斎藤工「キスをする映画の価値が変わってくる」、ムロツヨシ「準備不足で焦りました」『緊急事態宣言』オンラインイベント!

園子温、中野量太、非同期テック部(ムロツヨシ+真鍋大度+上田誠)、真利子哲也、三木聡ら日本を代表する5組の監督が、豪華キャストを迎え「緊急事態」をテーマに、それぞれ自由な発想で全く違う5つの「映画」を作り上げる『緊急事態宣言』が、8月28日よりAmzon Prime Videoにて独占配信される。このほど、8月22日に各作品の監督、キャストによるオンライン・リレー式の「完成記念会見オンラインイベント」を実施され、斎藤工、園子温監督、非同期テック部(ムロツヨシ+真鍋大度+上田誠)、夏帆らが登壇した。

●「MAYDAY」より真利子哲也監督、岩瀬亮、内田慈(ちか)

Q:ほかの4作品とは趣の違うドキュメンタリー作品ですが、なぜこのような作品にされたのですか?

真利子監督:3月14日まで1年間アメリカにいたというのもあって、海外に住んでいる人の日常が気になってこのような作品になりました。撮影に協力してもらった方は友達の友達までいます(笑)。近況を聞いてきになったことを撮ってもらうようにしました。送ってもらった映像はそれぞれ面白かったのですが、どういう話の組み立てにしよう何度か折れそうになりました。ありのままに撮ったものを構成していきました。

Q:たくさん素材があったと思いますが編集はどう仕上げていかれましたか?

真利子監督:たくさんある映像素材の中で、過不足なく作り上げていくと予定していた時間よりだいぶ長い63分という尺になりました。言葉がわからないけれど映像で伝わるものありました。

Q:コロナ前、コロナ後で変わったことは?

真利子監督:世界中が同じような状況なので、みんな繋がっているなと感じました。新しいアプローチではあるけれども真利子監督の作品になっているねと言っていただけるとこのようなやり方もあるんだなと自分でも発見になりました。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

真利子監督:完全にこの作品です。皆さんに送っていただいていた映像を観て、そう作り上げていこうかと考えているうちに緊急事態宣言が明けていました。

Q:本作への出演いかがでしたか?

岩瀬:コロナ禍で楽しまれて消費されていくだけの作品じゃなく、何年後かに観ても人に伝わるものがあるんじゃないかなと思います。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

岩瀬:家で過ごすことが多かったので、映画を観返したりして新たな発見など学びになりました。毎回毎回、長い映像を監督に送ってしまっていたことを反省しています。

Q:撮影の仕方が通常と違いますが、いかがでしたか?

内田:日常だけれど、カメラがあるというのは頭にあり演じているので、役者として不思議な体験でした。完成した作品をみると、それぞれが知らない人たちでありながら違う日常だけれど、各国のパートパートでバトンを渡しているような感覚でした。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

内田:衣食住を見直して、ちゃんと丁寧に生活することにより目を向けた気がします。自分の姿を撮ってすぐに観るというのは役者としてもすごい発見がありました。

●「デリバリー2020」より中野量太監督、渡辺真起子、青木柚

Q:ストーリーはどう膨らましていきましたか?

中野監督:「緊急事態宣言」という面白い企画で存分にできたかなと思います。じっくり考えてやるタイプなので本来は苦手なんです。この状況で言い溜まっているものが、怒りだったり、閉塞的な感情が溜まっていたりしたので普段の食卓、家族、誕生日会という日常がコロナ禍というバックグランウンドでこれだけ変わるというのを描きたかった母は栃木あたりで暮らしていて娘と息子は上京している設定で、画のイメージは元々ありました。リモート撮影で離れていても会話がちゃんとできているというのが発見でした。今回は「家族にみえる」という演出は難しかったので、脚本にその想いを込めました。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

中野監督:家で大体ボーっとしていましたが、家族と過ごせたのは良かったですね。川を散歩したり、考える時間は増えました。近所のお持ち帰りは食べつくしました。

Q:本作へのご出演いかがでしたか?

渡辺:中野節ここにありという作品になっていると思います。物語には素直に入っていったけど出来上がりが想像し辛かったけど、監督が脚本に自信満々なので、安心して臨みました。いまだかつてないくらいのタイトな撮影(半日)でした。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

渡辺:散歩したり、ごはん丁寧に作ってみたり、ケーキつくってみたり本当に皆さんと同じような生活でした。

Q:本作へのご出演いかがでしたか?

