山中さわお「25歳の頃の俺に天音君は似ている。だから将来こんな見た目になるよ」、岡山天音「恐縮です!」

2019年に結成30周年を迎え、若手ミュージシャンからも絶大なリスペクトを集めるthe pillowsのアニバーサリーイヤープロジェクト「Thank you, my highlight」の一つとして、ボーカルの山中さわおが原案・音楽を担当し、岡山天音が主演を務める映画『王様になれ』が、9月13日に公開初日を迎えた。それを記念し、9月14日にシネマート新宿にて公開記念舞台挨拶が行われ、主演の岡山天音、the pillowsのリーダーで原案担当の山中さわお、そしてオクイシュージ監督が登壇した。

カメラマンを夢見る主人公・祐介役の岡山は、映画単独初主演。観客の反応を自らが聞くコール&レスポンスに挑戦すると「新鮮!いつもは主役の横にいる立場だから」と嬉しそう。山中は封切りに「本当に実現したんだなぁと。しかもこんなにたくさん観客が集まっているじゃないか!」と気色満面。演技にも挑戦しているが「本人役だし、ほとんどのことが現実に何百回も言ったことのあるセリフなので、芝居をした感覚はなかった。やりやすいように誘導してもらいました」と初演技の感想を口にした。

岡山演じる祐介を怒鳴る演技は真に迫っているが「普段はあそこまで怒りません。ネチネチと追い込むタイプです」とジョークで笑わせると、オクイ監督は「怒る指示はしたけれど、俺の想像の遥か上が来たので驚いた」とニヤリ。岡山も「もう怖すぎて覚えていません…」と怯える始末で、山中は「この映画はそこが主軸じゃないですから!そこまで掘り下げる必要ありますか!?」と大慌てだった。

GLAYやストレイテナーなど豪華ミュージシャンが友情出演。山中は「直接会って出演をお願いしたり、メールで連絡したり。みんな二つ返事で引き受けてくれました。特にGLAYのTERU君は丁寧に長い文章を送ったら、すぐに『やったー!銀幕デビュー!』と軽めの返信が来て驚いた」と男気出演に大感謝。そのライブシーンをオクイ監督が「すごくカッコよかったし、TERUさんは生で何度も歌ってくれて本当に感動しました」と振り返ると、山中は「会場に来てエキストラのお客さんを見て『これは歌わなきゃ』と急遽歌ってくれた」と舞台裏を明かした。

一方、ミュージシャンたちとの共演に岡山は「ずるいなぁと思った。あれだけ本職でしっかりとやられている方々なのに、それに加えてさらにお芝居できるのかと」とミュージシャンたちの器用さに嫉妬しつつ「モニター越しに見ても華があって…。劣等感を感じました。一転、カメラが僕の方に来たときは『存在感薄っ!』と思った」と自虐。そんな岡山に山中は「お芝居も上手いし、実は25歳くらいの時の俺に天音君は似ている。だから将来こんな見た目になる恐れがあるよ」と予言し、the pillowsのファンであるバスターズを前に岡山は「恐縮です!」と肩をすぼめていた。

the pillowsの魅力について岡山は「歌詞のパワー」と挙げて「撮影が終わった今も曲を聴いているけれど、映画公開を迎えて改めてカッコいいバンドだと思います」とリスペクト。製作期間中はthe pillowsにドップリだったというオクイ監督は「過去のインタビューでさわお君が『興味のない相手とキャッチボールをすると、その人は受け取ってくれない。地に足が付いていないとむやみに投げてしまって勝手に傷つく』というようなことを言っていて、その言葉が撮影中にずっと心にありました。そして自分もその思いで映画を作りました」と打ち明けた。

山中は「自分の強みは鈍感力。映画を作りたい!という無謀なことも鈍感力があったからこそ、怖いもの知らずで決断することができた」と2017年からの歩みを振り返り「こんなにちゃんとした映画になるとは思っておらず、スタッフ・キャストみなさんの力があったからこそできた。この鈍感力を持って、10月17日の横浜アリーナに立ちたい」と気持ちを新たにしていた。

長編映画単独初主演の岡山は「自分の人生にとって一度しかない初主演という機会がこの作品であったことを嬉しく思います。the pillowsの30周年アニバーサリーイヤープロジェクトとして作られた映画で、皆さんにとっても何かの節目のときに見返したくなるような映画になってくれたら嬉しいです」とさらなる広がりに期待を込めた。

『王様になれ』
9月13日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開中
監督・脚本:オクイシュージ
原案・音楽:山中さわお
出演:岡山天音 後東ようこ 岩井拳士朗 奥村佳恵 平田敦子 村杉蝉之介 野口かおる オクイシュージ 岡田義徳 TERU(GLAY) JIRO(GLAY/THE PREDATORS) ホリエアツシ(STRAIGHTENER) THE KEBABS ナカヤマシンペイ(STRAIGHTENER) 日向秀和(STRAIGHTENER) 高橋宏貴(ELLEGARDEN/THE PREDATORS) SHISHAMO Casablanca THE BOHEMIANS 宮本英一(シュリスペイロフ) 藤田恵名 有江嘉典(VOLA&THEORIENTAL MACHINE) 山中さわお(the pillows) 真鍋吉明(the pillows) 佐藤シンイチロウ(the pillows)
配給:太秦

【ストーリー】 カメラマン志望の祐介(岡山天音)は、叔父の大将(オクイシュージ)のラーメン屋で働いている。夢を叶えるには現実は厳しく苛立ちと焦りに苛まれながら過ごす日々。初めて足を運んだthe pillowsのライブで、思いを寄せるユカリ(後東ようこ)をみかけ話すようになる。「もしかしたら必然かも、ピロウズと出会ったの」。ユカリとの距離が近づくにつれて、祐介はthe pillowsの魅力にもどっぷりはまっていく。

©2019『王様になれ』フィルムパートナーズ