寛一郎「作品を見て何かと向き合うきっかけのひとつになってくれたら嬉しい」『君がまた走り出すとき』公開記念舞台挨拶レポート

川口市が埼玉県と共催する「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」の15周年記念オープニング作品として製作され、寛一郎が主演を務める映画『君がまた走り出すとき』が、3月2日に全国公開初日を迎え、同日に新宿武蔵野館にて公開記念舞台挨拶が行われ、主演の寛一郎、共演の山下リオ、松原智恵子、菜葉菜、辻本祐樹、中泉裕矢監督が登壇した。

訳あって逃げ込んだ民家で老婦人・多笑(松原)から孫だと勘違いされ、成り行きでそこに住むことになる主人公・五十嵐翔太役を演じる寛一郎は、本作が全国公開される日を迎えた感想を聞かれると「基本的には川口市の映画だと思っていて、そういうものが全国に公開できるということは、この作品に関われた僕としても嬉しいですし、この作品を作り上げた皆さんとしても嬉しいことなのでありがたいですね」と感慨深げに語り、中泉監督は「僕ももともとは川口市のSKIPシティから発信された映画なので、そこは意識して作ったんですけど、どんな人が見ても楽しんでもらえる作品だと思うので、よりたくさんの人に見ていただけるように発信していきたいと思います」と笑顔を見せた。

撮影時の思い出を尋ねられると、寛一郎は「あまり運動は好きじゃないもので、走ることは基本的につらかったです(笑)」と打ち明けて笑いを誘い、「一緒に走る“SIX TURTLES”のメンバーと一緒にいる時間が楽しくて、みんな目指している方向は一緒という、映画の中と近しい関係だったので、僕はその空気感が楽しかったですし、それが画に出ているんじゃないかと思います」とニッコリ。MCから「(この日の)楽屋でも和気あいあいと過ごされていましたが、最初からそんな雰囲気でしたか?」と声をかけられると、中泉監督は「最初はそうでもない」と打ち明けて会場をわかせたが、多恵の孫・三宅佳織役を演じる山下は「最初に走る練習をしていたときからけっこう話していましたよね」と反論し、北川誠司役を演じる辻本も「仲はよかったよね。一番よかったのは、朝イチで集まって走るシーンが多くて、『まずは走ってから始めようか』みたいな感じで一致団結した感じはありましたね」と山下に賛同していた。

同じ質問に山下は、佳織が自分の進む道を多笑に伝えるシーンが印象的だったそうで「松原さんとの1対1のお芝居はありがたい経験だなと思いましたし、そのあたりから一連の長回しが多くなってきて、一致団結感がスタッフさんともより深まった瞬間を感じたときがあって、印象に残っています」と回顧し、岡田紀子役を演じる菜葉菜は「大先輩もいらっしゃったんですけど、その中で松原さんはいつも穏やかに、とても可愛らしくて優しく私たちを見守ってくださり、長谷川(初範)さんも場を盛り上げてくださって、すごく面白くて、走るのは大変な部分もあったんですけど、みんなで楽しく毎日撮影できたかなという印象で、このチームでよかったなと思っています」と声を弾ませた。

自身が演じた役の“その後”があるとしたら、どう行きてほしいかという質問が飛ぶと、寛一郎は「最後には2人(多笑と佳織)の家に戻ってくるんですけど、家に帰ってくる前までの人間関係やしがらみをまとめてから、家に帰ってきてほしいですね。あとはゆっくり松原さん(多笑)と暮らして行ってほしいな(笑)」と翔太の未来を思い描き、そんな山村多笑役を演じる松原は、翔太について「最初から孫だと思って接していますから、本当に可愛いし、頼り甲斐があるんですよ!セリフを忘れたりすると教えてくれたり、すごく助かりました。ありがとうございました」と感謝した。

最後に、メッセージを求められると、寛一郎は「この映画は自分と向き合いきれない人たちの映画なんですけど、これを見て自分と向き合うとまではいかないにしても、何かと向き合うきっかけのひとつにでもなってくれたら嬉しいです」とアピールし、中泉監督は「この作品は僕の長編映画のデビュー作になります。これを見てほしいという思いで、『カメラを止めるな!』のスピンオフの監督をやりました。もしそちらが面白かったら、この映画を見ていただける人が増えるんじゃないかという思いでやりました。それだけ、この作品を見てほしいという思いは強いです。よろしくお願いします」と力を込めた。

『君がまた走り出すとき』
2月8日(金)よりMOVIX川口にて川口先行公開
3月2日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督:中泉裕矢
脚本:岡芳郎
出演:寛一郎 山下リオ 菜葉菜 辻本祐樹 綱島恵里香 安居剣一郎 長谷川初範 浅田美代子 松原智恵子
配給:キャンター

【ストーリー】 翔太(寛一郎)は訳あって逃げ込んだ民家で、老婦人・多笑(松原智恵子)から孫だと勘違いされ、成り行きでそこに住むことに。しかし数日後、多笑の本物の孫・佳織(山下リオ)が訪ねてくる…。そしてある晩、ラジオから、世界6大マラソンを走破した高齢の市民ランナーの話題が聞こえる。そのラジオをきっかけに立ち止まっていた6人が出会い、支え合い、時にはぶつかりながらも、それぞれの人生が走り始める。

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