安藤ゆきによる第20回手塚治虫文化賞を受賞した漫画を、『舟を編む』の石井裕也監督が実写映画化する『町田くんの世界』が、6月7日より公開される。このほど、細田佳央太(かなた)、関水渚が主演に抜擢され、共演で岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子が出演することが発表された。
原作は、「別冊マーガレット」で2015年から2018年まで連載されていた漫画「町田くんの世界」。町田くんは、運動も勉強も苦手で、見た目も普通だが、困った人の事は絶対に見過ごさない。そんな優しさに溢れる町田くんに、突然の出来事が訪れる。
これまで実力のある様々な俳優たちと組んできた石井監督は、本作で1000人を超える一大オーディションを実施、すべてのオーディションに立会い、監督自らが主演を選考した。その中から、演技経験はほぼゼロという新人の細田佳央太、関水渚の二人を大抜擢。細田が町田一役を、関水が猪原奈々役を演じる。
思いもよらない間やリズム、反応といった偶発的な面白さが新人抜擢にあると語る石井監督は、細田を「一人だけ異彩を放っていて、理屈でも経験でもない、作品に人生を捧げられる人だと感じました。この人と組めば間違いないと16歳に思わせられました」とコメント。一方、関水について、北島プロデューサーは「演技経験もテクニックも何もないはずなのに、不思議な魅力というか華やかさというか、とてつもない伸びしろを感じ、彼女に賭けてみようと思いました」と選考理由を明かしている。
さらに、石井監督の新たなチャレンジに呼応するように、豪華なキャスティングが本作で実現。脇を固めるのは、これまで石井組に参加経験のある役者だけでなく、初めて参加する最高のキャストが揃った。町田くんの同級生に、氷室雄役の岩田剛典、高嶋さくら役の高畑充希、栄りら役の前田敦子、西野亮太役の太賀。町田くんの世界に関わるキャラクターに、吉高洋平役の池松壮亮、吉高葵役の戸田恵梨香、日野役の佐藤浩市。さらに町田くんの両親に、町田あゆた役の北村有起哉、町田百香役の松嶋菜々子。若手からベテランまで全員主役級の実力派キャストが集結した。
真夏の2018年7月1日にクランクインし、撮影は約1カ月半にわたって行われ、最高のキャストたちによる化学反応に石井監督は「最高のキャストたちそれぞれの相乗効果で、その熱が撮影現場にもどんどん伝わっていく様子を感じました。他の現場ではなかなか見られないくらいの面白さがありました」と語っている。
キャスト コメント
■細田佳央太(町田一役)
(出演が決まったときは)一番最初に嬉しいっていう気持ちがあって、でもその中でもすぐ「やっていけるのかな」っていう心配や不安だったり、緊張もありました。本当にいろんな感情が混ざった状態で、でもその中でもやっぱり嬉しさとか、撮影これから楽しみだなっていうのが自分の中で強かったです。本当にあっという間の1か月間でしたけど、自分の中で楽しいことの連続で、体力的にきつくても、お芝居がこんなにも楽しいなんて、という気持ちでした。そして、監督、スタッフの皆さんにご指導を頂いて、僕は何とか町田くんになれたのかなと思っています。この映画に出演させていただき、この作品のチームの一員になれて、すごく幸せでした。この作品がたくさんの人に届いてほしいなと思います。
■関水渚(猪原奈々役)
出演が決まった実感が湧かなかったんですけど、その後からだんだんこんなに自分が大きい役をやらせて頂くんだと考えると、ずっと緊張していて。もちろんすごく嬉しかったんですけど、同じくらい大丈夫かなっていう不安がすごく大きかったですね。この役をやらせて頂けたことに本当に感謝しています。今まで生きてきた中で一番悩み、一番苦しみました。でもそういうことがあったからこそ今までで一番充実していて楽しくて幸せでした。
■岩田剛典(氷室雄役)
