松林うららが自身の地元である蒲田を舞台にプロデュースし、伊藤沙莉、瀧内公美らが各短編でそれぞれ主演を務める連作長編映画『蒲田前奏曲』が、9月25日より公開される。このほど、本作の予告編ロングver.と新場面写真がお披露目となり、併せて、キャストの川添野愛、和田光沙、葉月あさひ、近藤芳正、大西信満、吉村界人よりコメントが寄せられた。
本作は、売れない女優マチ子の眼差しを通して、“女”であること、“女優”であることで、女性が人格をうまく使い分けることが求められる社会への皮肉を、4人の監督が各自の手法でコミカルに描き、一つの連作長編として仕上げた新しいタイプの長編映画。
▼キャスト コメント
■川添野愛(琴子役/穐山茉由監督作「呑川ラプソディ」)
歳を重ねるにつれて、性別、地位、社会性、本当に重要ではないことがすごく大きな問題にみえたり、それのせいで息苦しくなったり。みんな自分なりに一生懸命で、秘める思いもあって。映画を通して彼女たちを見ると人間ってどんな時でもそれなりに面白おかしく生きようと努力しているんだなと笑みがこぼれました。撮影中も琴子としてある種どこか俯瞰した視点があったように思います。バランサーでしたね。
■和田光沙(静役/穐山茉由監督作「呑川ラプソディ」)
人生の価値や、幸せの定義は自分自身が決める事。私が今回『呑川ラプソディ』に関わって感じたテーマです。この作品に出てくる5人の女性は、30歳を目前に、未来への不安や、現状への不満、他人と自分を比べて嫉妬したり、それぞれの置かれた立場で葛藤を抱えています。仲の良い友達同士だったからこそ、互いを意識して言えなかった本音を、腹を割って話し、ぶつかり合うことで、自分自信も他人も肯定して、1歩前に踏み出せたと思います。私は唯一の既婚者である静香を演じましたが、どんな場所におかれても、今を幸せにいきることが明るい未来に繋がると思い演じました。5人がドレスを着て、呑川の橋を、過去を思い出しながら渡るシーンが特に印象的です。個人的には、銭湯巡りが趣味なので、東京名物での黒湯蒲田温泉での撮影、至福の時間でした!
■葉月あさひ(小夏役/穐山茉由監督作「呑川ラプソディ」)
「すべての女は女優である」というフレーズを耳にしたことがあります。職場での顔、友人の前での顔、親の前での顔、好きな人の前での顔…常にその場にふさわしい顔を使いわけている女性は多いのではないでしょうか。私もその一人なのだと思います。『呑川ラプソディ』で私が演じた小夏という役は、無邪気ながらも心の中に密かな葛藤を抱えた女の子です。そんな彼女に突如「どんな顔をしていいのか分からない」瞬間が訪れます。小夏がつい口にした、本音とも建前ともつかない曖昧な言葉が波紋を生んでしまうのです。その時彼女は、ずるくもあやふやにしてきた感情に、どう向き合いどう答えを出すのか。偶然の出会いがどう影響するのか。そういったことを考えながら演じました。この映画が、日々演じることに疲れてしまった方々に届くと嬉しいです。
■近藤芳正(プロデューサー・板垣浩介役/安川有果監督作「行き止まりの人々」)
どうもセクハラプロデューサーの近藤芳正です。撮影は一日でした。安川監督の求める演技が掴めなくなり苦労したのを思い出したね。役者はいつでも監督の期待に応えたいものです。しかし応えようとすると益々離れていく事は良くある事で。監督の言う事はイイ加減に「どうでもイイよ」と、いつも自分に言い聞かせてはいますが。ずっと付き纏うのかなぁ。松林うららちゃんとは、3年ぐらい前にイヴァナ・チャバックというアクティングコーチの方が、日本で演技レッスンをやるというので受けた時に知り合いまして。そのレッスンに参加したメンバー同士が、戦友みたいな気持ちになり結束したんですね。結束と言っても、たまにみんなで一緒に飲むぐらいですけど(照)。その、うららちゃんがプロデュースで映画を撮るって!行動力すごいなぁ!僕も芝居のプロデュースは何度かした事があるのですが、まぁ大変です!でも、大きく自分を成長させる事が出来るチャンスです!だって役者目線とプロデュース目線って全然違うので。視野が拡がるかと!次もやったほうがイイよ、うららちゃん。
