惜しくも昨年5月に95歳で亡くなった、世界的絵本作家ジュディス・カーによる自伝的小説を映画化した『When Hitler Stole Pink Rabbit(原題)』が、邦題『ヒトラーに盗られたうさぎ』として11月に公開されることが決定した。
原作は、「おちゃのじかんにきたとら」などシンプルで味わいのあるイラストで世界中の子供や大人も夢中にしてきた世界的絵本作家ジュディス・カーが、自身の少女時代の体験をもとに書き、話題を読んだ自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」。
本作は、1933年、ヒトラーの台頭によってナチスが政権を握る直前にその迫害から逃れるために家族とともに故郷ドイツを出国、スイス、フランスを経て1936年にイギリスへと渡ったジュディス自身の少女時代の過酷な亡命生活の体験をもとに、“9歳の少女アンナ”が貧困や差別などの困難を乗り越えながら家族との絆を深めていく姿を描く。
監督は、『名もなきアフリカの地で』で第75回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したカロリーヌ・リンク。2019年クリスマスにドイツで公開された際には、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』『アナと雪の女王』『ジュマンジ・ネクストレベル』などハリウッド超大作がひしめく中、初登場4位を獲得。公開初日からわずか4日間で1,769,687ドル(約1.8 億円)の興収を達成するなど大ヒットを記録した。
9歳の主人公・アンナ役は、1000人ものスカウトから見出された新人のリーヴァ・クリマロフスキが、どんなに過酷な状況に出会ってもまっすぐに前を向く少女を瑞々しい感性で演じきった。そのほかアンナの父役に『帰ってきたヒトラー』でヒトラー役を務めたオリヴァー・マスッチ。母役に『ブレードランナー 2049』のカーラ・ジュリ。アンナとその家族を常に気に掛ける心優しいユリウスおじさん役に『お名前はアドルフ?』のユストゥス・フォン・ドホナーニ。そして、アンナの兄マックス役には『はじめてのおもてなし』のマリヌス・ホーマンが扮する。
『ヒトラーに盗られたうさぎ』
11月 シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督・脚本:カロリーヌ・リンク
原作:ジュディス・カー
脚本:アナ・ブリュッゲマン
出演:リーヴァ・クリマロフスキ オリヴァー・マスッチ カーラ・ジュリ
配給:彩プロ
【ストーリー】 1933年2月。ベルリンに住む9歳のアンナ(リーヴァ・クリマロフスキ)は、兄のマックスや友人とともにカーニバルを楽しんでいた。しかし、同じ夜、クラシックのコンサートに行く準備をしていたはずの両親はなぜか出掛けないまま、深刻な顔で話し込んでいた。そして翌朝アンナは「家族でスイスに逃げる」と母(カーラ・ジュリ)から突然告げられる。実は、新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた辛口演劇批評家だった父(オリヴァー・マスッチ)はユダヤ人であったため“次の選挙でヒトラーが勝ったらヒトラー反対者への粛清が始まる”という忠告を受けており、選挙が近づきヒトラーの勝利が現実味を帯びてくるにつれ、身の危険を感じた父と母はヒトラーの弾圧から逃れるために密かに逃避行の準備を始めていたのだ。住み慣れた家を離れる際「持ち物は一つだけ」と母に告げられたアンナは、大好きな“ピンクのうさぎのぬいぐるみ”、そしてお手伝いさんのハインピー、食卓、書斎、ピアノ、台所…一つ一つに別れを告げる。そしてそれは、それまで何不自由なく暮らしていた彼女の平和な家族の風景が一変、この日を境に過酷な逃亡生活へと足を踏み入れていく始まりでもあった。
©2019SOMMERHAUS FLIMPRODAKTION GMBH/LA SIALA ENTERTAINMENT GMBH / NEXTFILM FILMPRODAKTION GMBH&CO.KG/WARNER BROS.ENTERTAINMENT GMBH