芦田愛菜「自分が理想とするその人の人物像に期待してしまっている」“人を信じる”ことについて持論を語る!

芥川賞作家の今村夏子による小説を、主演に芦田愛菜を迎え、『日日是好日』の大森立嗣監督が映画化する『星の子』が、10月9日より公開される。このほど、9月3日に恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンルームにて完成報告イベントが行われ、キャストの芦田愛菜、永瀬正敏、原田知世、そして大森立嗣監督が登壇した。

6年ぶりの実写映画主演作に髪の毛をバッサリ切った芦田愛菜。脚本を読んだとき、「“信じる”というのがひとつのテーマになっているのかなと思いました」とその感想を語った。演じた主人公ちひろは芦田と同世代だが、演じるにあたり、「一人でいる時は悩んだり、悲しんだり、決意を感じさせたり、かと思えば、友だち過ごしているときは純粋に楽しんでいたり、そんな多面的な部分を表現できたらいいなと思っていました。また、“信じる”という言葉は、身近に使っている言葉ですが、ちゃんと分かってないなと。自分の答えを、ちひろと一緒に、探していこうと思いました」と述べ、髪を切ったことについては、「髪が長い自分が、ちひろを演じているのがしっくりこなかったので、大森監督に相談させていただきました」と明かした。

芥川賞作家・今村夏子の初の映像化作品である本作。大森監督は「ちひろの感情を固定化しないことを大切にしました。心の揺らめきを芦田さんが自由に演じられる環境を作りたかった。芦田さんにがんばってもらうしかないのですが、さすがでした」と語り、「両親との会話で生まれてくるものを大事にしてくださいと伝えていたんですが、楽しんでくれていたみたいでした」と振り返った。

親子を演じた芦田愛菜、永瀬正敏、原田知世だが、永瀬は「原田さんは久しぶりですが、全く変わっていなくて、現場でずっと『変わっていないですね』と言っていました」、原田は「愛菜ちゃんは、小さいときから活躍している姿を見ていて、親しみを持ってご一緒しました。16歳になって、すてきな女の子になりましたけど、見ていると幼いころ面影が見えてきて、愛しくなりました」と共演の感想を語った。

登場人物それぞれの“信じる”ということが描かれた本作。芦田にとって“信じる”とは「よく、その人のことを信じようと思いますという言葉を使うことがありますが、それってどういう意味なんだろうってと考えました。それは、その人自身を信じているのではなくて、自分が理想とするその人の人物像みたいなものに期待してしまっていることなのかなと感じて。だから人は、裏切られたとか、期待していたのにと感じてしまう。でもその人が裏切ったわけではなく、その人の見えなかった部分が見えただけであって、その見えなかった部分が見えたときに、あっ、それもその人なんだと受け止められる揺るがない自分がいるか、信じられるかということなのかなと思ったんです。けれど、揺るがない自分の軸を持つのってすごく難しく不安になったりします。だからこそ、人は『信じる』と口に出して、成功した自分とか理想の人物像にすがりたいんじゃないかと思いました」と思いを述べた。これに永瀬も「しっかりしてるでしょ(笑)。これ以上の答えはないですよ」と脱帽。続けて、「僕は信じているのは一貫して映画です。映画に裏切られたことないので映画を信じています」と熱い思いを口にした。

次に、作中に出てくる「流れ星」にちなみ、登壇者たちは“今、流れ星にお願いしたいこと”を星形のフリップに回答した。芦田は「猫と話したい」と書き、「最近、猫を飼い始めました。私のことをどう思っているか聞いてみたいです。困ってることない?楽しく生活できてる?ご飯は何がいい?と、一日だけでもいいから猫と話したいです」と嬉しそうに話した。そのほか永瀬は「和」、原田は「自由に旅ができる日がやってきますように」、大森監督は「コロナのない日常」と新型コロナや災害に見舞われた状況を反映させた内容を書いていた。

最後に、芦田は「この映画を通して信じるってなんだろうと深く考えたんですけど、それは人それぞれで違いますし、答えがあるものではないと思います。でも、映画を観てくださったみなさんにとって“信じる”ってなんなんだろう、自分が信じたいと思える人って誰なんだろう、そんなことを考えるきっかけになってもらえたら嬉しいなと思います」とメッセージを送り、本イベントは幕を閉じた。

『星の子』
10月9日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督・脚本:大森立嗣
原作:今村夏子「星の子」
出演:芦田愛菜 岡田将生 大友康平 高良健吾 黒木華 蒔田彩珠 新音 永瀬正敏 原田知世
配給:東京テアトル ヨアケ

【ストーリー】 大好きなお父さん(永瀬正敏)とお母さん(原田知世)から愛情たっぷりに育てられたちひろ(芦田愛菜)だが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じていた。中学3年になったちひろは、一目惚れしてしまった新任のイケメン先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きる…。

©2020「星の子」製作委員会