宮沢氷魚が映画初主演を務め、共演に藤原季節を迎えた、『愛がなんだ』の今泉力哉監督最新作『his』が、1月24日より公開される。それに先立ち、1月16日に名古屋・センチュリーシネマにて舞台挨拶付き試写会イベントが行われ、宮沢氷魚と藤原季節が登壇した。
上映後に行う映画館での舞台挨拶は初めてということで、やや緊張した面持ちで登場した宮沢と藤原。観終わったばかりの観客に向けて、宮沢は「自分たちが一生懸命取り組んで、自信を持って作った作品がどういう風に受け入れられ、感じてもらえるのかと不安があったのですが、(皆さんのお顔を見て)ようやく映画『his』が届いたのかなと思うと嬉しいです」と笑顔を見せた。
劇中で印象的なシーンを聞かれ、宮沢が「鈴木慶一さん演じる緒方さんとのシーンが特に好きです。迅(宮沢氷魚)はいろいろなことを背負いながら生きている役柄なのですが、緒方さんと居る時だけは自分に素直になれている気がすると思います。特に、渚(藤原季節)と渚の娘の空ちゃんと一緒に、緒方さんの家でイノシシ鍋を食べているシーンはとても幸せな瞬間でした」と語ると、藤原は「あのシーンの時、空役の(外村)紗玖良ちゃんがお鍋を食べ過ぎてしまって、本番でお腹いっぱい!て言っちゃったよね」と可愛らしい裏話を披露。また、藤原は「紗玖良ちゃんに歩み寄るのではなく、対等な関係で接しました。彼女にはお芝居でとても引っ張ってもらいましたね」と自身初の父親役を振り返った。
本作の撮影を通して学んだことや成長したと思うことについて、宮沢は「人間は一人では生きていけないと、改めて思わされました。周りの多くの人々の力で支えられていて、そうやって人生は進んでいくのだと」、藤原は「世間の言葉に敏感になったし、いかに自分の価値観が一方通行だったかを実感させられました。この映画の撮影を経たことで、自分が100%理解できないことに対して、無理やり価値観を変えるのではなく受け入れることが出来るようになったと思います」と口にし、本作の影響について明かした。
続いて、撮影にあたり宮沢と藤原は10日間の共同生活を送ったことに話題が及ぶと、藤原が「今日初めて知ったのですが、僕がこっそり氷魚くんの歯磨き粉を使っていたことを氷魚くんは気付いていたんですよ!」と茶目っ気たっぷりに明かすと、「そりゃ気付くよ!10日間分だなというサイズの歯磨き粉を持ってきていたのに、思いっきり減ってたんですよ!?」と笑顔で返し、二人の仲の良さをうかがわせた。
さらに宮沢が、互いについて「僕らは性格も趣味も何もかも違うのですが、『his』で共演できたからこそ、ここまで仲良くなれたと思います。一緒に乗り越えたという意識がとても強いです」と熱く語ると、藤原も大きく頷き、「迅役が宮沢氷魚でなかったら、僕は渚を演じ切ることが出来なかったと思います。岐阜での共同生活があったからこそ、迅と居る時とは全く雰囲気の違う東京パートの渚の雰囲気が出せたと思います」と有意義な時間を過ごせたことを懐かしんだ。
最後に、宮沢は「今日はご覧いただき、ありがとうございました。是非、皆さんには口コミをお願いしたいです!」、藤原は「映画『his』を、たくさんの方に愛してもらいたいです」と期待を込めて挨拶し、笑顔でイベントは締めくくられた。
『his』
1月24日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:今泉力哉
企画・脚本:アサダアツシ
音楽:渡邊崇
主題歌:Sano ibuki「マリアロード」
出演:宮沢氷魚 藤原季節 松本若菜 松本穂香 外村紗玖良 中村久美 鈴木慶一 根岸季衣 堀部圭亮 戸田恵子
配給:ファントム・フィルム
【ストーリー】 井川迅(宮沢氷魚)は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6歳の娘・空を連れて、元恋人の日比野渚(藤原季節)が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈(松本若菜)との間で離婚と親権の協議をしていることを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと3人で一緒に生きていたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判から心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていく…。
©2020 映画「his」製作委員会