『いただきます』シリーズで話題を呼んだ、オオタヴィン監督の新作ドキュメンタリー映画『夢みる小学校』が、2022年2月に公開されることが決定した。
オオタヴィン監督の前作までのテーマは「食」と「農」だったが、3作目となる本作は「教育」。オオタ監督が食と農を突き詰めたときにぶつかったのが教育問題。たどり着いたのが、テストも宿題もなく、いわゆる“先生”もいない私立の学校法人「きのくに子どもの村学園」だった。全国で5校あるうちのひとつ「南アルプス子どもの村小学校」をメインに取り上げ、非常にユニークな教育方針を掲げる創設者の堀真一郎学園長のほか、高橋源一郎や茂木健一郎などの出演者を通じて学園の取り組みを深堀していく。さらに、作品のテーマ・内容に大きく共感した俳優の吉岡秀隆が本作のナレーションを担当する。自然体で終始優しい眼差しが感じられる語りにも注目だ。
山梨県南アルプス市にある「南アルプス子どもの村小学校」。どの子にも、感情、知性、人間関係のいずれの面でも自由な子どもに育ってほしいという堀真一郎学園長の願いから、1992年、和歌山県橋本市に「きのくに子どもの村学園」を設立、現在、全国で5校あるうちのひとつである。この学校にあるのは、教育の原点、「本来あるべき普通の学校」の姿。自己決定・個性化・探求学習という3つの原則を大切にしている本学園は、文部科学省が2020年度に出した新学習指導要領で重視する“探求学習”を30年も前から実践している学校なのだ。映画では、60年間「総合学習」を続けてきた伊那市立伊奈小学校や、校則や定期テストをやめた世田谷区立桜丘中学校も登場。激動するAI時代を見据えた「ミライの公教育」のあり方を俯瞰する“教育革命”ドキュメンタリーである。
▼キャスト コメント
■茂木健一郎(脳科学者)
これから、AIが加速度的に進歩していきます。人間のIQ比較や、偏差値、学歴を、AIが一気にコモディティ化させてしまうんです。AI時代に向けて、人間にしかできない思考、個性を伸ばしていくしかない。教科の壁を超えて「体験学習」をすることは、脳の回路が前頭葉を中心に有機的に結びついていくんです。これからの人工知能時代にふさわしい能力を発揮できるような脳のOSがつくられるのです。そういう意味できのくに子どもの村学園は、“ミライの学校”だと思います。
■尾木直樹(教育評論家・法政大学名誉教授)
きのくに子どもの村学園には以前から注目し、ゼミ生と何度か訪れています。自己肯定感が高く、探求心あふれる子どもたちのたくましい姿に、日本にもここまで自由で子ども中心の学校があるのかと驚嘆したものです。日本でも教育が完全に無償化され多様な学校が増えれば、個に寄り添った真の「学びの保障」が実現できるはずです。きのくにのような一人ひとりが大切にされる学び場がもっと増えてほしいと願っています。
■高橋源一郎(作家)
「学校」は、本に書いてある文字や数字を頭脳の中に流しこむ場所ではない。生きてゆく力を、知らず知らずのうちに、子どもたちに(おとなにもまた)授ける場所ではないだろうか。そして、そういう場所は存在していて、あなたたちは見ることも、訪ねることもできるのだ。山の中、ひんやりした冷たい、清々しい風の吹く場所にひっそりと佇む、小さな、子どもたちのための学校を。
『夢みる小学校』
2022年2月 シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・撮影・編集:オオタヴィン
ナレーション:吉岡秀隆
エンディング曲:ザ・ブルーハーツ「夢」
出演:堀真一郎(きのくに子どもの村学園長) 茂木健一郎 高橋源一郎 尾木直樹
配給:きろくびと
©まほろばスタジオ