ越しさせるという。ミランダはソヴィエト時代、政府の高官だった。そこへかつての恋人アルチルから数十年ぶりに電話がかかってきて…。

予告編は、主人公の女性作家エレネ(ナナ・ジョルジャゼ)がキーボードを叩くシーンから始まり、風に揺れる花瓶の花、エレネの母親が監獄で作ったという人形、中庭のあるトビリシの伝統的集合住宅などが映し出される。そしてエレネとミランダ(グランダ・ガブニア)の激しい衝突がソヴィエト時代に何があったのかを想像させ、“金継ぎ”を元にしたアートに重ねられた「過去に囚われても過去を壊してもいけない 金で継ぎ合わせるの」という言葉からは、本作のテーマが浮かび上がる。繰り返し流れる美しい音楽は、2019年に惜しまれつつ亡くなった国際的なジョージア人作曲家ギヤ・カンチェリによるもの。自身の母もスターリンの大粛清で流刑された経験を持つゴゴベリゼ監督が、自分の経験を投影しながら描いた『金の糸』は、映画の王国ジョージアを代表する女性監督にふさわしい新作である。

『金の糸』
2022年2月26日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
監督・脚本:ラナ・ゴゴベリゼ
音楽:ギヤ・カンチェリ
出演:ナナ・ジョルジャゼ グランダ・ガブニア ズラ・キプシゼ ダト・クヴィルツハリア
配給:ムヴィオラ

【ストーリー】 トビリシの旧市街の片隅。作家のエレネ(ナナ・ジョルジャゼ)は生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らしている。今日は彼女の79歳の誕生日だが、家族の誰もが忘れていた。娘は、姑のミランダ(グランダ・ガブニア)にアルツハイマーの症状が出始めたので、この家に引っ越しさせるという。ミランダはソヴィエト時代、政府の高官だった。そこへ突然、60年前の恋人アルチル(ズラ・キプシゼ)から電話がかかってきて…。

© 3003 film production, 2019