田辺・弁慶映画祭にて史上初となる5冠を達成し、笠松七海と村田唯がダブル主演する『おろかもの』が、11月20日より公開される。このほど、予告編と場面写真がお披露目となり、併せて、各界著名人より本作を絶賛するコメント、スタッフより作品に対するコメントが寄せられた。
本作は、『横道世之介』の沖田修一監督や『愛がなんだ』の今泉力哉監督など、今の日本映画界を牽引する監督を輩出する若手映画監督の登竜門、田辺・弁慶映画祭にてグランプリを含む史上初の最多5冠を受賞したほか、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019観客賞、ドイツ・ニッポンコネクション2020にも正式招待されるなど、他の映画祭でも多数受賞し、映画祭シーズンを席巻してきた話題作。
結婚を目前に控えた兄の健治が、美沙という女性と浮気をしている現場を目撃してしまう高校生の洋子。衝動と好奇心に突き動かされて美沙と対峙した洋子は、美沙の独特の物腰の柔らかさと強かさ、そして彼女の中にある心の脆さを目の当たりにして、自分でも予期せぬ事を口走ってしまう…。
主演を務めるのは、田辺・弁慶映画祭でグランプリを受賞し高評価を得た『空(カラ)の味』や、『次は何に生まれましょうか』『アルム』などの笠松七海と、今泉力哉監督『退屈な日々にさようならを』等へ出演のほか、映画監督としても活躍する村田唯。二人は本作の演技で田辺・弁慶映画祭や各映画祭で俳優賞を受賞、その熱演と魅力、コンビネーションを高く評価された。そのほか、『カメラを止めるな!』『カランコエの花』のイワゴウサトシ、『退屈な日々にさようならを』の猫目はち、『スペシャルアクターズ』の南久松真奈など、インディーズ映画界で活躍してきた俳優陣が集結し、各々に当て書きされた役柄で魅力溢れる最高のアンサンブルを織り成す。
監督は、『空(カラ)の味』で撮影を務めた芳賀俊と、監督作品『ボーダー』が映文連アワードで準グランプリを受賞した鈴木祥が共同で務める。
予告編は、洋子(笠松七海)が兄の浮気相手である美沙(村田唯)に「結婚式、止めてみます?」と持ちかける場面から始まる。二人の奇妙な友愛がうかがえる内容となっている。
▼著名人 絶賛コメント
■沖田修一(映画監督)
ちゃんと面白い映画です。それがどれだけ難しいことか。二人の監督のこれからが楽しみです。
■犬童一心(映画監督)
よくぞここまでという素晴らしさ。監督が、『ターミネーター2』の崇拝者だけのことはあるサスペンスフルな躍動する青春恋愛映画。アクション、ホラーを愛する人は信用できる。私は、『ダーティハリー』と『ドラキュラ』を参考に、「ジョゼと虎と魚たち」を撮りました。村田唯さん、強力だった。
■井口昇(映画監督)
『おろかもの』は、決して愚かな映画ではない。むしろ崇高に美しい映画だ。最低な駄目キャラ達が最高に愛しく見えるショットの数々。抱きしめたくなる女性映画です!
