デビュー短編「ある日本の絵描き少年」で注目された川尻将由監督の初⻑編作『CHERRY AND VIRGIN』製作決定、2022年公開!

デビュー短編「ある日本の絵描き少年」が、第74回毎日映画コンクール大藤信郎賞など多数の映画祭で賞に輝き、注⽬を集める川尻将由監督の商業デビューとなる初⻑編作『CHERRY AND VIRGIN』が製作開始され、2022年に公開されることが決定した。併せて、PV、イメージポスター、イメージボードビジュアルがお披露目となり、各界の著名人から応援コメントが寄せられた。

本作で川尻監督が挑むのは、普遍的なラブストーリー。⼥性に免疫が無いエロ漫画家の遼(32歳)と、腐⼥⼦で現実の男性に良い印象を持たない亜美(28歳)という、互いにリアルな男⼥関係が苦⼿な⼆⼈があるきっかけを通して偶然出会い、とまどいながらも他者と交わって⽣きることの“苦しさ”と“愛おしさ”を知っていくさまが、現代のサブカルチャーを通して描かれる。前作『ある⽇本の絵描き少年』と同様に実写映像素材をベースにしてアニメーションを制作する“ロトスコープ”と呼ばれる⼿法によって制作、アニメーションをベースにしながらも、実写、漫画の要素を取り⼊れた川尻の独創的な従来のアニメーションの枠を超えた映像表現は、邦画界に旋⾵を起こすこと必⾄だ。

川尻監督とともに本作の企画を⽴ち上げたのは、第39回⽇本アカデミー賞最優秀主演⼥優賞、最優秀脚本賞など国内外で数多くの賞を受賞した安藤サクラ主演『百円の恋』や、昨年の東京国際映画祭のオープニング作品としても話題を呼んだ森⼭未來主演『アンダードッグ』なども⼿がける気鋭のプロデューサー佐藤現。「3年前に川尻監督の前作『ある⽇本の絵描き少年』を観て魂が震え、その瞬間から“川尻将由”という才能を世界に送り出すことが、僕のプロデューサーとしての⽬標となりました。⽇本映画に新たな潮流が⽣まれる瞬間を⾒届けてください」と初めての劇場アニメーション作品のプロデュースに向けて決意を語る。

川尻監督は「アメリカのコミックには、所謂“アメコミ”と呼ばれるヒーローものを主体にしたジャンルと、『ゴーストワールド』や『アメリカン・スプレンダー』など⼈間ドラマを主軸にした成⼈向けのジャンル、“オルタナティブ・コミック”と呼ばれる、主流とは逸脱した作家性の強い作品群が存在します(ガロ系といった⽅が話は早いかもしれません……)。この企画『CHERRY AND VIRGIN』もまた決して⽇本のアニメの主流と呼べるものではありません。主⼈公たちは可能性を秘めたキラキラしている10代の男⼥ではなく、疲れたアラサーであり、遅れてきた⻘春をつかもうとする姿は痛々しく滑稽で、同情と批判のいりまじる少し居⼼地の悪いドラマが続く作品です。しかしその物語に内在する『男⼥の性差』『夢と現実』『⾃⼰実現と⾃⼰探求』といったテーマを語るための映像表現は、とても新鮮で豊かなものになっております。“キャラクター商売”でもなく “セルルック”のアニメでもなく、⽇本のアニメマナーから今最も逸脱した商業作品だと⾃負しています。ご興味ある⽅は、この⽇本で数少ない“オルタナティブ・アニメ”が完成するよう、是⾮ご助⼒お願い申し上げます」と、本作完成に向けての意気込みを語った。

