1996年にアトランタ・オリンピックで起こった爆破テロ事件の容疑者と、その真実を追う弁護士の実話を映画化した、クリント・イーストウッド監督最新作『リチャード・ジュエル』が、2020年1月17日より公開される。このほど、現地時間11月20日に米ロサンゼルス・TCLチャイニーズ・シアターにてワールドプレミアが開催され、クリント・イーストウッド監督、ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、ジョン・ハム、キャシー・ベイツらが登壇した。
▲(左から)イアン・ゴメス、サム・ロックウェル、ポール・ウォルター・ハウザー、キャシー・ベイツ、クリント・イーストウッド監督、ジョン・ハム
リチャード・ジュエル役を務めた主演のポール・ウォルター・ハウザーをはじめ、ジュエルの敵となるFBI捜査官役のジョン・ハム、赤い服と赤い口紅が印象的なキャシー・ベイツ、ひげを蓄えワイルドなサム・ロックウェルなどそうそうたるキャストたち、そして、クリント・イーストウッド監督がレッドカーペットに登場。御年89歳の巨匠が、ポップコーンを頬張るおちゃめな一幕もあった。
本作でリチャード・ジュエルという人物を題材にしたことについて問われたイーストウッド監督は、「ジュエルは、ひどい悲劇の犠牲者だったからだよ。彼は、『疑わしきは罰せず』という扱いを受けなかった。彼は、適切な調査をされずに(犯人だと)判断されたんだ。それは、憲法に反することだし、僕らが信じているすべてのことに反している」とコメント。さらに今この作品を公開する理由については、「今世界で起きているのととても似たことだからだよ。人々は、ちゃんと確認する前に、早まった判断をするんだ」と、現代だからこそ伝えたいテーマだと語った。そして、日本のファンにメッセージを求められると、「お会いできてうれしいよ。ビバ・ジャパン!」と笑顔を見せた。
主演のポール・ウォルター・ハウザーはにこやかにコメントに対応。作品について問われると、「僕はこの映画が大好きだよ。僕にとってものすごく大切なものだ。クリントと仕事をするのは喜びだったし、とても奥行きのあるキャラクターや意義のあるストーリーを語るのは喜びだった」とイーストウッド監督との仕事はもちろん、リチャード・ジュエルを演じることは、自身の中で大きな経験だったと語る。そしていよいよ作品が披露されることには、「僕は多くの観客がこの作品を楽しんでくれることにとても興奮している。人々は一礼して(映画館を)後にするよ。そして自身、それが誰か知っている人をリチャード・ジュエルの中に見出すんだ。(今ここに)リチャードが僕らと一緒にいて、僕らと一緒に祝うことが出来たらよかった。彼の魂はここにいるよ。そして、彼の母親がここにいる」と、なんとリチャード・ジュエルの母ボビー・ジュエル本人も、このレッドカーペットへの登壇が実現したことを明かした。
さらに、本作と今の社会の関連について「残念なことに、この映画はいつも今日的な意味を帯びている。僕らが同じ間違いを犯し続けている限りは、歴史は繰り返されるんだ。FBIのようなグループの人々は、もっとちゃんとわかっているべきだ。リチャード・ジュエルを、88日間も捜査をして何も見つからなかったうえに、彼の人生を台なしにしたんだ。この映画はそれを明らかにすると思う。歴史と真実に光を当てているんだ。だから僕らは今夜ここにいるんだ。リチャード・ジュエルを称賛し、彼のストーリーを語るためにね」と強くメッセージを送った。
『リチャード・ジュエル』
2020年1月17日(金)より全国ロードショー
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作:ティム・ムーア ジェシカ・マイヤー ケビン・ミッシャー レオナルド・ディカプリオ ジェニファー・デイビソン ジョナ・ヒル
脚本:ビリー・レイ
出演:サム・ロックウェル キャシー・ベイツ ポール・ウォルター・ハウザー オリビア・ワイルド ジョン・ハム
配給:ワーナー・ブラザース映画
【ストーリー】 1996年、アトランタ・オリンピック開催中に爆破テロ事件が勃発。不審なバックを発見した警備員リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)の迅速な通報によって多くの人命が救われた。だが、爆弾の第一発見者であることでFBIから疑われ、第一容疑者として逮捕されてしまう。ジュエルの窮地に立ち上がった弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)は、この捜査に異を唱えるのだが…。
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