真黒毛ぼっくす・大槻泰永の日常を追ったドキュメンタリー『酔いどれ東京ダンスミュージック』が、9月17日より公開されることが決定した。併せて、特報映像、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。
大槻泰永は、上京してから32年、サラリーマンをしながら真黒毛ぼっくすとして活動を続けるミュージシャン。本作は、酔いどれな印象ばかりが先行してしまう大槻の日常を追い、曽我部恵一や石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)などのミュージシャン仲間や元妻、娘なども取材することで、大槻の新たな一面を明らかにし、あがた森魚とのライブタイトルを冠した代表曲「酔いどれ東京ダンスミュージック」の歌詞の内容も感じられる、愛すべきドキュメンタリーだ。
監督の長瀬由依は、東京藝術大学に在学中の2016年の春、度重なる偶然の理由で大槻の主催するライブに行き、後日、最寄り駅で目の前を歩いていた大槻に声をかけたことが出会いのきっかけだった。その後何度か杯を交わし、その人柄に惹かれ、卒業制作として構想するも、撮影は2017年春から年末まで続き、未完のまま卒業。のちに完成した作品は、東京ドキュメンタリー映画祭の正式出品作に選ばれた。
▼スタッフ&キャスト コメント
■長瀬由依(監督・撮影・編集)
大槻さんと出会ったきっかけは、2016年の春に代官山で行われた「酔いどれ東京大宴会」というイベントでした。それからしばらく経ったある日、最寄り駅で偶然大槻さんの姿を見かけて声をかけました。その時に初めて話したのですがお互い酔っ払っていて、後日連絡をもらってシラフの状態で会って話した時に、誠実な人なんだなと思いました。誰もがそうだとは思いませんが、自分に特別なものがないことを不安に思ったり、他人を羨ましく思ったりすることがあると思います。だけど、特別でなくてもいいのだと思わせてくれるのが大槻さんの魅力のうちのひとつです。歌っている時、酔いどれている時の大槻さんも、もちろん魅力的なのですが、ライブ以外での姿をみたらもっと好きになると思います。
■石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)
水木しげるの描く情けないサラリーマンをそのまま実写化したような大槻さん。もし日本に「酒飲み音楽」というジャンルがあったとしたら、高田渡さん亡き後、そのトップに君臨するのは大槻さんかもしれない。駄目を全身に纏った人間そのままの姿をステージで見せて自分を映す鏡のようにこちらをドキリとさせてくれる、稀有なミュージシャン。そこにピンと来てドキュメントを撮った若き長瀬監督の感性は本当に素晴らしい!
■中川五郎
いい映画はそこに映っている人を裸にする。大槻泰永さんは正直者で嘘つきだ。でもこの映画でそれがすぐにばれてしまうということは、彼は真底正直者なのだろう。歌うことなんて何もないというのは歌いたいことがいっぱいあってしょうがないということだし、ひとりは気楽でいいというのはひとりは寂しくてたまらないということだ。そんな大槻さんの正直者の本音が彼の美しい音楽の源であり、魂のありかなのだ。それを全部ばらしてしまっているこの映画は素晴らしい。
■大木温之(ピーズ)
酔っぱらいも、ステージの真ん中に立ってさえしまえば芸だから、こっちのもんだよね、うまくやってっかな大槻さん、自分は身体壊しちゃったけど、皆さんお元気ですか、また騒げたらいいすね、その日を楽しみに。
『酔いどれ東京ダンスミュージック』
9月17日(金)より、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・撮影・編集:長瀬由依
出演:大槻泰永 真黒毛ぼっくす 石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま) 大木温之(ピーズ) 曽我部恵一(サニーデイ・サービス) 知久寿焼(知久寿焼ちんどん楽団/パスカルズ/ex.たま) 中川五郎 ロケット・マツ(パスカルズ)
配給:アルミード
【作品概要】 バンド・真黒毛ぼっくすの大槻泰永は上京してから32年、会社員として働きながら音楽活動を続けてきた。かつてはテレビ番組“イカ天”こと「三宅裕司のいかすバンド天国」にも出場し、同世代や憧れのミュージシャンとも共演してきた大槻は今、仕事中と睡眠中以外はだいたい傍にお酒がある、そんな生活を送っている。ライブの最中に飲んだり、はたまた二日酔いだったり、時にはライブの前に飲みすぎて怒られたりと、その様に周囲の人々は最初は驚き振り回されながらも気がつけば渦の中に巻き込まれていく。
© Yui Nagase