吉岡里帆、地元・京都に凱旋!「おばあちゃんと、お父さんとお母さんと弟と、おばあちゃんの友達ご一行が来てくれています!」『見えない目撃者』

2011年に韓国で230万人を動員した大ヒット映画『ブラインド』を、日本で大胆に脚色した、吉岡里帆が主演、高杉真宙が共演を務めるサスペンス・スリラー『見えない目撃者』が、9月20日に公開初日を迎えた。それを記念し、9月21日にTジョイ京都にて舞台挨拶イベントが行われ、吉岡里帆と森淳一監督が登壇した。

映画の上映が終わり、感想を話し出す観客たち。R15+の映画ということもあり、衝撃的な内容に様々な思いを口にする観客たちの熱が冷めやらぬ中、主演の吉岡里帆と森淳一監督が登壇。会場は大きな拍手に包まれ、客席からは、「おかえりー!」と声が上がった。京都出身の吉岡は地元の観客の温かい出迎えに思わず笑顔がこぼれた。

冒頭、地元での舞台挨拶を行えるということに喜び・感謝を感じている様子の吉岡、そして初めてのR15+作品が公開2日目を迎えた森監督がそれぞれ挨拶をした。主演の吉岡は「皆さんこんにちは。京都に帰ってきました。ただいま!上映後ということでみなさんいかがだったでしょうか?大丈夫ですか?」と過激なシーンも多い映画の鑑賞直後の観客を気遣い、「地元という事もあり、今回、京都で舞台挨拶ができるという話があった時に、本当に嬉しくて、皆様にお会いできるのを私がずっと一番待っていました」と笑顔で挨拶した。森監督は「今日は京都に来られてとても嬉しいです。どうでした?怖かったですか?」と問いかけると、会場は大きな拍手に包まれ、「ほっとする」と安堵の表情。吉岡も監督と顔を見合わせ、ほっとした様子で笑顔をみせた。吉岡はさらに、「色々な地方キャンペーンがあった中で、一番(観客と)近い感じがします!」と会場の温かい雰囲気に感激していた。

映画の内容とは対照的に、和やかなムードで始まった舞台挨拶。地元京都に帰ってきた吉岡は、まず、京ことばでの一言を求められると、「ほんまに今日はありがとう~(笑)」と微笑む。「おばあちゃんと、お父さんとお母さんと弟と、おばあちゃんの友達ご一行。そして私がまだエキストラをしていた時の友達など、本当に心から愛している人達が来てくれているので、特別な上映でした」と語った。

また、主演作品とともに京都の街に戻ってきた心境を尋ねられると、吉岡は「今回は主演2作目だが、初めて尽くしの作品で、こういった作品の舞台挨拶で帰ってくるというのは、ひときわ気持ちも大きいです。心のこもっている作品なので、どんな風に伝わっているのだろうと気になっていたりもするので、皆さんとしっかり喫茶店で喋りたいくらい(笑)」と語った。

さらに、京都の思い出を尋ねられた森監督は「修学旅行で2回来ました(笑)。お寺をたくさん巡ったが、一番の思い出は東映太秦映画村に行ったこと。当時、高倉健さんの大ファンで、パネルを持ちかえって部屋に飾っていました」と、若き日を振り返った。吉岡はお勧めのスポットを聞かれて、「家族でよく嵐山に行くのですが、船でお菓子やイカ焼きを買ってよく食べていたのが素敵な思い出」と語ると、地元の観客は頷いて理解を示していた。

本編中では、ほとんど笑顔も見せず、吉岡里帆のハードな姿が詰まったチャレンジングな作品となった本作だが、自身にとっては「準備期間が2か月ほどあり、目の見えない方にもお話しを聞き、葛藤など様々なことをお聞きする中で、そういった方々の中に、ぶれない芯のようなものを感じました。本作には、『自分なんて』と思っている方へのメッセージも詰まっていると思います。人と人との関わりで人が強くなることであったり、社会的な弱者に見える人が誰よりもしなやかな強さを持っているのだということなど、スリラーでありながら、メッセージ性の強い映画になりました」と語った。