■城定秀夫(映画監督)
オーディオビジュアル関連の驚異的な技術力、どこにでも落ちているような物語をゾクゾクするバディムービーに展開させる脚本力、すべての女性を可愛く見せる演出力…こんなのを自主映画でやられた日には我々低予算商業映画組の立つ瀬などあったものではなく、もう歯ぎしりと共にひれ伏すしかありません。
■松崎健夫(映画評論家)
世界的にも不寛容で排他的な傾向が強くなっていると言われる国際社会の中で、この不寛容に満ちた物語は、やがて予想外な“和”のあり方を導いてゆく。『おろかもの』が描く日常生活における“和”は、不寛容に満ちた世界が寛容という名の優しさにつつまれてゆく希望を提示しているようにさえ見える。若き世代によるこの人間賛歌は、混沌とした時代だからこそ、まさに今観るべき作品なのだ。
■大友りお(日本映画大学教授・文学批評)
彼女たちは、優しいという身振りを演じるのではなく、手を差し伸べて共に生きることで、それぞれの戦争に勝つ。今も巷の物語に溢れている、女たちを分割し互いに戦わせる父権主義の言説が、『おろかもの』め、と一喝されているので、実に心地よい。
■溝口彰子(視覚文化研究者)
心底びっくりした。脚本家と共同監督の3人全員が男性でこのようなストーリーの作品が、シスターフッドを称揚するフェミニスト映画だなんて思いもしなかったから。スラリとした美人なのに愛人関係をやめられず自己評価の低い美沙(村田唯)の姿には、ジェンダー・ギャップ指数が153国中121位の日本における女性たちのリアルで複雑な困難がうかがえる。そう、この映画にはステレオタイプな人物がいない。果歩(猫目はち)の言動は一見『耐える女』風だが、彼女の眼差しには強く主体的な意思がある。
■西川ちょり(映画ライター)
普段、脳内に深く刻まれたお約束の“パターン”が見事に打ち砕かれていく。それは日常、私達が、いかに“それらしい物語”に毒されているかということであり、『おろかもの』はそうしたものから少しずつずれている。その自由さこそがこの作品の大きな魅力だ。どの俳優もどのキャラクターも愛さずにはいられない、『おろかもの』とはそんな映画だ。
▼スタッフ コメント
■芳賀俊(監督)
当初の公開予定日から半年の延期を経て、漸く皆様に『おろかもの』をお届け出来る事をとても嬉しく思っています。今作は人のどうしようもない愚かさや愛しさを、時に可笑しく、時にサスペンスフルに、そして時にはアクション映画のように描いた、非常に娯楽性の高い魅力的な作品に仕上げました。登場人物達の心の機微を大胆且つ微細に演じた素晴らしい役者陣の表情を是非とも大きなスクリーンでご堪能ください。
■鈴木祥(監督)
新型コロナウイルス感染症の影響下で テアトルシネマグループや田辺弁慶映画祭の方々など、上映に日々ご尽力されている皆様には深く感謝申し上げます。 また、この度の新型コロナウイルス感染症に罹患された方とご家族・関係者の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。 この状況下ではありますが、皆様に映画館で作品をお届けできることを光栄に思います。
■沼田真隆(脚本)
自分達の大切な映画を、劇場で皆様にお届けできる事の幸せを噛み締めています。男臭い所帯で作り上げた映画ですが、女性の心をこれまでの日本映画に無いトーンで描き出そうと試みています。くすりと笑ってじんわり熱くなって、どうか感情のジェットコースターをお楽しみ下さい。 そしてこの脚本は、愛する役者達を輝かせる為に書きました。彼女達の素晴らしい魅力と演技を、是非スクリーンで目撃して下さい。
『おろかもの』
11月20日(金)、12月4日(金)〜12月10日(木)テアトル新宿にて公開
12月18日(金)~21日(月)シネ・リーブル梅田にて公開
監督:芳賀俊 鈴木祥
脚本:沼田真隆
主題歌:円庭鈴子「kaleidoscope」
出演:笠松七海 村田唯 イワゴウサトシ 猫目はち 葉媚 広木健太 林田沙希絵 南久松真奈
配給:MAP+Cinemago
【ストーリー】 結婚を目前に控えた兄の健治が、美沙(村田唯)という女性と浮気をしている現場を目撃してしまう高校生の洋子(笠松七海)。衝動と好奇心に突き動かされて美沙と対峙した洋子は、美沙の独特の物腰の柔らかさと強かさ、そして彼女の中にある心の脆さを目の当たりにして、自分でも予期せぬ事を口走ってしまう。「結婚式、止めてみます?」二人の女性達の奇妙な共犯関係が始まる。
©2019「おろかもの」制作チーム