男の子の身体に生まれたが、女の子になることを夢見るサシャと、彼女の母カリーヌ、家族が、さまざまな社会の壁に阻まれながらも、まだ幼く自分の身を守る術を持たないサシャの幸せを守るために奔走する“ゆずれない戦い”を追ったドキュメンタリー『Little Girl(原題)』が、邦題『リトル・ガール』として11月19日より公開されることが決定した。併せて、場面写真がお披露目となった。
サシャは2歳を過ぎた頃から自身の“性別の違和感”を訴えてきたが、学校では女の子としての登録が認められず、“男子”からも“女子”からも疎外、バレエ教室では男の子の衣装を着せられてしまうなど、社会は彼女を他の子どもと同じように扱えずにいた。やがて7歳になってもありのままに生きることができない、不自由なサシャ。家族は、そんな彼女の個性を支え、周囲に受け入れさせるため、学校や周囲へ働きかけるのだが…。「わたしは女の子」と言葉少なに訴えるサシャの真っ直ぐな瞳と強い意志が、観る者の心を震わせる。
監督を務めたのは、これまでもジェンダーやセクシュアリティに目を向けた作品を撮り続け、カンヌやベルリンを始め、世界中の映画祭で高く評価されているセバスチャン・リフシッツ。性と身体の不一致は肉体が成⻑する思春期に起こるのではなく、幼少期で自覚されることについて取材を始めていた過程で、サシャの母親カリーヌに出会い、この作品が誕生した。
本作は2020年ベルリン国際映画祭で上映後、モントリオール国際ドキュメンタリー映画祭のピープルズ・チョイス賞やインサイド・アウトLGBT映画祭の観客賞(ドキュメンタリー⻑編)など、世界中で様々な映画賞を受賞、またコロナウイルス感染の影響により劇場が封鎖されたフランスでは、同年12月にTV局ARTEにて放送され、視聴者数1,375,000人、その年のドキュメンタリーとしては最高視聴率(5.7%)を獲得。オンラインでも28万回以上の再生数を記録するなど大きな反響を呼び、ドキュメンターとして確かな地位を築いたリフシッツ監督の洞察に満ちた繊細なカメラは、家族の喜びの瞬間、直面する多くの課題を捉え、幼少期のトランス・アイデンティティに対する認知と受容を喚起する。
場面写真には、一番“自分らしくいられる”洋服を着て庭で幸せそうにダンスしたり、お気に入りのピンクのヘアクリップをつけるサシャの姿、母親と過ごす優しい時間、そして、バレエ教室で女の子用の衣装を着用させてもらえず、少し切なげに女の子たちを見つめるサシャのカットが。いずれも、まだ幼くても“本当の自分”であろうとする意志を感じる瞬間が収められる。
『リトル・ガール』
11月19日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督:セバスチャン・リフシッツ
出演:サシャ カリーヌ
配給:サンリスフィルム
【作品概要】 サシャは2歳を過ぎた頃から自身の“性別の違和感”を訴えてきたが、学校では女の子としての登録が認められず、“男子”からも“女子”からも疎外、バレエ教室では男の子の衣装を着せられてしまうなど、社会は彼女を他の子どもと同じように扱えずにいた。やがて7歳になってもありのままに生きることができない、不自由なサシャ。家族は、そんな彼女の個性を支え、周囲に受け入れさせるため、学校や周囲へ働きかけるのだが…。