そんな吉岡の撮影現場での姿を森監督は「難しい役柄だったと思う。本当に頑張ってくれました。カメラが回っていないところでも、スタッフを気遣ってくれて、色々と苦しいこともあったと思うが、吉岡さんの人柄で一丸としてくれました!」と感謝を述べた。吉岡も「この映画の発案があったのは4年前と聞きました。自分は4年前を振り返ると、本当に悩んでいる時期だったんです。自分は映画が完成する間近で、やっと参加できているんだな。だから、スタッフさんへのリスペクトは強く持っていました」と感慨深そうに語った。

脚本も担当した森監督は、物語を作る上で「ハラハラドキドキする映画を作りたいというのが基本にありました。しかし、それだけではなく登場人物の成長や再生ということも考えて作りました」と、本作の根底にはドラマがあることを強調。女性警察官、視覚障害者、盲導犬トレーナーなど、長時間の取材を行い、射撃訓練やアクショントレーニングも経験するなど、多くのことに挑戦することとなった本作。そんなハードな映画作りを通して、一番大変だったことを尋ねられると、吉岡は「エンターテインメントとして楽しんでもらいたいが、リアリティの追求もしっかり考えたいということは監督とも話していて、そこの絶妙なラインが難しかったです」と振り返った。その中でも盲導犬役の犬・パルとの共演を振り返り、「パル自身は、実は劇中のキャラクターと全然違うんです。撮影が楽しくて仕方ないみたいで、ずっと尻尾振ってて本当に可愛かったんです!だけど、一緒に仕事をするんだという意識を持たなければいけなかったので、ペットみたいに可愛がらず、少し距離を置くなど、もどかしいこともありました」。さらに、パルの演技のために、「私しかパルに触れないルールがあった」という撮影現場。「撮影が終わってからみんなに構ってもらって嬉しそうでした(笑)」と相棒パルとの思い出を振り返った。

フォトセッション後の最後のメッセージで森監督は「何度も吉岡さんと舞台挨拶をしているが、今日は嬉しさが特に伝わってきました。怖いシーンもあるが、映画の面白さが詰まっている映画だと思うので、もう一度、二度楽しんでもらえると嬉しいです」と述べた。そして、吉岡が「ちょうど8年前、東映の撮影所で着物着てエキストラをしていました。台詞があったわけではないですが、その時から映画がずっと大好きで、いつかこんな作品に出てみたいという思いがやっと叶った作品です。大好きな地元の人達に映画を観てもらえて本当に感無量です。皆さんにとってこの作品がどういう存在であるかということは、皆さんの言葉を借りるしかないと思っています。ネタバレが出来ないので、皆さんの言葉で、お力を貸してください。これからも『見えない目撃者』を宜しくお願いします。今日はありがとうございました」と締めくくり、主演女優・吉岡里帆の地元での凱旋舞台挨拶は幕を閉じた。

『見えない目撃者』
9月20日(金)より全国公開中
監督:森淳一
脚本:藤井清美 森淳一
主題歌:みゆな「ユラレル」
出演:吉岡里帆 高杉真宙 大倉孝二 浅香航大 酒向芳 松大航也 國村隼 渡辺大知 栁俊太郎 松田美由紀 田口トモロヲ
配給:東映

【ストーリー】 警察学校卒業式の夜、自らの過失で弟を事故死させてしまった浜中なつめ(吉岡里帆)。そのときの事故が原因で失明し、警察官を諦めた彼女は、弟の死を乗り越えることができずに3年経った今も失意の中にいた。そんなある日、なつめは車の接触事故に遭遇する。その事故現場で車中から聞こえた、助けを求める少女の声から誘拐事件の可能性があると訴えるなつめ。視覚以外の感覚から感じ取った『目撃』情報を警察に提示するも、警察は目の見えないなつめを“目撃者”足り得ないと考え、捜査を打ち切ってしまう。それでも、少女を救いたいと考えるなつめは、事故現場で車に接触したスケボー少年・国崎春馬(高杉真宙)を探し出す。やがて、彼らの必死の捜査により女子高生失踪が関連づけられてゆくのだが、猟奇殺人鬼の魔の手は彼らにも迫ってくる…。

(C)2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ (C)MoonWatcher and N.E.W.