高良健吾、廣木隆一監督とラブコメ作品で「一緒にふざけてみたい」『アンダー・ユア・ベッド』公開中プレミアムトーク祭り レポート

KADOKAWAとハピネットの共同制作プロジェクト「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」の第2弾で、主演の高良健吾がベッドの下から女を監視する狂気の男を演じる『アンダー・ユア・ベッド』が7月19日より公開中。このほど、7月27日にテアトル新宿にて公開中プレミアムトーク祭が行われ、主演の高良健吾、スペシャルゲストとして、映画『M』、『軽蔑』、『彼女の人生は間違いじゃない』などで高良とタッグを組んだ廣木隆一監督が登壇した。

土用の丑の日、夜もむし暑い中、今ジワジワと世界中に広がる『アンダー・ユア・ベッド』現象。その台風の目とされるテアトル新宿のレイトショーには、暑さを押しのけ集まった観客たちによって埋まる満席と立見席。上映後には自然と拍手が巻き起こった。そこに登壇したのは本作の主役、三井を演じた高良健吾。続いて、高良と幾度もタッグを組み高良の演技に大きな影響を与えた廣木隆一監督が登壇した。

高良は「こんなにたくさんのお客さんに集まってもらい本当にうれしいです。廣木監督たちとさっきご飯食べていて思い出したんですけど、マスコミが入るのを忘れていて…(Tシャツにジーンズのラフな格好を見せ)こんな感じです。今日は楽しんで帰ってください」とお茶目な高良の表情での挨拶からスタート。廣木監督は「この映画と全く関係ない廣木です。今夜は高良健吾を丸裸にしたいと思いますので、よろしくお願いします」と挨拶した。

廣木監督と高良は『M』(2007)にて初タッグを組み、『雷桜』(2010)、『軽蔑』(2011)、『きいろいゾウ』(2013)、『彼女の人生は間違いじゃない』(2017)、そして『海まで何マイル』(2019)と共に作品を作り続けている。廣木監督は最も高良を知る人物とも言え、高良が「今日ずーっと朝からソワソワしていたんですけど、それがなぜか不思議で。廣木さんとこうやってトークするの初めてだなとここに向かっていて気づきました。今はもう大丈夫です」と今の心境を吐露すると、「今は俺が緊張してるよ」と廣木監督も語り笑いをさそった。「僕が熊本の高校3年生の時、事務所に挨拶しに行って、初めて廣木さんに会いましたね」と高良が監督との初対面を語ると、「その時には『M』をやると決めていたので、「あ、ここに『M』の主演がいたぞ」って当時思いましたね」と廣木監督。「でも、その後オーディションがありましたよね?(笑)」(高良)、「一応ね(笑)」(廣木監督)と『M』のキャスト決定の裏話が披露された。高良は「それから、嬉しくて廣木さんの映画をいろいろ観て、これからすごいとこに行くんじゃないかって当時すごく思いました」と当時の心境を語った。

続けて、高良は「今日は廣木さんと話したことないことを話せたら自分もラッキーだなと思っています。今までずっと気になっていたんですけど、『M』で河原でキャッチボールするシーンがあって、ただのキャッチボールするだけのシーンなのにテイクが20~30もあって、その時に『お前ずっと立ててないから』って廣木さんに言われたんです。確かに自分も18で熊本から出てきたばかりでソワソワして芝居に集中できていなかったんです。『立ててない』って言われて、『この人は何を見ているんだろう、なんでバレるんだろう』と思ったんですよね。何を見ていたんですか?」と当時から疑問に思っていたことを明かした。それに対して、廣木監督から「何を見ていたんだろう(笑)。まぁ、芝居は見ているけど、その演技の場所に立つまでを見ていて、気持ちの見え方とかを見ている。それができてないから『立ってないじゃん』とかは言う。あえて言うこともあって、言うことで何か考えてくれるかな?って。役者さんのどこをつつけばいいかっていうのをすごく考えている」と監督の考えが語られた。

それを聞いた高良は「僕の場合、廣木さんの演出って厳しいイメージがあるんですけど、さっき新宿3丁目にいて当時18で中打ち上げした時のことを思い出しましたよ。その日の演技は『自分はできた』と思ったんです。だから、調子に乗って『今日の俺、出来てたっすよね?』って廣木さんに聞いたら、『はぁ?』って言われて、そこから中打ち上げですごい怒られて、そこからトイレに籠るっていう(笑)。そしたら皆が下で待っててくれてたっていうのを、さっき思い出しました」と当時の苦い思い出を語ると、廣木監督は「今日、健吾のファンがいっぱいいるから、僕、ほとんどの人に嫌われるじゃない(笑)」と心配そうに語り、「でも僕のヒリヒリした役どころは『M』から始まってます!(笑)」と高良も応戦した。

