吉行和子、寛一郎に「私は三國連太郎さん世代なのでアナタとは話は合わないわよね」『雪子さんの足音』初日舞台挨拶レポート

木村紅美による芥川賞候補となった小説を、主演に吉行和子、共演に菜葉菜、寛一郎を迎えて映画化した『雪子さんの足音』が5月18日に公開初日を迎え、同日に渋谷のユーロスペースにて初日舞台挨拶が行われ、吉行和子、菜葉菜、寛一郎、浜野佐知監督が登壇した。

主演を務めた吉行は「浜野監督の作品には5作出させていただき、これが極めつけです。これでいいや!というくらい雪子さんというキャラクターに満足しています」と完成作品に自信。吉行からLINEで「とんでもないバアさんの役はありませんか?」と連絡を受けたという浜野監督は「その言葉が今日に繋がる幸せの始まり」と封切りに笑顔を浮かべた。

それに吉行は「“とんでもない”の前に、本当は“素敵な”をつけようかと思ったけれど、それは控えました」とジョークで「私が想っている以上に何倍も素敵な雪子さんの役が見つかりました。寛一郎君の困っている顔を見るのが楽しかった。迷惑そうな顔をしているのを見ながら、可愛いなぁ~と思っていた」と微笑。当の寛一郎は「吉行さんはチャーミングで魅惑的。その一方で笑顔の奥にある狂気的なものも見えて、いい意味で妖怪チックな場面もあった。薫が惹かれていくのもわかる」と吉行の醸し出すオーラに舌を巻いていた。

菜葉菜は、吉行との本格的共演に「こんな光栄なことはないと思いながらも、思い切り甘えさせていただきました。吉行さんは今でも女性の大人の色気がある方で、憧れであり目標。でも控室では寛一郎さんと緊張!」と恐縮しきり。当の吉行は「二人が怯えていたのはわかりました。なので『私は(祖父の)三國連太郎さん世代なのでアナタとは話は合わないわよね』とフォローしました」とユーモアたっぷりに笑わせた。

浜野監督は本作について「この映画は吉行さんのための映画なので、吉行さんが存在しなければ作りませんでした」と思いを明かし「原作、脚本、キャスト・スタッフ皆さんの集合体だと思えたし、この作品に関してはプライドを持って“どうだ!”と言える気がする」と胸を張り、「私と吉行さんは、とんでもないバアさんの強烈タッグです!」と力強く宣言した。

最後に吉行は、神田明神の大入りのお守りを手にして「これが効いて沢山のお客さんに入ってほしいけれど、お守り以上に映画を観てくれた方が、一人でも多くのお友達や知り合いに勧めてくれたら一番です」と口コミによる大ヒットに期待を込めた。

『雪子さんの足音』
5月18日(土)より渋谷・ユーロスペースにて公開
6月15日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティにて公開ほか全国順次ロードショー
監督:浜野佐知
原作:木村紅美「雪子さんの足音」(講談社刊)
脚本:山﨑邦紀
音楽:吉岡しげ美
出演:吉行和子 菜葉菜 寛一郎 大方斐紗子 野村万蔵 宝井誠明 佐藤浩市
配給:旦々舎

【ストーリー】 月光荘の大家、雪子さん(吉行和子)は、教養もあり文化的な香りを漂わせる。テレフォンオペレーターの小野田さん(菜葉菜)と雪子さんがサロンと呼ぶ部屋に、大学生の薫くん(寛一郎)も招かれた。それをきっかけに真綿で首を絞めるようなご馳走ぜめとぽち袋のお小遣い。二人の女性の欲望とエネルギーに触れ、底知れない恐怖を覚えた薫くんは月光荘を逃げ出した。それから20年の月日が流れ、月光荘の呪縛から逃れられない薫くんに、雪子さんの足音が聞こえてくる。孤独死した雪子さんと、月光荘を再訪した薫くんが、心の底で望んでいたものは?

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