「辞めたいと思ったこともあったけど、できなかった」東京五輪(1964)で金メダルに輝いた女子バレーチームに迫る『東洋の魔女』予告編

1964年の東京オリンピックで金メダルに輝いた、女子バレーボール・チームを追ったドキュメンタリー映画『東洋の魔女』が、12月11日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

記憶に新しい2021年夏、2度目の東京オリンピック。その57年前の1964年10月。高度経済成長を間近に控えたこの時期に、戦後復興の象徴として日本で最初のオリンピックが開催された。柔道、体操、レスリング、次々にメダルを獲得していく日本人の姿を見て、国民たちは熱狂した。なかでも、圧倒的な実力を見せたのが女子バレーボール代表だった。日本チームを率いるのは、インパール作戦に従軍し、死地を潜り抜け奇跡の生還を果たした大松博文、通称「鬼の大松」。メンバーの大半は紡績工場で働く工員で、連日深夜まで大松による徹底的な特訓を受ける生活を送り、次第に世界から「東洋の魔女」と恐れられるようになった。彼女たちはオリンピックでも圧倒的な強さで勝ち進み、決勝で最大のライバル・ソ連代表と相まみえた。彼女たちは秘密兵器「回転レシーブ」を武器に、圧倒的な体格を誇るソ連代表を追い詰めていく。そして、全国民が固唾を呑んで見守るなか、その時が訪れた。1964年10月23日20時55分、世紀の金メダルポイント…。この時、日本の人口は約1億人。さらにはミッチー・ブームの影響もあって白黒TVの普及率がピークに達し、87.8%もあった。最も驚くべきはTV視聴率であり、ソ連戦の最高視聴率は95%、平均しても66.8%に達していたと言われている。この勝利は、まさに当時の日本国民全員が目撃した瞬間であり、戦争の影を引きずる日本に再び自信と誇りをもたらしたのだった。その熱狂はその後、空前のママさんバレー・ブームを引き起こし、「アタックNo.1」や「サインはV!」をはじめとする、「スポ根」ジャンルの興隆へと繋がっていった。

そんな彼女たちも今や80代に差し掛かっている。「魔女」、「スパルタ」、「鬼の大松」…仰々しい言葉とともに語られてきた彼女たちが、自らの口で、その思い出を語り始める。市川崑の『東京オリンピック』からカンヌ映画祭グランプリ作品『挑戦』、さらにはアニメ「アタックNo.1」や戦後日本の風景までをふんだんに織り交ぜ、単なるノスタルジーに収まらない新たな「東洋の魔女」像を浮き彫りにしていく。「東洋の魔女」が真に成し遂げたものとは何だったのか?何故あれほどまでに、日本は彼女たちに熱狂したのか?その秘密が今、解き明かされる。

本作は、11月13日に「フランス映画祭2021横浜」で上映されることが決定した。映画祭での上映後に、金メダリストである「東洋の魔女」のメンバー、千葉勝美(旧姓:松村)、田村洋子(旧姓:篠崎)、中島百合子(旧姓:半田)、神田好子(旧姓:松村)による舞台挨拶が行われる。

『東洋の魔女』
12月11日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:ジュリアン・ファロ
プロデューサー:ウィリアム・ジェアナン
撮影:山崎裕
配給:太秦

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