第18回東京フィルメックスにて最優秀作品賞を受賞したインドネシア映画『マルリナの明日』(映画祭タイトル『殺人者マルリナ』)が、5月18日より公開されることが決定し、併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。
強盗団に襲われた未亡人マルリナの復讐の旅を描く本作。インドネシアの僻村。7人の強盗団に襲われたマルリナは、彼らを殺害し、自らの正義のため、馬を駆って警察署へと向かう。
監督を務めたモーリー・スリヤは、長編デビュー作『フィクション。』がインドネシア映画祭で最優秀作品賞をはじめ4つの賞を受賞、2作目『愛を語るときに、語らないこと』では、インドネシア映画として初めてサンダンス映画祭に出品され話題となった。3作目となる本作は、第70回カンヌ映画祭監督週間で上映され、第18回東京フィルメックス最優秀賞をはじめ国内外で数々の賞を受賞。インドネシアの若手女性監督として、世界中の注目を集めている。
■モーリー・スリヤ監督 コメント(インタビューより)
Q:企画の経緯を教えてください。
スリヤ監督:インドネシアを代表する映画監督のガリン・ヌグロホ監督から、「君が監督をしたらいいんじゃないか」と本作の基となる原作「Woman」を渡されたことがきっかけです。
Q:原作から変更した箇所はありますか。
スリヤ監督:あらすじや主な登場人物は変えていません。章立てのスタイルをとりましたが、原作も違った形で章立てされていました。
Q:劇中歌についてお聞かせください。
スリヤ監督:歌われているのはスンバ島の歌です。インドネシア語ではないので、私自身も意味は分かりませんでしたが、響きが気に入って採用しました。字幕翻訳をつけたかったのですが、スンバ島にも正確に翻訳できる人がいなかったので断念しました。
Q:本作の撮影スタイルを築き上げた経緯を教えてください。
スリヤ監督:本作では、これまでの自作とは違うスタイルで挑戦したいと思い、信頼しているカメラマンのユヌス・バソランに「アジア映画だけど西部劇のスタイルでやりたい」と意向を伝えました。バロック調の絵画や、聖書の逸話、日本の時代劇も参考にしています。また事前に、動きのあるカメラワークは使わないように話し合いました。
Q:主人公の部屋に置かれていた、夫のミイラが印象的でした。
スリヤ監督:ミイラは美術ではなく、私の友人が演じています。彼はじっとするのが得意な脚本家なのですが、さすがに何時間も静止しているのは辛かったらしく、恨みを買いました(笑)。スンバ島は、実際に死体をミイラ化させる風習があり、村中お祭りのような形で葬式が行われます。ある家庭では、死体を棺に入れて30年間家に置いていました。
Q:主人公のあとをついてくる、首なし男についてお聞かせください。
スリヤ監督:首なし男が幽霊かと問われたら、答えはNOです。人生において人が大きな決断をすると、それはその後の人生に必ず残ります。決して消えて無くなってはくれないということを視覚化しました。
『マルリナの明日』
5月18日より、渋谷ユーロスペースにてロードショー、以後全国順次公開
監督:モーリー・スリヤ
出演:マーシャ・ティモシー パネンドラ・ララサティ エギ・フェドリー ヨガ・プラタマ
配給:パンドラ
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