一昨年、NHKで放送された、京都の猟師・千松信也の暮らしに密着したドキュメンタリーを、300日の追加取材を行い映画化した『僕は猟師になった』が、6月6日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となり、併せて、本編と予告編でナレーションを務める池松壮亮よりコメントが寄せられた。

一昨年、テレビで放送されると同時に大反響を呼び、再放送希望が異例の1141件も届いた、京都で猟をする千松信也の、彼にとっては平凡な日常を取材したドキュメンタリー「ノーナレ けもの道 京都いのちの森」。イノシシやシカをわなでとらえ、木などで殴打し気絶させ、ナイフでとどめをさす。命と向き合うために千松が選んだ営みに、残酷、という非難をはるかに超える“憧憬”が集まった。NHK取材班は、放送後、千松とその暮らしにさらに迫るため、300日の追加取材を行い、およそ2年間の映像を編み直し、完全新生映画版となる本作を完成させた。ナレーションは池松壮亮が務める。

予告編は、イノシシの骨からスープをとった「いのこつラーメン」を作る映像から始まる。けもの道に罠を仕掛ける作業、獲物と命のやり取りをする現場まで、普段は人に明かさない猟の様子にカメラが密着。「『言葉よりも背中で語る、森の哲学者』という千松さんのイメージにぴったりだった」とプロデューサーが太鼓判を押した池松壮亮の語りが、人間と動物、生きるものすべての“命”の物語へと案内していく。「狩りガール」と呼ばれる、狩猟をする女性たちの増加や、「山賊ダイアリー」「罠ガール」等狩猟マンガのヒットなど、若い人を中心に注目を集める“狩猟”の世界。本作は、野生動物たちと日々向き合い、四季折々の山の恵みをうけて生きる千松の暮らしを通して、本当の豊かさとは何か、を問いかける。

■池松壮亮（ナレーション） コメント
たとえノーギャラでも参加したいと思える作品でした。「命を奪うことに慣れることはない」千松さんの自然界との向き合い方に心から感動しました。僕は30年前に生まれ、肉 魚、水や木々や種を、つまり生きとし生けるものの命を何不自由なく貰って生きてきました。そこに責任や罪の意識は、親や先祖のおかげで何一つ無かったと言えます。環境問題やアニマルライツ、様々な問題が浮き彫りになるこの世界で、今このドキュメントを届けたいと、切に思います。

『僕は猟師になった』
6月6日（土）より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督：川原愛子
出演：千松信也
ナレーション：池松壮亮
配給：リトルモア　マジックアワー