客席とのティーチインで、「高良さんが演じた三井を見て廣木監督はどう思ったか?」と聞かれると、廣木監督は「一つの作品のなかの彼の執着している部分や純粋な部分、自分の殻から出る部分、いろんな感情を内包している主人公はこれからどうするんだろうってすごいドキドキして見ていた」と語った。続いて「二人でやりたい役、やってほしい役は何か?」と聞かれ、高良は「これからラブコメをやるんですけど、自分は初めてだから、最近ラブコメばっかり見ていてほっこりしています。そういうのもやってみて一緒にふざけてみたいですね」とコメント。「『オオカミ少女と黒王子』みたいなね(笑)」と廣木監督は自身の監督作を例に出し語った。

本作に関しての話が続くと、高良は「今回この映画ではおむつ履くシーンがあるんですけど、その時思ったのが『三井くん、本気出したぁ!』って思いましたね(笑)」、それに対して廣木監督は「おむつプレイかと思ったよ(笑)」と会場を笑わせ、「おむつのシーンでも爽やかだよね」というと会場に納得の声が広がった。さらに、「すごい変態なことをしているのに何故かすがすがしい作品だと思った。それは現場の勢いがあったからだろうな」と本作について語っていた。

30代を迎えた俳優・高良健吾について話が及ぶと、廣木監督は「健吾が30になったって、俺の中では信じがたい部分がすごいある。『M』が制作から公開されるまで時間があったから、健吾を連れてヨーロッパの映画祭に行って、帰ってきてすぐ東京国際映画祭で新人賞をとってすっごい嬉しかった。やった!って思ったよ。しかも、その受賞のスピーチが18なのに立派でびっくりしたんだよね」と当時の高良を思い出すように語り、「(今年は)『彼女の人生は間違いじゃない』で久しぶりに健吾が出演してくれて、その時に面白いなと思ったのが、健吾がちゃんと相手の芝居を引き出そうというのができていて、健吾の芝居につられて相手の芝居が変わるってことをなんだかすごく嬉しく思って見ていた。昔に比べてすごくリラックスしていたし、18~30歳で12年のキャリアってすごいなって思うし、その中で存在できている」と最近の高良の芝居の変化を語った。それに対し高良は、「廣木さんに、その年齢をその年ごとにちゃんと演じるように言われて、それをずっと大切にしている」と応えた。

観客からの最後の質問では「30代になって高良さんの色気が増したと思うのですが、廣木監督はその色気をどんなふうに撮りますか?」と問われ、廣木監督は「僕だったら高良健吾に抱きしめられたいですね(笑)」とジョークで会場を笑いに包んだ。まだまだ語り足らない二人だったが、時間に追われ最後の言葉に高良は「まずこんな風に二人で話すこともそうそうないことだったし、みなさんと一緒に共有できて楽しかったです。この作品『アンダー・ユア・ベッド』は自分の中でも特別な作品であり、廣木監督とこうやって語ることができてすごい特別な時間でした。僕、映画が好きだなぁって改めて思いました。また映画館で会いましょう。ちょくちょくいるので(笑)。今日はゆっくり休んでください。おやすみなさい」と挨拶し、イベントは幕を閉じた。

『アンダー・ユア・ベッド』
7月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー中
監督・脚本:安里麻里
原作:大石圭「アンダー・ユア・ベッド」(角川ホラー文庫刊)
出演:高良健吾 西川可奈子 安部賢一 三河悠冴 三宅亮輔
配給:KADOKAWA

【ストーリー】 雨の日の無人のエレベーター。誰かの香水の香りが残っている。俺(高良健吾)は思い出す。この香り…、11年前、たった一度だけ名前を呼んでくれた佐々木千尋(西川可奈子)のことを。親からも学校のクラスメイトからも誰からも名前すら憶えられたことのないこの俺を「三井くん」と呼んでくれた時のこと。俺は人生で唯一幸せだったあの感覚にもう一度触れたいと思い、彼女を探し出すことにした。家庭を持った彼女の家の近所に引っ越し鑑賞魚店を開店し、自宅に侵入、監視、盗撮、盗聴、彼女の近くで全てを覗き見ていたいと思った。だが、俺の目に映ったのは、全く別人に変わり果てた姿だったのだが…。

©2019 映画「アンダー・ユア・ベッド」製作委員会