阿部サダヲ「(大河の準備中で)時間がたっぷりあって(笑)。お芝居したくて、気合入ってました!」

赤穂藩君主・浅野内匠頭の仇討のため、浪士となった47人の藩士たちの物語の秘話を、堤真一と岡村隆史のダブル主演で、『殿、利息でござる!』、『忍びの国』の中村義洋監督が映画化した『決算!忠臣蔵』が、11月22日より公開中。このほど、本作の大ヒットを記念して、12月8日にイオンシネマ板橋にて公開記念舞台挨拶が行われ、赤穂藩藩主・浅野内匠頭を演じた阿部サダヲ、中村義洋監督が登壇した。

大きな拍手で迎えられ、場内に現れた阿部サダヲと中村義洋監督。公開初日から2週間を経過した今もなお、口コミが広がって大きな盛り上がりをみせている本作。場内に登場するや否や、阿部は「中村監督の作品の中で、浅野内匠頭役を演じることができて嬉しかったです」と感謝の気持ちをコメントしつつ、上映後となる今回の舞台挨拶に対し、出番の少ない役柄だったことを不安に感じたのか、「観た方たちですよね?大丈夫でしたか?」と思わず確認する場面も。中村監督も「上映前ならごまかせたけど、上映後だから今日を迎えるのが不安だったんです(笑)」とまさかの心境を告白。イベント開始直後から場内には笑いが起き、盛り上がりをみせた。

阿部へ浅野内匠頭役をオファーした経緯を「サダヲさんが出てくれたらお客さんも、映画の内容がすぐにコメディーだと分かってもらえるからいいな…と。大河ドラマへの出演も決まっていたから無理だと思っていたんだけど、前半空いているって言うから」と明かし、阿部は「ちょうどその頃、時間がたっぷりあって(笑)。ジムとか通っていたくらい。もうお芝居したくてたまらなかったので嬉しかったんです。気合入ってました!」と浅野内匠頭役に相当な気合が入っていたのだとか。

忠臣蔵をテーマにした作品への参加が初めてだったという阿部は、役作りの中で過去の時代劇を観ながらイメージを膨らませていたそう。特に風間杜夫が演じた浅野内匠頭役を参考にしていたと言い、「忠臣蔵という話自体は知っていたけど、浅野内匠頭がこんなに周囲に迷惑をかける人だとは思っていなくて(笑)。この作品の中では、トラブルの発端となる吉良上野介役が出てこないから、カメラに向かって斬りかかるお芝居を楽しんでいました」と撮影時の思い出を披露。中村監督も「その時の発声がとにかく素晴らしくて。現場でセリフを増やしたりもしたんです」と撮影秘話を交えて語り、阿部がこれまでのイメージを覆す、見事な浅野内匠頭を劇中で披露していることに太鼓判を押していた。

浅野内匠頭のため、討ち入りを実行する四十七士についての話になると、阿部は「堤さんとは二度目の共演なんですが、面白い方だなと。前回共演した作品でも芸者遊びされていましたし(笑)」と劇中で見事な遊び人っぷりを披露する堤の姿を面白がる様子も。劇中、浅野内匠頭役の切腹シーンでは、介錯人として千葉雄大が出演していることにも触れられると、阿部は自身より出演時間の短い千葉に対し「こういうのをカメオ出演というんですかね?(笑)」と言うと、すかさず中村監督も「そうかも」と相槌を打ち、場内には笑いが起こった。

実は本作には、千葉の出演のように、何度も観ないと気が付かないような小ネタも満載で、浅野内匠頭が吉良に切りかかった当時、太陽と窓枠の関係で光が明滅していたと言われる様子を照明で再現していたり、堤演じる大石内蔵助が映画の後半、浅野内匠頭を思い出すシーンで聞こえるかどうかのボリュームで阿部のあるセリフを活かしていたりと、細かい演出のこだわりも明かされ、ここでしか聞けない濃密なトーク内容となった。最後に、「今日話したような小ネタに気づかなかったら、ぜひもう一回観に来てください」と中村監督がコメント。阿部も「笑いももちろんですが、ホロリとくるシーンもある作品です。とても分かりやすく忠臣蔵を描いていると思うので、ぜひ他の人にも勧めて欲しいです」とアピールし、いよいよ12月14日には歴史上の討ち入りの日を迎える中で、もっと映画が盛り上がるようにと祈りをこめて舞台挨拶を締めくくった。

『決算!忠臣蔵』
11月22日(金)より全国公開中
監督・脚本:中村義洋
原作:山本博文『「忠臣蔵」の決算書』
出演:堤真一 岡村隆史 濱田岳 横山裕 妻夫木聡 荒川良々 石原さとみ 竹内結子 西村まさ彦 寺脇康文 小松利昌 沖田裕樹 上島竜兵 堀部圭亮 山口良一 鈴木福 千葉雄大 滝藤賢一 笹野高史 橋本良亮 木村祐一 板尾創路 村上ショージ 西川きよし 桂文珍 鈴鹿央士 阿部サダヲ
配給:松竹

【ストーリー】 今から約300年前。江戸城・松の廊下。赤穂藩藩主・浅野内匠頭(阿部サダヲ)は、かねてより賄賂まみれだった吉良上野介に斬りかかる。通常であれば喧嘩両成敗となるはずが、幕府が下した結論は、赤穂藩のお取り潰しと、内匠頭の即日切腹。吉良へはお咎めなし。突然藩主を亡くしたことで、浅野家は断絶、藩士たちは路頭に迷う。筆頭家老・大石内蔵助(堤真一)は、嘆く暇もなく、浅野家復活を願い出て、ひたすら残務整理に励む日々。しかし、御家再興にも当然、お金が必要。内蔵助は、幼馴染の勘定方・矢頭長助(岡村隆史)の力を借りて、亡き内匠頭の妻・瑤泉院(石原さとみ)の化粧料(嫁入りの時の持参金)をかき集める。その金額は、およそ800両(9500万)!しかし、金の使い道がわからない内蔵助は、長助らの助言も聞かず、行き当たりばったりの大盤振る舞い。金はどんどん減っていく。一方、浪人となった藩士たちは、宿敵・吉良への仇討ちを勝手に計画。加えて、江戸の庶民たちまでもが、赤穂浪士たちによる仇討ちを超熱望。やがて、大金をはたいた甲斐もなく、御家再興は幕府の決定であっさり却下。「なんでやねん!」ようやく討ち入りを決意したものの、もはや予算残高は、微々たるものに…。討ち入るのか討ち入らないのか、迷っているうちにも予算はさらに減っていく。前線基地として購入した屋敷も火事で全焼。浪士たちの日々の生活費や食費に家賃、江戸までの旅費、武器の購入等々、お金は出ていくばかりで、プロジェクトは超難航。挙げ句の果てには、やる気満々の浪士たちのリストラも余儀なくされる始末。一方、自分の金を勝手に使われている瑤泉院の怒りもエキサイトして…。果たして彼らは“予算内”で、一大プロジェクト“仇討”を、無事に“決算”することができるのか!?

(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会