青木:本は理解できるけど、どんな映像になるのか想像がつきませんでした。リモートでの撮影が初めてだったので不安でした。黙って聞いているのも全て映っているので、しぐさを意識しました。3人の中に「ある出来事」が根底にあれば、家族として繋がっているように見えるとおっしゃっていたので意識して演じました。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

青木:ミニマリストの人がかっこいいなと思い、部屋中のものを断捨離しました。捨てた瞬間気持ちよくて大人になった気分だったのですが、緊急事態宣言が明けたらまた同じようなものを買い戻してしまいました(笑)。

●「孤独な19時」より園子温監督、斎藤工

Q:ストーリーはどこから想起されましたか?

園監督:日本におけるコロナの拡がりをみていると不安になるところからですね。ジャンルは星新一みたいなショートショートのイメージでSFです。

Q:演出で気をつけたことはありますか?

園監督:あまり現実味のないロケーションだとウィル・スミスのディストピア映画みたいになってしまいかねないので、近未来とはいえ今の日本に近いロケーションはイメージしました。

Q:物語で意味をもつキスのイメージはすんなり出てきましたか?

園監督:難産の時もあるのですが、今回は苦労せずに、イメージが出てききました。

Q:斎藤さん起用の理由は?

園監督:長い友達ではあるけど、しっかりと一緒にやれていないので、ハマり役をやっていただければと思いました。

Q:孤独について監督はどう考えていますか?

園監督:誰にとっても孤独との戦いはあると思います。コロナとの戦いはどんな結末がまっているのか……。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

園監督:シナリオの貯金をしていました。だいぶ捗りました。

Q:今回園監督とご一緒されていかがでした。

斎藤:園監督に指名いただけたことは光栄につきます。元々「100年ウィルス」というタイトルだったんですが現実もペスト、スペイン風邪など疫病が100年周期で来ているんですよね。地球からの警告、未来の話なのに過去を描いているような印象も受けました。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

斎藤:比較的外に出るタイプではないのであまり変わらず、エンジンを動かし続けていました。

Q:一度も外出をしたことのない男の設定でしたがいかがでしたか?

斎藤:「緊急事態宣言」中はコンビニすらいかなかったのでとてもリアルでした。宇宙空間を漂う宇宙船のよう。どこにたどり着くんだろうという孤独がこの本につまっていました。象徴的な濃厚接触がキスシーンですが、今後意味が変わっていく。今を表す象徴的な一つだなと思います。キスをする映画の価値が変わってくると思います。

Q:コロナ禍でも精力的に活動されていますが?

斎藤:孤独からの脱却のため、自分の存在を確かめるために精力的にトライしています。

Q:誕生日おめでとうございます。30代最後ですがどうですか?

斎藤:生かされた時間が延長したというか、与えられた時間でやるべきことをやらねばなと思います。30代最後も40代も映画に関わっていたいなと思います。この作品は100年後への手紙、映像芸術だなと思います。

●「DEEPMURO」より非同期テック部のお三方(ムロツヨシ、真鍋大度、上田誠)

ムロ:まだ完成形観てない!非同期テック部の誕生はリモート飲みでこういう事態だからだからこそ、何かできることがないかと真鍋さんと話して酔った勢いもあり「やろう!」となってお話を作れる上田さんにお声をかけて非同期テック部が設立しました。緊急事態宣言が出されていて、家で全部できたことはこの状況だからこそだと思います。第二回作品は難しいことをやりすぎて、大変でした!自粛期間中に休まらなかったんです。この「緊急事態宣言」への参加でまた新たな試みをしまして、柴咲コウさんに半ば冗談でオファーしたら受けていただけたんです!部活じゃなくなった瞬間です。ちゃんとした映像作品としてご覧いただけるということを嬉しく思っています。

Q:キャストの皆さんとつくりあげて印象に残っていることは?

ムロ:きたろうさんはしっかりと準備をしたい方なので台本を催促されたのが印象に残っていますね(笑)。柴咲コウさんは芝居が出来上がっていたのにこちらが準備不足でヤバいと焦りました。

真鍋:リモートでしか会話をしていない状況で、ムロさんが家にいて、ムロさんの家にあるものを操作できると面白いんじゃないかというテック的なアイデアを出させていただきました。急にまた忙しくなったタイミングでこの作品にとりかかり、ムロさんがいなかったとしても成立するのでは…というテックを用いています。

上田:「DEEPMURO」はネタバレなしで観ていただきたい!ので本編の映像ナシ!自己紹介に代えさせてください。非同期テック部の設立経緯はムロ部長よりお願いします。5月5日に第一回作品をインスタライブで発表しました。5月31日には第二回作品をYoutubeライブで作品を発表しました。第二回作品を経てこの「緊急事態宣言」へのオファーを受けました。柴咲コウさんとの会議では緊張しました。

●「ボトルメール」より三木聡監督、夏帆、ふせえり

Q:物語の着想は?

