「小説が出版された頃よりずっと現実的な物語に」と監督 ジュリアン・ムーア × 渡辺謙『ベル・カント』予告編

ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーに輝くベストセラー小説を、ジュリアン・ムーア、渡辺謙、加瀬亮の共演で映画化した『ベル・カント とらわれのアリア』が、11月15日より公開される。このほど、予告編と新場面写真がお披露目となった。

本作は、1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件からヒントを得て、テロリストと人質の予期せぬ交流を描いた作家アン・パチェットの小説「ベル・カント」を映画化。予告編では、南米のある国の副大統領邸でのパーティーに招かれた世界的オペラ歌手のロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)と、彼女の大ファンである実業家のホソカワ(渡辺謙)が出会い、集った者たちがみな彼女の女神のような歌声に魅了されていたその時、テロリストたちにより公邸が占拠されてしまう。政府、交渉人、テロリスト、人質と様々な人間による思惑や情報が錯綜する中で、ロクサーヌの歌声をきっかけに何かが変わり始め、本来正反対の立場であるテロリストと人質が心を通わせていく様子が描かれていく。

物語のカギともいえるロクサーヌの歌声を吹き替えたのは、当代随一と言われるオペラ歌手、ルネ・フレミング。『シェイプ・オブ・ウォーター』の挿入歌「ユール・ネヴァー・ノウ」でも知られる歌姫の崇高な歌声は予告編でも堪能できる。さらに、ジュリアン・ムーアもルネ・フレミングが本作のボーカルをレコーディングした時に立ち会い、ソプラノ歌手の歌い方、姿勢、身振りを学び取ったという、彼女の完璧な役作りにも注目だ。

ポール・ワイツ監督は、「映画の最初の部分では、キャラクターたちは敵対している。でも、彼らの違いは、経験や恋愛、音楽や死すべき運命を共有し合うことで徐々になくなっていく。彼らは互いに絆を結んでいく。これこそが、まさにオペラ的なテーマだ」と語り、「最近の出来事を見ると、この物語は小説が初めて出版された頃より、ずっと現実的なものになっている」とも指摘している。

『ベル・カント とらわれのアリア』
11月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ポール・ワイツ
原作:アン・パチェット/山本やよい訳「ベル・カント」(早川書房より10月下旬刊行予定)
出演:ジュリアン・ムーア 渡辺謙 セバスチャン・コッホ クリストファー・ランバート 加瀬亮
配給:キノフィルムズ 木下グループ

【ストーリー】 実業家のホソカワ(渡辺謙)は通訳のゲン(加瀬亮)と共に招かれた、南米某国の副大統領邸でのパーティーを心待ちにしていた。ホソカワの会社の工場誘致を目論む主催者が、彼が愛してやまないソプラノ歌手のロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)のサロンコンサートを企画したのだ。現地の名士や各国の大使も集まり、女神のようなロクサーヌの歌声が流れたその時、突然テロリストたちがなだれ込み副大統領邸を占拠する。収監中の同志の解放を求める彼らは、赤十字のメスネル(セバスチャン・コッホ)を介して政府と交渉するが平行線が続く。そんな中、ロクサーヌの歌をきっかけに、貧しく教育など受けられるはずもなかったテロリストたちと、教養に溢れた人質たちの間に、親子や師弟のような交流が生まれ始める。しかし、かりそめの楽園に終わりの時が近づいていた…。

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