成田凌「主題歌は下手すぎて却下になった…」周防監督も絶賛の生カツベンは拍手喝采!

今からおよそ100年前、楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語をつくりあげ、観客たちを映画の世界に誘い熱狂させる活動弁士、通称“活弁”(カツベン)が活躍していた時代を舞台に描く、成田凌主演、周防正行監督の5年ぶりとなる最新作『カツベン!』が、12月13日より公開される。このほど、12月2日に東京・日本外国特派員協会(FCCJ)にて記者会見が行われ、成田凌と周防正行監督が登壇した。

日本外国特派員協会への登壇が、成田は初めて、周防監督は『それでもボクはやってない』以来、2度目となる。会見前に行われた試写会には、外国特派員のメンバー110人が集結した。

周防監督は、本作が自身で書いていない脚本であり、『それでもボクはやってない』以降、周防作品の助監督を務める、片島昭三による脚本を監督するまでにどのようにして企画が始まったのか聞かれると、「最初から大変な質問だ!(笑)」と言いつつ「『舞妓はレディ』の準備中、片島にシナリオを読んでくれと渡されたのが最初です。面白いと思った点が2点。活動弁士が活躍した無声映画時代30年間を支えてきた人たち、今ではあまり知られなくなってしまった職業に焦点を当てていた点。もう一つは活動弁士の物語を活動写真のように描いたところ。活動写真は英語訳で言うモーションピクチャー。チャップリンやバスター・キートンのようなアクションと笑いで描いていた、無声映画の魅力が詰まったこの作品が面白いと思いました」と製作の経緯を話した。

続いて、成田は演じた役について「7か月間訓練しました。毎日3時間ぐらい教えてもらっていました。馴染みがないというのに苦労しましたし、日本独自の文化というのも知らなかった。活動弁士のすごいところは、喋り魅力が凝縮されているところ。初めてお客さんの前でやった時は気持ちよかったです!が、あの訓練はもうしたくないので、最初で最後のカツベンでした(笑)」と当時を振り返り、会場を沸かせた。

マスコミからの質疑応答の中で、南北戦争時代のアメリカの歌が原曲となっているエンディング曲を、どのようにして日本のものにしていったのか聞かれると、周防監督は「この曲は日本の大正時代に『東京節』という題名で榎本健一さんが歌ってヒットしました。それは東京を歌ったものでしたし、60歳以上の人なら誰でも知っているメロディーです(笑)」とコメント。それに対し成田は「最初、僕が主題歌を唄ってくださいって言われたんです。下手すぎて却下になりましたが」と締めくくった。

また、周防監督は若い人たちが映画館で2時間座るのが耐えられない時代と言われていることに対し、「もしそうだとしたら挑戦し甲斐がある。肝に銘じて、集中力のない若者に向けて、見てろ!というような作品をこれからも作っていきます」と力強いメッセージを残し、主演に成田を選んだ理由については、「上手く訳してもらえるかわからないですけど…若い役者を知らなくて。毎日若い俳優さんを面接した中で決定的な理由は、タイプだったからです。芝居がいい、声がいいではなく、こういう若者が好きだなと思ってしまいました」と語りドッと会場に笑いが起こった。続けて「素晴らしい演技をしてくれたし、おちゃめな感じを強く出せればキャラクターとして成立する。しゃべりのテクニックをプロレベルまで上げてくれたし、本来持っているものとカツベンの練習の努力があったから上手くいったのだと思います」と成田を大絶賛した。

最後に、成田は「カツベンを少しだけやります!」と口にし、カツベンを生披露。特訓を行ってきたからこそ出せるカツベンの迫力に、会場での拍手は鳴りやまなかった。

『カツベン!』
12月13日(金)より全国ロードショー
監督:周防正行
脚本:片島章三
エンディング曲:奥田民生「カツベン節」
出演:成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 音尾琢真 竹中直人 渡辺えり 井上真央 小日向文世 竹野内豊 池松壮亮 成河 酒井美紀 山本耕史 草刈民代 城田優 上白石萌音 シャーロット・ケイト・フォックス
配給:東映

【ストーリー】 一流の活動弁士を夢見る青年・俊太郎(成田凌)は、小さな町の映画館「靑木館」に流れつく。隣町のライバル映画館に客も、人材も取られて閑古鳥の鳴く靑木館に残ったのは、「人使いの荒い館主夫婦」、「傲慢で自信過剰な弁士」、「酔っぱらってばかりの弁士」、「気難しい職人気質な映写技師」と曲者揃い。雑用ばかり任される俊太郎の前に突如現る大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察、そして幼なじみの初恋相手!俊太郎の夢、恋、青春の行方は…!俊太郎の活弁がうなるとき、世紀のエンターテイナーの物語がはじまる。

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