『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠であり、ときにオークションで数十億円の価格がつくアーティスト、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫った最新作『NEVER LOOK AWAY(英題)』が、邦題『ある画家の数奇な運命』として今秋に公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。
ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡する。晴れて美術学校で創作に没頭するが、教授から作品を全否定され、もがき苦しむ。だが、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けたクルトは、ついに自分だけの表現方法を発見し新作を完成させる。それは、罪深い過去を隠し続けた義父を震え上がらせる作品でもあった…。
本作は、第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され高評価を獲得し、第91回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。
主人公クルト役は、『コーヒーをめぐる冒険』、『ピエロがお前を嘲笑う』のトム・シリングが務める。そのほか、『善き人のためのソナタ』『リリーのすべて』『ブリッジ・オブ・スパイ』のセバスチャン・コッホ、『婚約者の友人』のパウラ・ベーア、『帰ってきたヒトラー』のオリヴァー・マスッチ、『さよなら、アドルフ』のザスキア・ローゼンダールなどが脇を固める。
ポスタービジュアルには、「目をそらさない。その信念が、真実を描き出す」というキャッチコピーとともに、自分が信じる“絵画の可能性”から目を逸らさず、その強い意志を体現するかのように、真剣な眼差しで真っ白なカンバスへとまっすぐに正面から向き合うクルトの姿が。そのほか、いなくなってからも自分を静かに導き続ける叔母、美術学校で出会った善き理解者の妻・エリーの笑顔、そして、自身の運命も狂わすことになるエリーの父の姿が収められる。
『ある画家の数奇な運命』
今秋 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本・製作:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:トム・シリング セバスチャン・コッホ パウラ・ベーア オリヴァー・マスッチ ザスキア・ローゼンダール
配給:キノフィルムズ 木下グループ
【ストーリー】 ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母(ザスキア・ローゼンダール)の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルト(トム・シリング)は東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリー(パウラ・ベーア)と恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親(セバスチャン・コッホ)こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡する。晴れて美術学校で創作に没頭するが、教授から作品を全否定され、もがき苦しむ。だが、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けたクルトは、ついに自分だけの表現方法を発見し新作を完成させる。それは、罪深い過去を隠し続けた義父を震え上がらせる作品でもあった。
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