「復讐するは我にあり」で直木賞を受賞した佐木隆三の小説「身分帳」を、西川美和監督が役所広司主演で映画化する『すばらしき世界』が、2月11日より公開される。このほど、役所広司の満65歳の誕生日である本日、役所演じる主人公・三上の姿を捉えた場面写真がお披露目となった。
▲(更生への道)規律を守る三上
これまで一貫してオリジナルにこだわり続けた西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ本作。13年の刑期を終えた三上を待っていたのは、目まぐるしく変化する、想像もつかない世界だった。三上に近づき、彼の姿を面白おかしく番組にしようする二人の若手テレビマン。まっすぐ過ぎるが故にトラブルばかりの元・殺人犯が、いつしか彼らの人生を変えてしまう。
▲(ビフォー)証言を見守る三上
▲(ビフォー)検察側の質問を受ける三上
▲(ビフォー)身分帳の三上
ビフォー写真では、13年前に裁判を受ける姿や、受刑者の経歴を事細かに書き写した個人台帳である身分帳の写真など、三上(役所広司)の収監される前の様子が見てとれる。一方、更生への道の写真では、収監され刑期を全うしたり、出所後、刑務所で培ったミシンの技術を披露、免許の再取得に奮闘するなど、真面目に更生への道を進んでいるかに見える一方で、チンピラに睨みを利かせるなど一発触発の不穏な場面も収められ、波乱に満ちた三上の人生の再出発の様子がうかがえる。
▲(更生への道)刑務所で培ったミシンの技術を披露する三上
▲(更生への道)出所後免許の再取得に励む三上
▲(更生への道)チンピラに遭遇する三上
社会のレールから外れながらも、何とかまっとうに生きようと悪戦苦闘する三上の姿に称賛が集まり、第56回シカゴ国際映画祭にて観客賞、今村昌平監督作『赤い橋の下のぬるい水』以来、自身2度目となる最優秀演技賞(役所広司)の2冠の快挙を達成した。三上というキャラクターについて役所は「(三上は)小学校のときの道徳の時間で、学校の先生たちが困った人を見たら助けようとか、そういう正義感について教えてくれるけど、成長していく中で、ほとんどの人がその教えを破っていく。社会に出ると、正義を貫くことはだんだん難しくなってくる。でも、三上はその受けた教育をそのまんま実行していて、人が困っているのを見ると助ける、いじめられる人を見過ごせない。彼は幼い時に学校で言われた『小さな親切をしましょう!』という教えをただ守っているんじゃないですか」と語る。
『すばらしき世界』
2月11日(木) 全国公開
監督・脚本:西川美和
原案:佐木隆三「身分帳」
出演:役所広司 仲野太賀 六角精児 北村有起哉 白竜 キムラ緑子 長澤まさみ 安田成美 梶芽衣子 橋爪功
配給:ワーナー・ブラザース映画
【ストーリー】 下町の片隅で暮らす短気ですぐカッとなる三上(役所広司)は、強面の見た目に反して、優しくて真っ直ぐすぎて困っている人を放っておけない男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で暮らした元殺人犯だった。一度社会のレールを外れるも何とか再生しようと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)がすり寄りネタにしようと目論むが…。三上の過去と今を追ううちに、逆に思いもよらないものを目撃していく…。
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会