『舟を編む』、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『町田くんの世界』、『生きちゃった』の石井裕也監督最新作で、池松壮亮が主演、オダギリジョー、チェ・ヒソが共演する『アジアの天使』が、7月2日より公開中。このほど、7月3日にテアトル新宿にて公開記念舞台挨拶が実施され、キャストの池松壮亮、オダギリジョー、石井裕也監督が登壇した。
本作は去年の2月〜3月に韓国で撮影し、パンデミックにより帰国時に隔離の期間があったという。監督らと3人で、郊外の一軒家を借りて隔離生活をしたという池松は「ほぼ無駄な話しかしてなかったですが、無駄な井戸端会議から、お互いの顔色を見たり、感じていることを共有したり。ものすごく良い時間だった」と振り返る。「合理的なことを選ぶと、排除されがちですけど、どうでもいい意見から、いつしか真理にたどり着いたりした」としたが、「大してやることもなかった」そうで、「サッカーしてました。リフティングの練習したり。何かを身に着けたくて」と笑顔で語った。
韓国での撮影中「毎晩のようにビールを飲んでいた」という池松は、「韓国の人たちはものすごいお酒が好き。大量のビールを消費した」と説明。しかし当初は「(韓国人の俳優が)ものすごい酒飲みで、どんなに遅くなっても毎晩僕を待ってる。『日本の俳優は真面目だから、次の日に撮影があるときはお酒を飲まない』って、朝も早いから最初は断っていた」そうなのだが、「何日か後にオダギリさんが合流して、毎晩飲みに行っていて(笑)。僕の嘘がバレて、結局、毎晩みんなで行ってました(笑)」と当時を振り返った。
これにオダギリは「…どういう言い訳をするべきか。今考えています」と苦笑い。「まず家がないから、ご飯を食べなきゃいけない。そしたら飲むでしょう(笑)」とし、「これが真理です」と冗談っぽく笑った。
本作の内容にちなみ、人生で体験した奇跡のような経験を問われた池松は、「この映画があらゆる困難を経て、国と国との関係を越えて結実し、この日を迎えられたことが奇跡」とコメント。オダギリは、10年ほど前に乗ったタクシーの運転手に「『お客さん、オダギリジョー知ってる? 昨日、タクシーに乗ってきて、後ろで女とイチャつくんだよ』って言われて(笑)。確実に僕じゃない。『オダギリジョー』を名乗った人が乗ったタクシーに、次の日僕が乗るって(笑)。あれ以上の奇跡を経験したことがない」と語っていた。
『アジアの天使』
7月2日(金)より、テアトル新宿ほか全国公開
監督・脚本:石井裕也
出演:池松壮亮 チェ・ヒソ オダギリジョー キム・ミンジェ キム・イェウン 佐藤凌
配給:クロックワークス
【ストーリー】 8歳のひとり息子の学(佐藤凌)を持つ小説家の青木剛(池松壮亮)は、病気で妻を亡くし、疎遠になっていた兄(オダギリジョー)が住むソウルへ渡った。ほとんど韓国語も話せない中、自由奔放な兄の言うがまま怪しい化粧品の輸入販売を手伝う羽目に。元・人気アイドルのソル(チェ・ヒソ)は、自分の歌いたい歌を歌えずに悩んでいたが、亡くなった父母の代わりに、兄・ジョンウ(キム・ミンジェ)と喘息持ちの妹・ポム(キム・イェウン)を養うため、細々と芸能活動を続けていた。しかし、その時彼らはまだ知らない。事業に失敗した青木と兄、学たちと、資本主義社会に弾かれたソルと兄、妹たち…どん底に落ちた日本と韓国の二つの家族が共に運命を歩む時、ある“奇跡”を目の当たりにすることを…。
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