昨年の第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で監督賞を受賞した、田中征爾監督によるサスペンス・コメディ『メランコリック』が、8月3日より公開される。このほど、予告編がお披露目となり、併せて、著名人より本作への応援コメントが寄せられた。
本作は、出演の皆川暢二と磯崎義知、監督の田中征爾が立ち上げた映画製作ユニット、One Goose(ワングース)による映画製作第一弾作品。名門大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・和彦は、ある夜、たまたま訪れた銭湯で高校の同級生・百合と出会ったのをきっかけに、その銭湯で働くこととなる。だが、閉店後の深夜に風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知ってしまい、同僚の松本が殺し屋であることが明らかになる。
予告編では、東大卒で無職、実家暮らしの主人公・和彦(皆川暢二)が、たまたま訪れた銭湯でバイトを始めるが、その銭湯は閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知り、取り返しのつかないことに巻き込まれていく模様が描かれている。
著名人 応援コメント
■大九明子(映画監督)
登場人物が全員、絶えず魅力的。松本が金髪揺らして「仕事」するときの所作なんか超色っぽい。プロデューサー・監督・俳優という三者の、映画作りたい、作りたい、作りたい!が沸騰した末、良い湯加減になったのでしょうね。
■四方田犬彦(映画研究・比較文学)
いささか背の高いダスティン・ホフマンとガタイのいいブライアン・ジョーンズが、一昔前の香港映画の拳銃ごっこを始める。銭湯とは死体処理に最適の場所だとは、ヒッチコックも気が付かなかった。がはは。気分がいいぜ。日本映画はまだ健全だ。
■森直人(映画評論家)
なんでこんなに面白いんだろう――?田中征爾という未知の若い監督による快作に心を奪われた。簡単に割り切れない世界を、我々が辿ったことのないコースで案内してくれる。
■矢田部吉彦(東京国際映画祭 プログラミング・ディレクター)
サプライズ満載!殺しと愛、友情と家族に関するとびきりオリジナルな物語。僕は終盤に落涙してしまいました。新たなストーリーテラーの誕生に刮目せよ!
■川平慈英(俳優)
ノーガードで観にいったら気持ちのいいストレートパンチにノックダウン。こんな狂気的なコメディエンターテイメントが今まであっただろうか!?この映画は世界を席巻する日本代表だ!見届けない手はない!
■真魚八重子(映画評論家)
突飛な設定でありつつ、若者が責任を担う喜びやライバルへの嫉妬心など、感情の機微が見事に捉えられていて感嘆。アクションも香港映画のようでオッ!と身を乗り出したし、笑いに満ちた中にジャン=ピエール・メルヴィルの香りがフッとする。新人離れした快作!
■矢部太郎(お笑い芸人・漫画家)
銭湯という場所に行くたびに僕はなんとも言えない違和感を感じます。日常の中にある異常。その違和感がどんどん広がっていって、怖くて、かっこよくて、面白い、素晴らしい映画になっていました!
■村田雄浩(俳優)
何とも愛おしい映画である!こんな奇抜なことが、本当に日常の中で起きているのかも知れない!と思わせてくれるのが不思議だった…。物語は何気ない会話で紡がれていて、演出やカット割りも奇をてらうようなこともなく…。しかし、いつの間にか登場人物に心を奪われている。最後には登場人物のその後が気になってしょうがなかった。
■入江悠(映画監督)
東京国際映画祭での審査会の席、「この監督には確かな力量とビジョンがある」と、監督賞の受賞が満場一致で決まりました。突拍子もなさそうな設定でも飄々と観るものをからめとってしまう田中征爾監督、末恐ろしい!
■羽生生純(漫画家)
営業時間外の銭湯で処刑した死体を楽に掃除して焼却し、その熱で湯を沸かしお金も儲かる画期的なエコシステム!そのシステムを知ってしまった人、利用する人、逃れられない人、間接的に関わってしまった人々、それぞれのメランコリーが湯気とともに立ち昇りどこへ漂っていくのか想像もつかないニュータイプの銭湯映画です。
■松崎まこと(映画活動家・放送作家)
金や知名度はなくても、知恵とスキルと勇気があれば、面白い映画が出来ることを証明する作品。だからと言って、この映画のプロデユーサーや監督、出演陣に、次も「“低予算”で」なんてオーダーしかなかったら、それこそ夢も希望もない。…と思うぐらい、ホントに面白い!!
■コトブキツカサ(映画パーソナリティ)
ジャンルミックスな物語と堅実な役者の演技に、観客を信じ込ませる強度を感じた。この作品が描いているのは、『パルプ・フィクション』に出てくるザ・ウルフのその先だ!
『メランコリック』
8月3日(土)より、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本・編集:田中征爾
出演:皆川暢二 磯崎義知 吉田芽吹 羽田真 矢田政伸 浜谷康幸 ステファニー・アリエン 大久保裕太 山下ケイジ 新海ひろ子 蒲池貴範
配給:アップリンク 神宮前プロデュース One Goose
【ストーリー】 名門大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・和彦(皆川暢二)。ある夜たまたま訪れた銭湯で高校の同級生・百合と出会ったのをきっかけに、その銭湯で働くこととなる。そして和彦は、その銭湯が閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。そして同僚の松本(磯崎義知)が殺し屋であることが明らかになり…。