成田凌「活弁が上達するまで、練習をしているときがすごくしんどかった(笑)」

今からおよそ100年前、楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語をつくりあげ、観客たちを映画の世界に誘い熱狂させる活動弁士、通称“活弁”(カツベン)が活躍していた時代を舞台に描く、成田凌主演、周防正行監督の5年ぶりとなる最新作『カツベン!』が、12月13日より公開される。このほど、周防監督がこれまで実施してきた全国PRキャンペーン「周防正行の日本全国しゃべくり道中」の全国制覇修了式として、10月24日に東京・浅草寺 映画弁士塚付近にて大ヒット出陣式が行われ、成田凌と周防監督が登壇した。

周防監督自らが全国47都道府県をその足で訪れ、自らのしゃべりで映画『カツベン!』の魅力を伝えることを目的に始まった全国PRキャンペーン「周防正行の日本全国しゃべくり道中」。6月12日の北海道を皮切りに、延べ134日間、合計300以上もの媒体の取材を受け、ついに10月24日、周防監督は東京・浅草寺での大ヒット出陣式をもって全国制覇を達成した。

浅草寺の本殿にて祈祷したのち会見会場に現れた成田と周防監督。はじめに、周防監督は映画弁士塚について「初めて来ました。クランクイン前に来るべきでした。反省しています」と冗談を交えてコメント。そして、成田は弁士塚に刻まれている名前について、「徳川夢声さんは台本にも出てきていたので知っています!生駒雷遊さんも」と話し、続けて周防監督は「徳川夢声さんと同じく新宿にある武蔵野館でスターだった山野一郎さんのひ孫さん、椎名慧都さんは劇中のオリジナル無声映画『火車のお千』でヒロインとして出ていただいてます。だからこの弁士塚前でこのようなことができるのは大変光栄です」と映画弁士塚との深い繋がりについて口にした。

周防監督は全国PRキャンペーンの感想について聞かれると、「取材してくれたメディアの皆さんも、映画を見てからインタビューしてくれているので、映画の内容を深く話せて、しっかりと(本作を)観てくれているなと感じます。また活動弁士という職業に注目して、『カツベン!』という題名をつけた責任を持って話しました」と回答。その話を聞いた成田は、「監督には本当に感謝です!これからは一緒に取材を受けたり、(PR活動を)回っていくことが多くなると思うのですが、改めて気を引き締めてやらないといけないなと思っています」と意気込みを語った。

また、周防監督は成田演じる俊太郎について、メディアからどのような声があがっていたか聞かれると、「『本当に成田くんの活弁は上手!』と褒めてくれていました。皆さんカツベンという喋り、話芸をしっかり感じ取ってくれてます。私は、成田くんの稽古の時から知っているから上達具合が本当にすごく感じるけど、スクリーンで見ただけでもその素晴らしさが伝わっていて、すごく嬉しいです。活動弁士という仕事の魅力をしっかり伝えられる映画になりました」と話し、成田は「最初の2ヶ月、活弁が上達するまでは練習をしているときがすごくしんどかったですけどね(笑)」と話を挟みつつ「ただ、映画を観てくれた古舘伊知郎さんに褒めていただけたのがすごくうれしかった。プロレスの実況もまさに現代の活弁ですもんね」と自信を覗かせた。

続いて、日本全国どこを回りたいか聞かれると、成田は「地元・埼玉にひたすら行きたいですね。埼玉中心に、MOVIXさいたまとか、あとはナックファイブにやっぱり出たいですね!だから埼玉を中心に行けるところは全ていきたいです」とコメント。すると周防監督が「僕はナックファイブ出ました!」と答え、成田は「え、ずるい!僕こそが出なきゃじゃないですか!」と息ぴったりの掛け合いを披露。また成田は「俊太郎は活弁が好きで好きでたまらないという人間で、人の活弁のマネをしながらもオリジナリティを探していく青春映画にもなっています。自分もまだ役者としてのオリジナリティを見つけられていないなと感じているので、自分なりのオリジナリティを探すこの作品は自分に重なるところがあって、そこが魅力です。それを伝えていきたいです」と本作の魅力についても語った。

イベント終盤に差し掛かると、周防監督が実際に47都道県を回る際に着ていた法被を、監督から成田へバトンタッチ。法被に袖を通した成田は、「これには日本全国をまわったエネルギーが詰まっているので、気を引き締めていきます!」と改めて意気込みを口にした。周防監督も「活動写真、映画の魅力について考えて作った作品でもあるので、映画はここから出発したんだと伝えていきたいです!」と話し、大ヒット出陣式は幕を下ろした。

『カツベン!』
12月13日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:周防正行
エンディング曲:奥田民生「カツベン節」
出演:成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 井上真央 音尾琢真 竹野内豊 竹中直人 渡辺えり 小日向文世 池松壮亮 成河 酒井美紀 山本耕史 草刈民代 城田優 上白石萌音 シャーロット・ケイト・フォックス
配給:東映

【ストーリー】 一流の活動弁士を夢見る青年・俊太郎(成田凌)は、小さな町の映画館「靑木館」に流れつく。隣町のライバル映画館に客も、人材も取られて閑古鳥の鳴く靑木館に残ったのは、「人使いの荒い館主夫婦」、「傲慢で自信過剰な弁士」、「酔っぱらってばかりの弁士」、「気難しい職人気質な映写技師」と曲者揃い。雑用ばかり任される俊太郎の前に突如現る大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察、そして幼なじみの初恋相手!俊太郎の夢、恋、青春の行方は…!俊太郎の活弁がうなるとき、世紀のエンターテイナーの物語がはじまる。

©2019 「カツベン!」製作委員会