■大西信満(監督・間島アラン役/安川有果監督作「行き止まりの人々」)
セクハラ、パワハラ、モラハラ…。まだ今ほど、“〇〇ハラスメント”という言葉が世間に浸透していなかった頃に実際に出会ったり見聞してきた人たちをモデルに思い出し、ちょっとアクを強めに演じた作品を観てみたら、そこにはひどく前時代的な、とんでもないハラスメントの権化が映っていました。日々溢れかえる情報の波を受け止め自分自身をアップデートしていかなければいけない今の時代に、この作品を通して得た気付きはとても大きく、そして、少し怖くもありました。改めて、日々自分を刷新していかなければと自戒を込めて。
■吉村界人(助監督・水野圭介役/安川有果監督作「行き止まりの人々」)
まず、普段とは逆の立ち場で女優という存在を見つめてるという不思議な体験でした。その中で昨今、自分は映像作品に携わっている裏側の人間にもかなり興味があったので、助監督の役というポジションは凄く演じるのが楽しみでした。そしてオムニバス形式というのは、一人の人生をもっと分厚く描くという意味で、凄く意義がある手法だとも思っております。「女優」という一つの存在の目線が様々で、深くなると感じました。世間のイメージしている「女優」の葛藤だけではなく、色んな視点から時に笑えたりする作品になっていると感じました。
『蒲田前奏曲』
9月25日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森ほか全国順次公開
プロデューサー:松林うらら
配給:和エンタテインメント MOTION GALLRY STUDIO
第1番「蒲田哀歌」
監督・脚本:中川龍太郎
出演:古川琴音 須藤蓮 松林うらら
【ストーリー】 オーディションと食堂でのアルバイトの往復で疲れ果てている売れない女優、マチ子。ある日、彼氏と間違われるほど仲の良い弟から彼女を紹介されショックを受ける。だが、その彼女の存在が、女として、姉として、女優としての在り方を振り返るきっかけとなる。
第2番「呑川ラプソディ」
監督・脚本:穐山茉由
出演:伊藤沙莉 福田麻由子 川添野愛 和田光沙 松林うらら 葉月あさひ 山本剛史
【ストーリー】 アルバイトをしながら女優をしているマチ子。大学時代の友人5人と久々に女子会をするが、独身チームと既婚チームに分かれ、気まずい雰囲気に。そこでマチ子は蒲田温泉へ行くことを提案する。5人は仕事、男性のことなどを話し合い、次第に隠していたものが丸裸になっていく。
第3番「行き止まりの人々」
監督・脚本:安川有果
出演:瀧内公美 大西信満 松林うらら 吉村界人 二ノ宮隆太郎 近藤芳正
【ストーリー】 映画のオーディションを受けたマチ子。セクハラや#metooの実体験やエピソードがあれば話すという内容だったが、皆、思い出すことに抵抗があり、上手く演じられない。そんな中、マチ子の隣にいた黒川だけは迫真の演技を見せる。マチ子は共に最終選考に残ったが…。
第4番「シーカランスどこへ行く」
監督・脚本:渡辺紘文(大田原愚豚舎)
出演:久次璃子 渡辺紘文
【ストーリー】 マチ子の実家は大田原にある。大田原に住む親戚の小学5年生のリコは、大田原で映画の撮影現場にいる。そこへとある映画監督が撮影現場の待機場所にやってきて…。渡辺紘文監督ならではの視点で東京中心主義、映画業界、日本の社会問題についての皮肉を、お決まりの作風で描く。
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