三木監督:3月ごろ撮影所に人がいなくなって、誰もいないスタジオが設定なら面白いかなと思いました。実際撮ってみたらもうその頃は活気があって人がいない感じを出すのが難しくなっちゃって(笑)。夏帆さんは追い詰めてみたいランキング一位だったので、この企画だと面白いと思いキャスティングさせていただきました。追い詰められている感じを強めるために夏帆さんの役は仕事を干されているという設定にしました。演出の距離感を出すことは苦労しました。

Twitterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

三木監督:バイクの部品を磨きまくっていました。

Q:本作へのご出演いかがでしたか?

夏帆:お二人と一緒ですごく緊張しています。実は休みをとって旅行に行こうと思っていたのですが、この状況だったので行けなくて声をかけていただけて良かったです。半年ぶりの現場だったんで、セリフを覚えられるか、声がうまく出せるかなど少し不安でした。

Q:本作へのご出演いかがでしたか?

ふせえり:最近ちょっと顔色が悪いと言われまして、良くいくチーズ屋さんにも心配されました。あれ、これどういう意味なんだろうっていうのが多かったんですが世の中もっと不条理なことはありますからね(笑)。

Titterより
Q:緊急事態宣言中はどう過ごしていましたか?

ふせえり:仕事がぱっとなくなってアマゾンでポチっとするくらいしかなかった。いざぱっと仕事がなくなると退化するんじゃないかと、声の出し方とか。監督も「よーい、スタート」の声が裏返っちゃったりして(笑)。この制約された状況下での撮影は逆に楽しめました。前からソーシャルディスタンス女なので、やっと距離をとれるような時代になってくれてうれしいです。

『緊急事態宣言』
8月28日(金)より、Amzon Prime Videoにて独占配信

「デリバリー2020」
監督:中野量太
出演:渡辺真起子 岸井ゆきの 青木柚

【ストーリー】 自粛生活が続く中、離れ離れに暮らす家族が「誕生日は皆で祝う」というルールに従いオンラインで集まった。画面越しに食卓を囲む母、娘、そして息子。父は予定通り19時に帰宅するという。だがこの恒例行事には、オンラインという以外にも例年と違う点があった…。

「孤独な19時」
監督:園子温
出演:斎藤工 田口主将 中條サエ子 関幸治 輝有子

【ストーリー】 COVID-19収束後に現れたさらに狂暴なウイルスにより、自粛生活の続く日本。人々は50メートルのソーシャルディスタンスを保って生活していた。生まれてから一度も外に出たことのない音巳は、外から聞こえる奇妙な音が気になるあまり、初めて家の外へ踏み出すが…。

「DEEPMURO」
監督:非同期テック部(ムロツヨシ+真鍋大度+上田誠)
出演:ムロツヨシ 柴咲コウ きたろう 阿佐ヶ谷姉妹

【ストーリー】 俳優ムロツヨシは、念願だった柴咲コウとの恋愛ドラマの撮影に挑んでいた。だが、ムロの様子はどうも変だ。戸惑う柴咲は、心配そうにムロに話しかける。「ムロさん、いつもと違うけど大丈夫?」その時、撮影現場の扉が開いて入ってきたのは…!?

「ボトルメール」
監督:三木聡
出演:夏帆 ふせえり 松浦祐也 長野克弘 麻生久美子

【ストーリー】 第二波が来る少し前。不倫で仕事を干された女優、鈴音の下に謎のメールが届く。その指示に従って出かけた新作映画の主演オーディションで見事合格した彼女は、監督からリモートで演技指導を受けることになるが…。

「MAYDAY」
監督:真利子哲也
出演:各国の人々(日本パート:岩瀬亮 内田慈)

【ストーリー】 2020年5月。あらゆる国や地域で緊急事態が宣言され、世界中で自粛生活が続いていた。だが、風景や状況は全く違っても、地球上は同じ時間軸で繋がっている。北米、アジア、アフリカ、ヨーロッパ…。日本時間の19時ちょうど。世界はそれぞれの表情で過ごしていた。

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