『グッド・ストライプス』で新藤兼人賞金賞を受賞した岨手由貴子監督が、山内マリコによる同名小説を門脇麦主演、水原希子共演で映画化する『あのこは貴族』が、2月26日より公開される。このほど、夫婦役を演じた門脇麦と高良健吾のウェディングシーンを収めた本編映像と場面写真がお披露目となった。
本作は、同じ都会に暮らしながら、全く異なる生き方をする二人の人生が交差したとき、それぞれが自分の居場所を見つめ、恋愛や結婚だけではない自分の人生を切り開こうとするシスターフッドムービー。
代々東京の中心地に居を構える良家の箱入り娘・華子を演じたのは、映画では『二重生活』以来の単独主演となる門脇⻨。結婚=幸せだと信じて疑わず、20代後半に差し掛かることではじめて焦りを感じ始めた彼女は、義兄の紹介で出会った幸一郎(高良健吾)とお見合い結婚をすることに。後に、華子と水原演じる美紀を結びつける重要な役どころとなっていく幸一郎は、代々政治家を輩出してきた名門の家柄であり、華子と同様に歴史ある名家の子息だ。
場面写真には、そんな二人を象徴するかのような麗しいウェディング姿が。二人が並び立つその姿は気品に溢れ、神聖な空気をも感じとれそう。門脇は、シンプルでありながら、上質で清楚な印象を放ち、華やかさも欠かさない見事なドレスの着こなしを披露している。加えて、暖炉の前で指輪を差し出し、華子にプロポーズする幸一郎の姿や、薬指に光る指輪を幸せそうに見つめる華子の姿を捉えたカットも収められる。
本編映像には、親族一同が揃う記念写真を撮影するシーンが映し出される。両家ともに代々続く名家として、格式高い式を迎えたばかりの厳かな雰囲気が漂う中、ドレスを着る華子を気遣うように後ろを振り向き、ゆっくり進む幸一郎と、その小さな優しさに柔らかく微笑む華子など、二人の幸せそうな姿も見て取れる。このシーンは、岨手監督のこだわりで気品漂う、昭和初期の代表的華族邸宅・和敬塾本館(旧細川侯爵邸)で撮影された。和敬塾本館は東京都指定有形文化財であり、選ばれた本物だけが入れる空間を演出するのに一役買っている。
門脇は、高良との芝居の中で次第に二人の関係性が変化していくことが興味深かったようで、「最初のお見合いのレストランシーンは全て幸一郎にすべて身を委ねるという感じだったのですが、後半のシーンは不思議と自分(華子)が引っ張っていっている感じがあって、関係性が変わったと感じたのも面白かったです」と撮影を振り返る。劇中では、その言葉通り、美紀との出会いによって結婚=幸せという価値観が次第に変化していく華子。控えめなセリフと表情を通し、これ以上にないほどその様を雄弁に表現してみせた門脇の演技は圧巻だ。
『あのこは貴族』
2月26日(金) 全国公開
監督・脚本:岨手由貴子
原作:山内マリコ「あのこは貴族」
出演:門脇麦 水原希子 高良健吾 石橋静河 山下リオ 佐戸井けん太 篠原ゆき子 石橋けい 山中崇 高橋ひとみ 津嘉山正種 銀粉蝶
配給:東京テアトル バンダイナムコアーツ
【ストーリー】 東京に生まれ、箱入り娘として何不自由なく成長し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華子(門脇麦)。20代後半になり、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手立てを使い、お相手探しに奔走した結果、ハンサムで良家の生まれである弁護士・幸一郎(高良健吾)と出会う。幸一郎との結婚が決まり、順風満帆に思えたのだが…。一方、東京で働く美紀(水原希子)は富山生まれ。猛勉強の末に名門大学に入学し上京したが、学費が続かず、夜の世界で働くも中退。仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。幸一郎との大学の同期生であったことから、同じ東京で暮らしながら、別世界に生きる華子と出会うことになる。二人の人生が交錯した時、それぞれに思いもよらない世界が拓けていく…。
©山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会