寺田心、冨士眞奈美より「演技派よね」と絶賛され赤面!『ばあばは、だいじょうぶ』舞台挨拶 レポート

2017年、鈴木紗理奈にスペインのマドリード国際映画祭最優秀外国映画主演女優賞をもたらした『キセキの葉書』のジャッキー・ウー監督による、認知症になってしまった大好きなおばあちゃんの姿を、小学生の男の子の視点から描く映画『ばあばは、だいじょうぶ』が、5月10日より公開中。このほど、5月12日にイオンシネマ板橋にて本作の舞台挨拶が開催され、キャストの冨士眞奈美、寺田心、ジャッキー・ウー監督が登壇した。

認知症になる“ばあば”を演じた冨士は「監督が“自由にモダンなおばあさん”でいいですよと言ってくださって。それに従って自由に演じているうちに、『なんだか私、本当に認知症なのかしら?』と思うぐらい自然にできてしまったんです(笑)」と撮影を述懐。続けて「完成披露試写会での評判もとっても良くて。夏の暑い最中に頑張って撮影した甲斐がありました」と明かした。

続いて、ばあばの“変化”に葛藤しながらも寄り添う小学生の孫・翼を演じた寺田は、司会から役作りについて聞かれると「最初に(冨士に)お会いしたときに、“ばあば”って呼んでいいですか?ってお聞きしました。そしたら『いいわよ』ってぎゅーってしてくださって。本当のばあばみたいでした!」とコメント。そして冨士から、「でも優しかったばあばが、突然怒ったり怒鳴ったりするのをそばで見るのは怖かったんじゃない?」と聞かれると、「でも撮影が終わったら、優しいいつものばあば(冨士)に戻るから、本当にすごいなって思いました」とニッコリと話した。物語の終盤、翼くんが涙を流すシーンについて、冨士が「リハーサルの時から心ちゃんは『そんなに泣いたら涙がなくなっちゃう』と思うぐらい、ポロポロ泣いちゃって。演技派なのよね」と語りかけると、寺田は「そんなことないよ!はずかしい…」と顔を真っ赤にするひと幕もあり、本当の祖母と孫のような掛け合いに会場は温かい空気に包まれた。

ジャッキー・ウー監督は「絵本を読んでいただいた方はお分かりかと思いますが、ばあば役はチャーミングな女性でなければ成り立たないし、ただのお涙頂戴映画になってしまうと思った」と振り返り、「認知症を表現するにあたり、ばあばが正気から病気へと移行していく姿を、カットを割らずに長回しで撮りたかった。冨士さんには『瞬きをせず、僕がその場で指示する“エモーション”を表現してほしい』という、非常に難しい依頼をしました。でも結果的に一回のテイクで撮り終えることができ、これはもう、冨士眞奈美しかできない演技だと思いましたね」と冨士を絶賛。一方の寺田については「前作『キセキの葉書』でも子どもと仕事をしましたが、僕は子役を子役と思っていない。ひとりの役者として接しています。心くんとは、最初から『世界に向かって頑張ろうね』と話をしていました」とコメントした。前作に続き、二度目の海外映画祭での受賞を成し遂げ、雑誌などで“受賞請負人”と呼ばれることもある監督。「我々の映画は、海外においては“外国映画”になる。するとどうしても字幕に目がそれてしまう。それをふまえた上で演技を考えていくようにしています」と、受賞の秘訣のひとつを明かした。

『ばあばは、だいじょうぶ』
5月10日(金)より、全国イオンシネマにて公開中(一部劇場を除く)
監督:ジャッキー・ウー
原作:楠章子「ばあばは、だいじょうぶ」(童心社刊)
脚本:仁瀬由深
出演:冨士眞奈美 寺田心 平泉成 松田陽子 内田裕也 土屋貴子 久保寺淳 小暮智美 金内真弓 金島清史 真上沙剣 板倉佳司
配給:イオンエンターテイメント エレファントハウス 

【ストーリー】 ちょっと弱虫な小学生の翼(寺田心)は、喜寿を迎えたばあば(冨士眞奈美)、おとうさん(内田裕也)、おかあさん(松田陽子)と4人暮らし。翼は、ばあばのことが大好きだ。何かくじけそうになると、ばあばのところに行って、話を聞いてもらう。そんな時、ばあばは、必ず「だいじょうぶだよ」と言ってくれる。学校でいじめられても、ばあばが助けてくれた。そんな優しいばあばが少しずつ変わっていく。同じ質問を何度も繰り返すようになり、得意だった編み物ができなくなる。ばあばは「わすれてしまう病気(認知症)」になってしまったのだ。怒り出したり、大切にしていた庭の植物を枯らしてしまったり、翼のために作ったジャムを一人で食べてしまったり…。翼はなんだか怖くなって、近寄らなくなってしまった。そんなある日、ばあばは、靴も履かないで家を出たきり、いなくなってしまった。「ばあば、どこへ行ってしまったの?」やがて、翼は、ばあばの秘密を知る…。

©2018「ばあばは、だいじょうぶ」製作委員会