今井翼「人名や地名、ヨーロッパ特有の発音にカミカミでしたね」初の吹き替えに悪戦苦闘

2019年に開館200周年を迎え、世界最高峰と言われるスペインのプラド美術館の全貌に迫るドキュメンタリー『プラド美術館 驚異のコレクション』が、4月10日より公開される。それに先立ち、3月3日にビデオテック南青山スタジオにて公開アフレコ&トークイベントが行われ、日本語吹替版ナビゲーターを務める今井翼が登壇した。

今回初めてマスコミの前でのアフレコ収録に緊張したという今井は、本作のナレーションの話がきたときの気持ちについて「すごくびっくりしましたね。僕自身はスペインが好きでフラメンコであったり、スペイン文化特使としても様々な活動をこれまで重ねてきましたが、僕にとって初めてスペインで訪れたのがマドリードで、人生で初めて美術館に行ったのがプラド美術館だったんです。だから、すごくご縁があるというか。僕自身はプラド美術館での経験から、1人旅するときは旅先で美術館へ行く楽しみを知りましたから、身に余る光栄でしたね」と起用を喜んだ。

プラド美術館について「作中でも説明されますが、プラドは草原という意味なんですね。首都マドリードの中心地にありながら緑豊かな中に、200年もの歴史があるので、重厚感というものがすごくある。世界3大美術館と言われるほど、館内に入る前からゾクゾクするものがありましたね」と振り返り、「15年ほど前に突然、突拍子もなくフラメンコを勉強したいとの思いから、思い立って強行2泊4日でマドリードに行きました。プラド美術館との出会いは、僕の、スペイン、ヨーロッパに関わる上ではすごく重要なものだったと思います」と熱く語った。

アカデミー賞俳優のジェレミー・アイアンズがナレーション、日本版が今井ということで、難しかった点については「ジェレミーさんは僕よりうんと年上の名俳優で。僕は38歳ですが、よく人から、声が低いなと言われていて、年齢的には当てはまるかなと不安があったんです。普段のお芝居とは違って、これだけ壮大なドキュメンタリーですから、自分の中で躍動感を大きく出すイメージでやりました。ただ、僕にとってこれだけ膨大な台詞をしゃべるナレーション、吹き替えは初めてでした。でも、すごく、やりがいであったり、手応えを感じましたね」と自信を覗かせつつも、「ティツィアーノなどの人名や地名、ヨーロッパ特有の発音がありますから、カミカミの今井翼でしたね」と悪戦苦闘を振り返った。

「画家たちの当時の思想であったり、美術館に携わる人や舞踏家などのいろんな角度からの証言もあるので、知識があってもそれ以上に覆されることが当然あると思う」と、本作の人間ドラマや歴史ドラマの観点にも言及。さらに「僕自身もこの仕事を務める中で、いろんなことを知ることができたので、これを持ってマドリードへ行ってプラド美術館でまた絵を見たいなと掻き立てられましたね」と想いを馳せる。

最後に「迫力ある作品の数々も見物ですが、美術館スタッフや各界の第一人者が語る証言は目から鱗が落ちる内容です。また、最先端の機材で撮影した映像の美しさや、高揚感あふれる音楽を通して、感動と発見があふれる作品になっています。僕は喜びを噛みしめながら何度も見直しました。美術に造詣が深い方はもちろん、美術館巡りが好きな方も世代の違いや知識の有無関係なく、ぜひ映画館の大きなスクリーンでスペイン美術の躍動感と臨場感をお楽しみいただきたいと思います」と締めくくった。

『プラド美術館 驚異のコレクション』
4月10日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
監督・脚本:ヴァレリア・パリシ
脚本:サビーナ・フェディーリ
ナビゲーター:ジェレミー・アイアンズ
日本語吹替版ナビゲーター:今井翼
配給:東京テアトル

【作品概要】 広大な敷地に膨大なコレクションが収められたプラド美術館を案内するのは、アカデミー賞主演男優賞に輝いた俳優のジェレミー・アイアンズ。歴史物からファンタジー、サスペンスと幅広い作品で活躍する名優であり、プライベートでは400年間放棄されていたアイルランドの城を修復して暮らすという、歴史とアートを愛する知識人の一面も持つ。毎年約300万人が訪れるプラド美術館は、スペイン黄金時代に生きた王と王女が、自らの意志と審美眼で収集した唯一無二の美の殿堂。他の美術館とは明らかに趣向の異なる美の世界がここにある。

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