トランペット奏者マイルス・デイヴィスの素顔に迫るドキュメンタリー『マイルス・デイヴィス クールの誕生』9月公開!

幾度となくジャズの歴史に革命をもたらし、ロックやヒップホップにも影響を及ぼしたトランペット奏者、マイルス・デイヴィスの素顔に迫るドキュメンタリー『マイルス・デイヴィス クールの誕生』が、9月4日より公開される。

「クールの誕生」(1949~50)、「カインド・オブ・ブルー」(1959)、「ビッチェズ・ブリュー」(1969)。10年おきにジャズの歴史を更新する決定的名盤を生み出した天才トランペット奏者で、「俺は音楽に呪われてきた。寝ても覚めても頭には音楽があった。人生は冒険であり挑戦だ。安定を求めるものじゃない。創造を続けるには変わる事だ」と語るマイルス・デイヴィス。マイルスの人生のテーマは、言うなれば、常に垣根を取り払い、意のままに生きようとした強い決意。音楽においても、人生においても、マイルスは何度も固定観念を破った。そうやって出来上がった作品が、世の中で新たなスタンダードになった瞬間、またそれを覆した。過去を振り返ることなく、明確なビジョンとたゆまぬ向上心、そして新しい挑戦へのハングリー精神を持ち続けたからこそ、ビバップからクール・ジャズ、ハード・バップ、モード・ジャズ、フュージョン、ロック、ヒップホップに至るまで、あらゆる音楽の革新者となりえたのである。

本作は、レアなアーカイブ映像・音源・写真に加え、アーティストや家族・友人など、マイルスと密接に関わった人々との対話を通じて、マイルス・デイヴィスのトランペットの影に隠された唯一無二の奇才の素顔に迫る。

劇中では、「ソー・ホワット」、「ラインド・ミッドナイト」、「イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド」、「『死刑台のエレベーター』のテーマ」、「マイルストーンズ」、「いつか王子様が」、「フットプリンツ」、「ビッチェズ・ブリュー」などマイルスの名曲が多数流れる。

本作は、第62回グラミー賞最優秀音楽映画部門にノミネートされたほか、第37回サンダンス映画祭、第63回ロンドン映画祭、第45回ドーヴィル映画祭など世界各国の映画祭に正式出品された。

■スタンリー・ネルソン(監督) コメント
大学に進学する時、父親のコレクションから『カインド・オブ・ブルー』を盗んで持っていったことを覚えている。学生寮の自室で何時間「フラメンコ・スケッチ」の世界に浸ったことだろう。どこかへ連れて行かれるその感覚は言葉では説明しようがない。そんなモヤモヤとした大学時代以来、マイルスには魅了され続けてきた。私にとってのマイルスは、計り知れない力を持つ無二の存在であり、まさしくクールの体現者である。時にその圧倒的なペルソナが音楽を食ってしまうこともあった。女性からモテる一方で、女性に手をあげる女たらし。インテリの薬物中毒者。良き友であり、最低の父親。華麗で人目を引く一方で、人前を嫌う自惚れ屋。その人間像は等身大をはるかに越え、伝説だった。しかし語られるすべてが現実とは限らない。マイルス・デイヴィスの物語は、ドラッグ漬けの天才として描かれることがしばしばだ。技を磨くために切磋琢磨する姿や、クラシック音楽を研究し、精通していたことはめったに描かれない。慈愛に満ちたバラードを演奏するマイルスはエレガントと呼ぶにふさわしい。が、その心底には、全人生を費やして闘った人種差別から生まれる深い憎悪がうずまいていた。相手に対して惜しみなく何かを与える寛大さを見せた次の瞬間には、コロっと気が変わる。愛した女性たちに対しても、臆面ないほどロマンティックな態度をとったかと思うと、言葉にするのもおぞましい、残酷な仕打ちをとるのだ。マイルスは孤高の存在といっていい。その人生においても、恋愛においても、音楽においても。彼は決して過去を振り返ることがなかった。相手に頭を下げることもまずなかった。キャリアを通じて何度か、我々が知るジャズの全てを、音楽の全てを根底から覆した。そんな男に関する本格的なドキュメンタリーはこれまで一本も作られていない。進化し続けるマイルスに対して、世界は遅れを取らぬようについて行けるか、ということなのだ。マイルス自身の言葉によって、彼を取り巻く神話が紐解かれる時、マイルス・デイヴィスというレジェンドのかげにいる男の、真の、そしていくつもの陰影に彩られた物語は語られよう。

『マイルス・デイヴィス クールの誕生』
9月4日(金) 全国順次ロードショー
監督:スタンリー・ネルソン
出演:マイルス・デイヴィス クインシー・ジョーンズ ハービー・ハンコック ウェイン・ショーター ロン・カーター ジミー・コブ マーカス・ミラー マイク・スターン ギル・エヴァンス ジョシュア・レッドマン カルロス・サンタナ ジュリエット・グレコ
配給:EASTWORLD ENTERTAINMENT

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