阿部寛「戦争で傷ついた人物たちが愛を通して理解し、許し合うラブストーリー」マレーシア映画『夕霧花園』7月公開!

マレーシア出身のリー・シンジエが主演し、阿部寛が共演する、台湾のトム・リン監督が贈る三つの時間軸からなる幻想的でミステリアスな歴史ラブストーリー『夕霧花園』(ゆうぎりかえん)が、7月24日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。

本作は、大阪アジアン映画祭のオープニングを飾り、上映後には拍手が鳴り響いたマレーシア映画。日本ではあまり語られることのない第二次世界大戦におけるマレーシアの歴史と共に一組の男女の切ない恋が紐解かれていく。物語は亡き妹の夢である日本庭園造りに挑んだヒロイン・ユンリンと日本人庭師・中村が出会ったことで動き出す。キャメロンハイランドの美しい景色を舞台に、日本軍による占領という歪んだ主従関係にあったマレーシアと日本という国の因縁を超えて惹かれあう二人だが…。戦中の1940年代、戦後の1950年代、そして1980年代からなる三つの時間軸を通して物語が描かれる。

監督は台湾恋愛映画の名手トム・リン。爽やかな青春映画や恋愛映画を手掛けてきたトム・リンが今作品では舞台をマレーシアに、戦争という歴史から見えてくる人間の光と闇のコントラストを巧みに描き切った。ユンリン役は香港・台湾映画界をメインに活動するマレーシア出身のリー・シンジエ。日本では『The EYE【アイ】』やツイ・ハーク監督の『MISSING ミッシング』などで知られ、2012年の大ヒット韓国映画『10人の泥棒たち』でのジュリー役も話題となった。本作では時代に翻弄されながらもたくましく生き抜く女性を好演した。日本人庭師・中村役は日本を代表する俳優の一人である阿部寛が務めた。昨今のイメージにはない繊細で幻想的な役どころ。庭師であり多才な芸術家、そして終戦時、日本軍により埋められたとされる莫大な埋蔵金「山下財宝」にまつわる秘密を握るスパイ疑惑をかけられる稀有なキャラクターを演じ、新たな魅力を発揮した。台湾を代表する女優であり、監督としての活躍も目覚ましいシルビア・チャンが1980年代のユンリンを担当。そのほか、『眺めのいい部屋』、『ドラゴン・タトゥーの女』、『オーシャンズ13』などのジュリアン・サンズら実力派が出演し、映画監督のホー・ユーハンがカメオ出演するなど、個性豊かな面々が作品を彩る。

原作はマレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説「The Garden of Evening Mists」。ブッカー賞ノミネート、マンアジア文学賞と歴史小説のウォルタースコット賞を受賞している。

ポスタービジュアルは、「交差する記憶と終わりの想い」というコピーと共に、ヒロイン・ユンリンと阿部寛演じる中村有朋(アリトモ)のそれぞれの意味ありげな目線が印象的だ。

■トム・リン監督 コメント
この度、『夕霧花園』がようやく日本で公開される運びとなり、大変嬉しく思っています。過去3作品にわたって私の映画が日本で公開されてきましたが、今回が一番興奮し、また同時に緊張もしています。激動の時代の禁じられたロマンス──『夕霧花園』はそんな重厚な題材を扱っていますが、その中に強い愛や、哀れみ、そして救済のメッセージを伝えています。私が愛情を注ぎ手掛けたこの作品の物語が、みなさまに感動をもたらすことを願っています。

■阿部寛(中村有朋役) コメント
トム・リン監督より出演依頼がマレーシアのastro Shawという制作会社経由で事務所までメールで連絡を頂きました。話を進めるにつれ、監督の熱意が伝わってきました。まず脚本を読ませて頂き、そこから一年近く監督とのやり取りを経て本作品への出演を決めました。その後、歴史背景についてはドキュメンタリーや本などを通して色々リサーチし、有朋(アリトモ)の役は、日本庭園の庭師であり、また彫り師でもあり、日本の精神性を表現する文化ですから、実際に庭師の先生や、彫り師の先生、また茶道の先生たちにも直接ご指導頂きました。有朋のキャラクターはミステリアスとも言えるかもしれませんが、武士道のような一種の美学が彼にはあり、それは日本人の僕としてとても共感できるもので、そういう意味ではとても親しみが持て、演じやすい人物でもありました。監督から聞いた言葉でもありますが、悪者と善人を単純に描くという良くある戦争映画ではありません。戦争で傷ついた心をもつ人物たちが愛を通して理解し、許し合うラブストーリーです。そこを皆様にはぜひ観て頂きたいです。

『夕霧花園』
7月24日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督:トム・リン
原作:タン・トゥアンエン
脚本:リチャード・スミス
出演:リー・シンジエ 阿部寛 シルヴィア・チャン ジョン・ハナー ジュリアン・サンズ デビッド・オークス タン・ケン・ファ セレーヌ・リム
配給:太秦

【ストーリー】 1980年代、マレーシアで史上二人目の女性裁判官として活躍するユンリン(リー・シンジエ)はキャリアアップのため連邦裁判所事を目指していた。かつて愛した中村(阿部寛)がとある財宝にまつわるスパイとして指弾されているのを知り、彼の潔白の証拠を探すことを決意する。ユンリンにとって忘れることのできない約30年前の記憶を手繰り寄せ、想いが交差していく…。

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