フランスの経済学者トマ・ピケティによる同名ベストセラーを映画化した社会派ドキュメンタリー『21世紀の資本』が、3月20日より公開される。このほど、3月18日に日比谷コンベンションホールにてトークショーが行われ、国際政治学者の三浦瑠麗と、翻訳家の山形浩生が登壇した。
経済学書「21世紀の資本」が発売された当時、研究員をしていたという三浦は「周囲は全員買ってました。これだけの価格で、こんなに分厚い本をみんなが買うという現象はなかなかないこと」とし、三浦も実際に読んだそうで「結論部分が非常に新しかった」と述べた。
映画については「資本に焦点を当ていて、資本は労働してお金を稼いでいる人たちからすると非常に離れた、こんなに富を生み人間を必要としないイメージ」とし、「救いは戦争だというイメージにとられかねないところがある。それは困る。戦争はすべての命を含めて破壊する」と意見を述べた。
日本の格差について聞かれた三浦は「日本は高額所得者に対しても、大企業に対しても、いざとなったら重税をかけられる国。でも、なにも破壊が起きない中で格差への対応ができるかというとそうではない」とし、「その結果としてシングルマザーの子育て世代が餓死してしまったり、児童虐待が往々にして貧しい家庭で起きることが見過ごされてしまう。私達はコロナでこんなにも死者数を一喜一憂して見ているのに、児童虐待の死者数を見ているかといえばそうではない。自分が感じ取れる痛みがセグメントによって狭い。それを一気に広げる問題提起をしていかないと、ズルズルと格差が開いてしまう可能性がある」と述べ、「日本は、2020年に関しては、経済対策を本格的に打ちながら、今までできなかった改革をすべき。子育て世代への税額控除など、いろんなスキームを組み合わせて、専業主婦の家庭でも共働きの家庭でも使えるいろいろな制度を作るべき」と訴えていた。
『21世紀の資本』
3月20日(金)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督:ジャスティン・ペンバートン
原作:トマ・ピケティ「21世紀の資本」
監修・出演:トマ・ピケティ
出演:ジョセフ・E・ステイグリッツ
配給:アンプラグド
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