生存者証言を参考に、北朝鮮強制収容所の内情を描きつつ、過酷な環境で生きていく家族とその仲間たちが生き抜いていく姿を3Dアニメーションで描いた衝撃の感動作『トゥルーノース』が、6月4日より公開されることが決定した。併せて、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、各国の映画祭で話題となり、レオナルド・ディカプリオも激賞したドキュメンタリー映画『happy – しあわせを探すあなたへ』のプロデューサーを務めた清水ハン栄治の初監督作品。在日コリアン4世であり、幼い頃から帰還事業で北朝鮮に渡航後に消息を絶った人たちの話を聞いていた監督が、実際に収容体験をもつ脱北者や元看守などにインタビューを行い10年もの歳月をかけて作り上げた。
音楽監督は、ディズニー長編アニメ映画『ムーラン』のマシュー・ワイルダーが担当する。
強制収容所内の恐るべき実態を描きつつ、家族愛、仲間との絆・ユーモア、死にゆく者への慈しみの心情などが、実写ではなく、あえて優しいタッチの寓話的なアニメーションで描かれた本作は感動と評判を呼び、アニメ映画の世界最高峰を選ぶ権威あるアヌシー国際アニメーション映画祭「長編コントルシャン部門」にノミネート。またワルシャワ国際映画祭・審査員特別賞、ナッシュビル映画祭・長編アニメ部門グランプリ、韓国のプチョン国際アニメーション映画祭長編部門の特別賞を受賞するなど海外の映画祭を席捲、昨年の第33回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス部門」では正式上映され話題となった。
予告編は、「12年前、私は母国から亡命しました。これは私の家族の物語です」とカメラに向かって語りかける男性の言葉から始まる。1995年北朝鮮・平壌、両親と幸せに暮らしていた主人公ヨハンは、突然父が政治犯の疑いで逮捕され、母と妹ミヒとともに悪名高き強制収容所に送還されてしまう。「お母さん心配しないで。僕が母さんとミヒを守る」とヨハンは決意するが、飢えと極寒の中、「お前らは皆使い捨てなんだよ」と過酷な労働を強いられる。そんな生存競争の中、ヨハンは次第に優しい心を失うが、家族を失ったことで本来の自分を取り戻していく。
ポスタービジュアルには、「それでも、生きていく。」というコピーと、高い壁がそびえる場所に立ち、遥か遠くの空を自由に飛ぶ鳥を見つめるヨハンの後ろ姿が収められる。
■清水ハン栄治(監督) コメント
『トゥルーノース』というタイトルには二つの意味を込めました。一つは英語の慣用句で“絶対的な羅針盤”の意。人間として進むべき方向や生きる真の目的を、究極の環境でも見失わない主人公たちの葛藤を描きたかった。二つめに“ニュースでは報道されない北朝鮮の現実”。それは今日でも12万人以上が収容されている政治犯強制収容所での人権蹂躙と、抑圧の中でも健気に生きる北朝鮮の人々のヒューマニティーを表現したかったのです。
『トゥルーノース』
6月4日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本・プロデューサー:清水ハン栄治
制作総指揮:ハン・ソンゴン
制作:アンドレイ・プラタマ
音楽:マシュー・ワイルダー
声の出演:ジョエル・サットン マイケル・ササキ ブランディン・ステニス エミリー・ヘレス
配給:東映ビデオ
【ストーリー】 1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民したパク一家は、平壌で幸せに暮らしていたが、突然父が政治犯の疑いで逮捕。家族全員が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い、他人を欺く一方、母と妹は人間性を失わずに生きようとする。そんなある日、愛する家族を失うことがきっかけとなり、ヨハンは絶望の淵で「生きる」意味を考え始める。やがてヨハンの戦いは他の者を巻き込み、収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。
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