前回、短編映画「ファンキー」でご一緒させて頂きまして、次はがっつり長編でやろうっていう風にお話をしてくださっていたので、監督から直接のオファーでしたのですごく嬉しい気持ちでした。まあでも作品のプロットを読ませて頂いた時に、え、石井さんが少女漫画原作やるの?みたいな驚きが一番最初に来て、いやどうなるんだろうというか、石井さんテイストのその作風っていうものがあんまりこう漫画の世界感とマッチする印象がなかったので、第一印象、どうなるんだろうっていうところで衣装合わせとか撮影に入っていきました。現場に入っても、現場が終わっても、どういう仕上がりになるのかさっぱり想像がつかなかったです。
■高畑充希(高嶋さくら役)
脚本を頂いて読んで、なんだこの面白い脚本は!と思い、何回も読みました。久々に石井組に参加できてすごく楽しかったです。26歳にもなって(※撮影当時)、制服を着て高校生活ができたのも嬉しかったし、主演の2人といろんな話をしながら、彼らのピュアな美しさを近くでずっと見てられることにとてもドキドキしました。
■前田敦子(栄りら役)
石井監督の演出はおもしろかったですし、楽しかった。なんか、いきなり土足で入ってきてくれる感がみんな多分クセになるんだろうなって思いますね。すごく普通の青春なんですけど、でも今ってすぐにくっついちゃったりとかするじゃないですか。それがなかなかくっつかない、それが普通でかわいいなって思いました。
■太賀(西野亮太役)
映画での石井組の参加は念願でした。これまでもご縁はありましたが、ようやく映画に出れるんだっていう事がすごく嬉しかったです。脚本はあまりにもおもしろくて、読み終えたら興奮して熱くなっていました。現場での監督の演出も痺れる事の連続でした。改めて「青春」を体現すること、それは痛いし辛いし全然甘くない。でも監督を信じて、とにかく食らいついていく気持ちで臨みました。ほんの数日間の撮影でしたが、終わってみたら忘れられない夏になっていました。この作品の純真さは、必ず見る人の胸を打つと思います。
■池松壮亮(吉高洋平役)
(脚本を読んで)とにかく素晴らしかったです。今まで石井さんは何本も映画を作られてきましたけども、色々なテーマがありつつ、更に研ぎ澄まされたものを感じました。
■戸田恵梨香(吉高葵役)
(撮影を終えて)とにかく石井さんが楽しそうだったので、凄く嬉しかったですし、石井さんの柔らかさが現場の空気になっていて、とても居心地が良かったです。
■佐藤浩市(日野役)
石井監督の作品は久しぶりでしたが、楽しく、久々にフィルムで撮っている感じが嬉しかった。演じている側にはそんなに関係無い事かもしれないけども、我々は昔から体感してきたので、やっぱりフィルムがまわっているのは嬉しかったですね。
■北村有起哉(町田あゆた役)
(脚本を読んで)先ず面白かったですね。読んだことの無い世界観で、それを石井監督がメガホンを取る、何より主役の2人が新人で、オーディションで選ばれたということで、相当フレッシュで凄いまっすぐなエネルギーな映画になるだろうなと思いましたし、普通に僕も観てみたい映画になりました。
■松嶋菜々子(町田百香役)
初めて脚本を読んだ時、それぞれに愛がありました。ちょっとひねくれていそうだけれど、根底に持っている愛、優しさ、素直さ、そういうものが最後みんなに感じ取れる優しくふわぁっとした作品なので、石井監督の世界観の期待に応えられるよう向き合いました。
『町田くんの世界』
6月7日(金)より全国公開
監督・脚本:石井裕也
原作:安藤ゆき「町田くんの世界」(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:片岡翔
出演:細田佳央太 関水渚 岩田剛典 高畑充希 前田敦子 太賀 池松壮亮 戸田恵梨香 佐藤浩市 北村有起哉 松嶋菜々子
配給:ワーナー・ブラザース映画
【ストーリー】 運動も勉強も苦手で、見た目も普通な町田くん(細田佳央太)。しかし、彼には困った人の事は絶対に見過ごさず、接した人みんなの世界を変えてしまう不思議な力が…!?そんな町田くんに訪れた突然の出来事…。優しさに溢れていた“町田くんの世界”がひっくり返る!
©安藤ゆき/集英社 ©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会