堀潤「世界の不条理に目を向けるとても良い機会」映画『15時17分、パリ行き』徹底解説 トークイベント

クリント・イーストウッド監督最新作で、2015年に発生したテロ“タリス銃乱射事件”を描く映画『15時17分、パリ行き』が3月1日より全国ロードショーとなる。本作を徹底解説するトークイベントが2月22日にスペースFS汐留で行なわれ、ゲストのモーリー・ロバートソン(国際ジャーナリスト)、堀潤(ジャーナリスト)、木佐彩子(フリーアナウンサー)が登壇した。

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本作は、2015年8月21日に、554人の乗客を乗せたアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスで発生した“タリス銃乱射事件”で、武装したイスラム過激派の無差別テロ犯に立ち向かった3人の若きアメリカ人を描く。巨匠クリント・イーストウッド監督が初めてテロを描くにあたって、主演や列車内の乗客まで当事者を起用し徹底的にリアリティを追求した前代未聞の本作を、ジャーナリストのモーリー・ロバートソンと堀潤が徹底解説。また、アメリカ育ちで自身も夫の石井一久との間に愛息のいる木佐彩子が、母親の視点で主人公3人と映画の魅力を語った。

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モーリーは作品について「アメリカでは賛否両論」と事実を述べつつ「自分がクリント・イーストウッドに持っていた、人としての懸念と作品は切り離されました。ただ皆さんが銃などに対して、あるいは軍人に対して強いご意見があると、先入観やバイアスが強まるかもしれない」コメント。続けて堀は「事件に至るまでの経緯を振り返りながら、社会問題と向き合うための気付きを上手に散りばめている。起因となるものを丁寧に描きながらラストシーンに導く。完成された映画」と語りつつ、「学ぶべきことは、ボールは常に私たちにあるということ。当事者性を喚起させる内容も巧み」と作品に太鼓判を押した。

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母親目線から観たという木佐は「ヒューマンタッチなところに心を動かされました。この作品に10年前に出会えていたら、もしかしたら子育てが違ったかな?」というぐらい価値観が変わったこと告白。続けて「私の子育ては型にはまっていないと思っていたのですが…。この映画を観て、子供が発しているメッセージや個性を受け入れるのが大事なんだ」と気がついたという。

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事件の当事者が役を演じていることについて、モーリーは「お話の方にひっぱられた」、堀は「事実としてご本人たちがご本人を演じている。それで映画が成り立っている」、木佐は「勇気と覚悟を持って出てくださったと思うので感謝しています」とそれぞれの思いを語った。

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最後に堀は「テロリストと主人公たちは合わせ鏡のような存在。世界中でなにも問題が解決していない。紛争、テロ、貧困、シリアも大変なことになっています。ただ目が向きにくいですよね? 世界の不条理に目を向けるとても良い機会になると思います。観終わったあと。ぜひ皆さんがメッセンジャーになって、いろいろな方々に広げていってください」と語りイベントを締めくくった。

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『15時17分、パリ行き』
2018年3月1日(木)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他全国公開
監督:クリント・イーストウッド
出演:アンソニー・サドラー アレク・スカラトス スペンサー・ストーン
配給:ワーナー・ブラザース映画

【ストーリー】 2015年8月21日、アムステルダム発パリ行きの高速列車タリスが発車した。フランス国境内へ入ったのち、突如イスラム過激派の男が自動小銃を発砲。乗務員は乗務員室に逃げ込み、500名以上の乗客全員が恐怖に怯える中、幼馴染の3人の若者が犯人に立ち向かった。

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