千葉県船橋市立船橋高校で代々受け継がれる応援曲「市船soul」を作曲した一人の青年・浅野大義さんと、市船吹奏楽部の絆が生んだ奇跡を辿った、中井由梨子による小説「20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド」を、神尾楓珠と佐藤浩市共演で映画化する『20歳のソウル』が、2022年に公開される。このほど、追加キャストとして、尾野真千子が神尾楓珠演じる浅野大義の母親役で出演することが発表された。
千葉県船橋市立船橋高校には、代々受け継がれている「市船soul」という応援曲がある。その楽曲は、運動部の試合中に演奏されると勢いがつき、「ソウルが流れると点が入る!」「市船のチャンステーマ」など市船を勝利へ導く神応援曲としてTwitter上で話題になった。その名曲誕生の裏側には、癌により20歳という若さで、短い人生の幕を閉じた浅野大義さんという青年がいた。
新たなキャストとして、大義(神尾楓珠)の青春を支え、また息子の闘病を最期まで明るく勇気づけた母・浅野桂子役を、15歳で映画主演デビューを果たし、以降多くの映画・ドラマ等に出演、その演技力は高く評価され、これまでに数々の賞を受賞してきた尾野真千子が演じる。
■尾野真千子(浅野桂子役) コメント
特別な母親役でした。やはり実在する母というのはとてもやりにくいものです。ですが、とてもやりがいを感じました。本当の話に失礼のないように、当時を思い出して辛くさせるだろうとわかっていましたが家族の方に当時の事を質問し、撮影に挑みました。おかげさまで息子を全力で愛し、物語に向き合う事ができたように思います。
■中井由梨子(原作・脚本) コメント
桂子さんに初めてお会いしたのは、二和向台の駅前でした。雨の中、傘をさして、近づいていく私に朗らかに「こんにちは」と挨拶をくださいました。第一印象は、その朗らかな笑顔です。息子さんを亡くされてまだ数か月。それなのに、取材でお話を伺っている間も、桂子さんは終始、笑顔と明るい声で話されていました。しかし何かの拍子に、ふっと瞳を潤ませる。「ごめんなさい」と言いながらまた笑顔に戻る、小柄で可愛らしい方ですが、心の奥の芯のようなものがとても強く、それが普段の気丈さに現れているのだと思います。取材を始めて4年。今、桂子さんは私にとって、『20歳のソウル』上での関係を越え、本当の家族のように心の通じ合う大切な存在になっています。尾野真千子さんが桂子さんの役をお引き受けくださったと聞いたときは、朗らかな明るい笑顔と笑い声、そして何よりさっぱりとした気丈な雰囲気が、桂子さんと強く共通していると感じました。撮影現場で尾野さんと今回の役についてお話させていただいた時、「どのシーンを読んでも涙が出てくる」と仰っていました。その言葉通り、尾野さんはスクリーンの中で、笑顔の下に常に涙を湛えている桂子さんの繊細さを丁寧に汲み取りながら存在してくださいました。この物語の中の“浅野桂子”という役は、私のフィクションも多く合わさっていますから、決して本物の桂子さんそのものではありません。しかし、この役を尾野真千子さんが体現してくださったことにより、逆に桂子さんが感じていたことがリアルに、ダイレクトに伝わっていると思います。
『20歳のソウル』
2022年 全国公開
監督:秋山純
原作:中井由梨子「20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド」
脚本:中井由梨子
出演:神尾楓珠 尾野真千子 佐藤浩市
配給:日活
【ストーリー】 浅野大義(神尾楓珠)は市立船橋高校吹奏楽部に所属する男の子。担当はトロンボーン。活発で優しく、そして真っすぐな大義は、いつも周囲を明るく照らし、そして大義自身も部員たちに支えられ、青春を謳歌していた。なにより特別な存在である顧問・高橋健一先生(佐藤浩市)に大きな影響を受け、心身共に成長していった。大義は、野球の強豪校でもある市船・野球部のために、オリジナル応援曲の作曲に挑戦。作曲の難しさと葛藤しながらも 高橋先生からの叱咤激励もあり「市船soul」が誕生する。そして、いざ試合で演奏されるとたちまち得点を呼ぶ“神応援曲”として呼ばれる様になる。高校を卒業した大義は、高橋先生の様な教師を志し音楽大学へ進学、夢に向かってキャンパスライフを過ごしていた。そんな中、ある日突然、大義の身体に異変が襲う。診察の結果、大義の身体は癌に侵されていた…。
©2022「20 歳のソウル」製作委員会