▲川尻将由監督

すでに川尻の才能に注⽬する国内外の映画⼈からの応援コメントも到着。2018年、同様にクラウドファンディングを通してアニメーション映画『⾳楽』を製作、スマッシュヒットを⾶ばした岩井澤健治は「川尻監督作品からは商業ベースで作家主義を貫ける可能性を感じます。新作が新しいアニメーション表現による映画体験になることを期待しています!」と述べ、『勝⼿にふるえてろ』や『私をくいとめて』などでも知られる映画監督の⼤九明⼦は『ある⽇本の絵描き少年』を観て「しんじ君が公園で覆⾯を剥がした瞬間、私はとても悲しくなった。あの⼆⼈には幸福だらけでいてほしかったんだと思う。泣いたり笑ったりしっかりエンターテイメント。それはまさに、映画でした」と期待を寄せている。

同時に、「motion-gallery」でのクラウドファンディングが4⽉27⽇より開始される。2022年春完成を⽬指し、⽬標⾦額を300万円に設定。公開に向けての国内外での宣伝などに費やす。

▼応援コメント

■岩井澤健治(アニメーション映画『⾳楽』監督)
川尻監督作品からは商業ベースで作家主義を貫ける可能性を感じます。新作が新しいアニメーション表現による映画体験になることを期待しています!

■⼤九明⼦さん(映画監督)
(『ある⽇本の絵描き少年』を観て)しんじ君が公園で覆⾯を剥がした瞬間、私はとても悲しくなった。あの⼆⼈には幸福だらけでいてほしかったんだと思う。泣いたり笑ったりしっかりエンターテイメント。それはまさに、映画でした。

■⾜⽴紳(脚本家・映画監督・⼩説家)
川尻将由監督の「ある⽇本の絵描き少年」を観たのは、昨年春の最初の緊急事態宣⾔のときだった。好きな映画さえも⾒る気になれない、重い気持ちの⽇々だったから、20分という短い時間ならと思って⾒た。⼀瞬のようにも、とてつもなく⻑くも感じた濃厚なその20分の間、現実を忘れ、終わった時には現実に⽴ち向かう⼒が漲っていた。家族全員に無理やり⾒せた。その川尻監督が初めての⻑編映画を制作されるということで、きっと「ある⽇本の絵描き少年」を観た⼈たちは全員が楽しみにしていると思う。ご覧になっていないかたはユーチューブですぐ⾒られるので是⾮観て頂きたい。川尻監督の⻑編映画を絶対に観たくなると思います。

■カズ・ワタナベ⽒(ジャパン・カッツ 副ディレクター)
川尻将由さんが新しいプロジェクトを準備していることを知り、とてもワクワクしています。私は、 彼の短編映画『ある⽇本の絵描き少年』をとても好きです。アニメーション、映画制作、ストーリーテリングに対する彼の計り知れない創造性と才能を⽰している作品です。2019年にジャパン・カッツでこの作品を上映できたことをとても誇りに思います。彼が次に何をするのか、楽しみです。

■ルパート・ボッテンベルク(ファンタジア国際映画祭「アクシス」部⾨(アニメーション)ディレクター)
川尻将由監督の思慮深く⾰新的な短編映画『⽇本のある絵描き少年』を選んだことは、プログラマーとして最も満⾜のいく選択でした。この作品では、語り⼿の⼈間的な成⻑と主⼈公の創作が成熟していく様⼦が、⾮常に卓越した説得⼒のあるやり⽅で並⾏して描かれ、観客を予想外の感動的な結末へと導いてくれます。この有望な才能からもっともっと作品が⽣まれることを期待するばかりです。

■アリエル・エステバン・ケイヤー(ファンタジア国際映画祭アジア・プログラミング共同ディレクター)
コンセプチュアルな短編作品『ある⽇本の絵描き少年』の万華鏡のような多⾯的なアニメーション・スタイルを通してわかることは、川尻将由監督が、多様なスタイルや様々な時代のアニメをよく勉強していること、そして⼀⼈のアーティストの進化をよく⾒ていることです。そして彼⾃⾝が最も有望な若⼿作家の⼀⼈であることを証明しました。彼の今後の作品に期待したいと思います。その作品は、スタイル的にも、感情的にも、知的にも、野⼼的なものであるべきです。

『CHERRY AND VIRGIN』
2022年 全国公開
監督:川尻将由
出演:⼤⾨嵩 清瀬やえこ
配給:東映ビデオ

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