本広克行監督、押井守監督、小中和哉監督、上田慎一郎監督が参加する映画実験レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」が発足され、そのレーベル第1弾作品として本広克行監督、小川紗良主演による映画『ビューティフル ドリーマー』が、11月6日より公開される。このほど、30秒予告編と新場面写真がお披露目となり、併せて、キャストの斎藤工と監督の本広克行よりコメントが寄せられ、本作の半分以上の台詞が俳優のエチュード(=アドリブ)であることが明かされた。
本作は、映画レーベル「シネマラボ」の第1弾作品。映画を撮ったことのない先勝美術大学映画研究会の部員たちは、映研に伝わる“いわくつきの台本”の映画化に挑むが、「これは撮ろうとすると必ず何か恐ろしいことが起こる台本」という言葉通りに、部員たちは次々に予期せぬ困難やトラブルに見舞われる。果たして彼らは無事にクランクアップできるのか!?
■斎藤工(サイトウタクミ役) コメント
参加させて頂き光栄です。本広監督達が掲げた“現代の【ATG(日本アート・シアター・ギルド)】”これはこれからの邦画の希望になり得ます。それは今で言うアメリカに置ける【A24】なのかも知れない。これだけ世界中の優れたコンテンツ、映画が配信を通じ我々も周りにある昨今なのに、未だに邦画によくある、同じ様なキャスト、同じ様な内容をシャッフルして、もう既に何度か見た事ある様な、企業が“損しなさそうな”安心安全作品では無く、本質的に時代に沿った、自由度とクオリティを保って邦画界のニューニュートラルの一歩目に本作がなる事を願っています。
■本広克行(監督) コメント
役者さんだからエチュード(即興芝居)の練習はしているだろうと思ったんですけど、今回はエチュード(即興芝居)力の高い人をキャスティングしたんです。シーン設定を役者に教えてカメラを回し、横から僕が掻き乱すんです。僕が、横から口立てで「ブライアン・デ・パルマって言え!」「トリュフォーのアメリカの夜って言え」と言うんです。それを役者が、「あぁ、いま指令が来た」と瞬時に考えて芝居の中に「あの、アメリカの夜なんだけど」とエチュードで入れていく。僕的にはその「戸惑い」が最高に面白いです。ドSになった気分でした。今回の演出は無茶振りするから、役者さんは戸惑うから耐えられる人じゃないとダメだなとも思っていました。実は僕は今回は普段の演出と全然違って、「遊んでる感じ」。口立てで一番覚えているシーンは、森田甘路くんがあるミスをして謝罪するシーン。謝る先には何があるかな、祈るしかないなと思って、森田くんに口立てで「祈れ、祈れ」と指示を出した。もう自分の声が音声に入っているくらい口立てしてました。周りの映画研究会のメンバー5人は森田くんのエチュードを繋ぐのに一生懸命で、おかしくても笑えない。森田くんは必死に祈るし、周りの役者5人は必死に笑いをこらえながら真面目にエチュードを繋ぐ。このシーンは印象に残ってます。自分もめちゃめちゃ笑いました。そんなはずねえだろ!って(笑)。斎藤工くんのエチュードはあまり喋らないけど、エチュード力が高くて素晴らしかった。ぽつっと言う一言のワードセンスが素晴らしかった。小川紗良ちゃんは笑ってたね(笑)。役者で出て頂いた皆さんは「監督、楽しそうですね」と言われるんですけど、現場で僕の好きな映画のタイトルとかをできるだけ横から入れて、エチュードで役者さんたちにやってもらおうと思ってました。『ゼロ・グラビティ』『羊たちの沈黙』『パプリカ』『オーメン』『エクソシスト』『椿三十郎』『ブレードランナー』『メイズ・ランナー』などなど。「デ・パルマ・カット」とかも言ってもらいましたね(笑)。原案は押井守さんにお願いして、夢が叶って原案書いて頂いて。元は軽音楽部だったんだけどお金がかかるので、僕が経験のある映画研究会の話にして。この間、赤ペン滝川さんに「台本あったんですか?」と言われましたけど(笑)。ほとんど口立て+エチュード(即興芝居=アドリブ)ですから。個人的には今のシーンはなんだろうって言う、「先行のモンタージュ」などの手法も入れ込めたのでとても満足しています。映画『ビューティフルドリーマー』は自分に興味のあることを、興味のある人、興味のあるスタッフを呼んで作った、「堅苦しくない映画」です。公開まであと2週間。是非、映画館で観て頂ければと思います。
『ビューティフルドリーマー』
11月6日(金)より、テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかにて全国順次公開
監督:本広克行
原案:押井守「夢みる人」
脚本:守口悠介
出演:小川紗良 藤谷理子 神尾楓珠 内田倭史 ヒロシエリ 森田甘路 伊織もえ かざり 斎藤工 秋元才加 池田純矢 飯島寛騎 福田愛依 本保佳音 瀧川英次 齋藤潤 田部文珠香 升毅
配給:エイベックス・ピクチャーズ
【ストーリー】 翌日にせまった文化祭の準備に追われ、先勝美術大学の校内は、学生たちの熱気と喧騒に包まれていた。 そんな中、例年通り文化祭で展示も発表もしない映画研究会の部室だけは、いつもと同じように、まったりとし た時間が流れていた。しかしその朝「部室の片隅に何かある」という不思議な夢を見たサラ(小川紗良)は、本当に古い段ボール箱を見つけてしまった!その中には古い脚本と演出ノート、1本の16mmフィルムが入っていた。そのタイトルは『夢みる人』。さっそく映写してみるが、なぜかその映画は未完のままだった。そこにふらりと表れたOBのタクミ先輩(斎藤工)は、彼らに「これは撮ろうとすると必ず何か恐ろしいことが起こる、OB達の間ではいわくつきの映画だ」と告げる。しかしこの映画にすっかり魅せられたサラは「これ、私たちでやってみない?」と部員たちに猛アピール。監督はサラが担い、プロデューサーはリコ(藤谷理子)、撮影はカミオ(神尾楓珠)、 録音にウチダ(内田倭史)、衣裳とメイクはシエリ(ヒロシエリ)、助監督とその他雑用をモリタ(森田甘路)が担当し、一致団結してはじめての映画制作への挑戦が始まるが、部員たちは次々に予期せぬ困難やトラブルに見舞われる。やがて、資金は底をつき、準備していたクラウドファンディングも大失敗。この脚本は本当に呪われているのか?この終わりなきトラブルに出口はあるのか!?
©︎2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会