出演者は全員地元住民!岩手県一関市を舞台に中学生の少女の変化を描く映画『もち』2020年春公開!

岩手県一関市の骨寺村を舞台に、伝統的な文化と中学生の少女の変化を描く映画『もち』が、2020年春に公開されることが決定した。

広島国際映画祭2019の招待作品に決定した、伝統と生きる人々の“今”を描いた本作。800年前の景観とほぼ近い姿で奇跡的に守られてきた岩手県一関市に住む14歳のユナ。おばあちゃんの葬式で、おじいちゃんは臼と杵でつく昔ながらの方法で餅をつきたいと言い張る。家族は餅つき機で同じように美味しいものができると説得してみるが、頑なに餅をつくと言い、ユナは敏感におじいちゃんの心の機微を感じてそっと寄り添う。やがて学校の閉校が決まり、ユナは世界が刻々と変化することへ不安を抱えていく。

監督は、生き生きとした表情を引き出す独特の演出や細部にこだわった映像美に定評があり、500本以上のCMを手がけてきた小松真弓。もともと、一関市のプロモーション映像を撮影する目的で岩手の地を踏んだ小松監督と、一人の少女との出会いから、本作は誕生した。この土地と人々によって生まれた言葉、伝統、そして感情をありのままに残すため、限りなくノンフィクションに近いフィクションというハイブリッドな形で制作し、キャストには全員住民が起用された。

■小松真弓監督 コメント
もちを作ること、一緒に食べること、それは、互いに幸せを分かち合い、悲しさ、辛さも共に背負っていく、人と人との絆を強めるためのもの。誰も踊らなくなり、忘れ去られた神楽を復活させた中学生達がいると聞いて訪れた校庭で、1人の少女が舞っていた。それが14歳のユナでした。大地と共に生き、真っすぐで強く儚い人間という、希少な野生動物に出会った感覚でした。この土地では「もち」はただの食べ物ではなく、深いもの・強いものが宿っているという。だが、その文化がなくなりつつある。東京にいると文化どころか、昨日と今日では街の景色ですら変わってしまっていることもある。大量の情報が空中に溢れ、それぞれが欲しい情報だけを選択して簡単に手に入れられる便利な世界。毎日がすごい速さで更新されていく。人と人が直に繋がることも薄くなってきて、電話やメールなど空中で繋がることの方が多くなってきた。今まで人々の体温のあるつながりの中で受け継がれてきた土着のものは、触れられることもなしにひっそりとなくなっていきそうだ。それを時代のせいにして、知らん顔をすることもできる。でもなぜ今まで残ってきたのかという意味、その心を忘れてはいけないと強く思った。この村には大切なものがまだたくさん残っている。この話は限りなくノンフィクションに近いフィクションでやることにとても意味があると思ったので、出演者は全員一関の人たちにお願いしました。この土地から生まれた言葉、伝統、想いを、なるべくありのままの形で残したかった。その昔人は一人で生きていけると思っていた時期もあった私。「もち」は、あの頃の私のような人に見て欲しい。

『もち』
2020年春、ユーロスペースほか全国ロードショー
監督・脚本:小松真弓
出演:佐藤由奈 蓬田稔 佐藤詩萌 佐々木俊 畠山育王
配給:フィルムランド

【ストーリー】 800年前の景観とほぼ近い姿で奇跡的に守られてきた岩手県一関市に実際に住む14歳のユナ(佐藤由奈)。おばあちゃんの葬式で、臼と杵でつく昔ながらの方法でどうしても餅をつきたいと言い張るおじいちゃん(蓬田稔)。家族は、そんな面倒なことをしなくても、餅つき機で同じように美味しいものができると説得してみるが頑なに餅をつくという。ユナは敏感におじいちゃんの心の機微を感じてそっと寄り添う。生徒の減少から中学校の閉校が決まり、最後の一年を終えると学校もなくなる。ユナの世界も刻々と変化していき、自分の周りから色々なものがなくなり、離れていくことへの不安を抱えていく。