2016年11月12日に劇場公開され、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、激化していく世の中で大切なものを失いながらも、日々を大切に前を向いていく女性・すずを描いた、片渕須直監督によるアニメーション作品『この世界の片隅に』が、8月3日にNHK総合にて地上波初放送されることが決定した。併せて、NHKスペシャル「#(ハッシュタグ)あちこちのすずさん~戦争中の暮らしの記憶~(仮)」が8月10日に放送されることが決定し、スタジオゲストとして、片渕須直監督、八乙女光&伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、千原ジュニアの出演が発表された。
日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、仏・アヌシー国際アニメーション映画祭優秀作品賞など国内外で70以上の賞を受賞するなど大きな反響を呼んだ映画『この世界の片隅に』。多くのファンと上映劇場の熱意に支えられ、公開から1日も途絶えることなく900日以上にわたり上映が続けられている本作が、ついに地上波初放送となる。
地上波放送の一週間後には、NHKスペシャル「#あちこちのすずさん~戦争中の暮らしの記憶~(仮)」の特集番組の放送も決定。「#あちこちのすずさん」というキーワードが生まれたのは去年8月、NHK「クローズアップ現代+」にて、本作の主人公・すずさんのように、恋やオシャレ、食べ物といった日々のなにげない暮らしを工夫して紡ぎながら、戦時中を懸命に暮らしていた人たちのエピソードがSNSで全国から集ったことがきっかけ。戦争を身近に感じてもらうことで“平和への想い”や“戦争の記憶”を次世代につなげていこうという呼びかけに大きな反響が生まれ、番組には2000を超えるエピソードが寄せられた。
そして今年、より幅広い世代にも想いを届けるためにNHKの様々な番組が連動。10~20代に人気の「らじらー!」(ラジオ第1)、子育て世代に多く見られている「あさイチ」(総合テレビ)、働き盛りの世代を中心に支持を集める「クローズアップ現代+」(総合テレビ)など、様々な世代に向けた番組で、8月10日のNHKスペシャルの放送に向け「#あちこちのすずさん」の投稿を呼びかけつつ、当日は各番組から出演者が集う。また、各番組やSNSなどで募ったエピソードを片渕須直監督の全面バックアップにより、アニメーション制作会社MAPPAがアニメ化する企画も進行している。
さらに、「戦争体験の風化」という社会問題に対して、記憶と記録をアーカイブし未来へ残す必要性を考え続けてきたYahoo! JAPANがこの取り組みに賛同。「#あちこちのすずさん」というキーワードをともに使用しながら、Yahoo! JAPAN独自のコンテンツを発信しつつ、“戦争の記憶”をつなげる試みに挑戦する。
『この世界の片隅に』の“長尺版”となる劇場アニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が、12月20日より公開される。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
12月20日(金)よりテアトル新宿・ユーロスペースほか全国公開
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
アニメーション制作:MAPPA
声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓 澁谷天外(特別出演)
配給:東京テアトル
【ストーリー】 広島県呉に嫁いだすず(声:のん)は、夫・周作(声:細谷佳正)とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19(1944)年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリン(声:岩井七世)と出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりを感じてしまう。昭和20(1945)年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。そして昭和20年の夏がやってくる。
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会